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☆加藤典洋「僕が批評家になったわけ」感想

2006年05月15日 00時02分03秒 | 文学
僕が「徒然草」を読みたいと言ったことから、古典はどこの文庫がいいかという話を夫婦でおこなった。(なんて知的なジャパネスク夫婦!)
そして話は岩波文庫(黄色)におよび、「あんなちょっとの注だけじゃ読めん」という僕の発言に対しての妻の、「あれは教科書だから」という言葉を聞いて、僕のなかの長年の岩波文庫(黄色)嫌いが一気に氷解した思いだった。
教科書なんだから読めないのは当たり前だ。だって僕は学生じゃないんだもん。

僕が批評家になったわけところで、僕が「徒然草」を読みたくなったわけは、加藤典洋の「僕が批評家になったわけ」を読んだからです。図書館で借りました。
「徒然草」って何度か読みたくなることがあるけど、なかなか通して読めない。どこの文庫がいいか真剣に検討してみよう。
ほかにこの本を読んで読みたくなったのは武田百合子の「富士日記」。でもこれは特にこの本を読んだからではなく、加藤典洋の「言語表現法講義」を読んだときからずっと思ってる。もう10年ほど。
加藤典洋の本は結構読んでいるので、特にこの本を読んで驚いたことはあまり無い。竹田青嗣の「サロン思想について」はいったい何度引用するんだろうと思う。松田優作の「ブラック・レイン」における「怪演」の話もどこかで見た。
いつもふうんと思いながら読んで、なるほどなーと思っているんだけど、読み終わると一体なんだっけってケロリとしてます。でもおもしろいと思ってる。でなんとなくまた読んでしまう。
あまりいつも言うことは変わらず、でもちょっとずつは変わっているという「インディア・ソング」方式なんです。(マルグリット・デュラスの映画「インディア・ソング」にほとんど動きが無いという話からの造語)

驚いたことは二点あって、まず、「徒然草」の作者を吉田兼好というのは誤りで、兼好法師または卜部兼好が正しいんだということ。そこを引用すると、
「吉田兼好と呼ばれるのは、この卜部家が室町時代に吉田神道を興し、吉田と改称したことによるので、間違い。」(34ページ)
だそうです。ふうん。でも教科書にも吉田(卜部)兼好って書いてあった気がするのになあ。
それともう一点は「五人のためのおいしい紅茶を淹れるには、ポットに六人分の茶葉をいれる必要がある」(252ページ)ということ。でもこれは紅茶を淹れる常識みたい。知らなかった。
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2 コメント

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加藤典洋さんっすか! (わど)
2006-05-16 10:41:13
おれもいま加藤典洋さんに注目しだしたところです。

なにしろ一冊一冊が高くて、また分厚くて難しくて。

あまりまだ読めてないんですが(笑)。

今回の群像新人賞に、加藤さんは『煙幕』を強力に推薦したとか。

どんな小説かなって、わくわくしてます。



同じgooブログだったんですね。

以後よろしくのご挨拶ですけど、加藤さんの主張について、

いろいろ教えていただけたら嬉しいです。

rssに登録しておきます。
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はじめまして。よろしく。 ()
2006-05-16 12:52:49
コメントありがとうございます。

ちょっとだけブログを拝見しました。また時間のあるときにゆっくり見ます。「僕が批評家になったわけ」には内田樹のことが出てきましたよ。

加藤典洋の主張についてお教えできる自信はまるっきりありませんが、なにか思いついたら書きます。

加藤典洋のいまのところの代表作は「言語表現法講義」、「テクストから遠く離れて」だと思います。敢えてもう一作あげるなら「敗戦後論」。
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