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阿部和重とミシェル・ウエルベック

2019年12月22日 12時06分51秒 | 文学
雑誌「BRUTUS」の最新号の特集が「危険な読書2020」ということなので、やはり気になり立ち読みする。
阿部和重の『オーガ(ニ)ズム』は書店で真っ赤な本を見かけて、大江健三郎の『水死』を思い出した。でも手に取って読まなかったし、阿部和重を読んだことがないし、と思っていたが少し興味を持った。今度は手に取って重さくらいは量るかもしれない。
それからミシェル・ウエルベックは『服従』が評判になったときに気になったが、フランスの政治状況がよくわからないし、と思ってそれ以上の興味をもっていなかった。が、『地図と領土』というのがおもしろそうなので読むかもしれない。
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三島由紀夫『荒野より』

2019年12月22日 09時07分54秒 | 文学
三島由紀夫『荒野より』(中公文庫)を読んだ。

「荒野より」
三島由紀夫の自宅に青年が侵入してきた事件がおそらく実際にあり、それをもとにした小説。
青年は三島由紀夫の本を読んでそれによって酒を読んで酔ったのと同じような状態になり、そして彼は三島由紀夫の分身のような者でもあるというふうに考察が進む。

「時計」
トランプを時計の針の形に並べて、真ん中に置いたカードをめくってその出た数字の時計の針の位置に置きそこにあるカードをめくって、最後までカードがめくれたら願いが叶うというようなトランプのゲームを男がやっていて、そばで女が見ている。全部めくれたら結婚することになっていて、めくれてしまって男が狼狽する話。なのだろうか。
あまり意味がよく分からない話だった。

「仲間」
煙草を吸う少年とその父親の話で、壁掛を巻いて煙草にして吸う。
『この名作がわからない』という本で小池昌代がこの短篇を自分は好きで、加藤典洋も好きだったと言っていて、興味を持っていたが、私には理解できない。
加藤典洋は三島由紀夫についてのまとまった評論を残さなかった。残念。

「ナルシシズム論」
全体的に何を言っているのか分からない話だったが、男はこうで、女はこうだ、という話は今読むと古くさい感じがして読めない。
男はこうで、女はこうだ、と言っているようなおじさんの話が、他でまともなことを言っているわけがないという気もしてくる。

「現代文学の三方向」
安部公房『他人の顔』、大江健三郎『個人的な体験』、北杜夫『楡家の人びと』の感想。
ちょっと、何言ってるかわからない。
『楡家の人びと』は読んでみようかな。

「石原慎太郎『星と舵』について」
石原慎太郎の本を読んだことがない。読むこともないだろう。

(この間も読んだけど感想がない……)

「映画的肉体論」
ディンク・アン・ジッヒってなんだろうと思ったら物自体だそう。なんでドイツ語で書くのだろう。当時はこれで通じたのだろうか。
最初ちょっとおもしろいがだんだんおもしろくなくなる。市川崑の『雪之丞変化』に興味を持つ。

「私のきらいな人」
自分が谷崎潤一郎型で老年を迎えるか、永井荷風型で老年を迎えるかという話で始まる。結局老年自体を迎えられなかった。
気楽に自由に書けているようで、おもしろい。
よく思うのだが、三島由紀夫は理屈を言おうとして意味不明のことを言ってしまうし、おもしろいことを言おうとして詰まらないギャグを言ってしまう傾向がある。
これは自戒すべきことだ。

「テネシー・ウィリアムズのこと」
テネシー・ウィリアムズのことを結構良く知っていた、という話。

「オリンピック」
大河ドラマ『いだてん』を見ていたので昭和39年の東京オリンピックについてそれなりに詳しくなっている。
聖火ランナーの坂井君と言われると、あああの坂井君(井之脇海)ねと顔を思い浮かべることが出来る。
また女子バレーボールの大松監督(徳井義実)や河西選手(安藤サクラ)も思い浮かぶ。
閉会式での選手が入り乱れての登場も知っている。
そういえば今度の東京オリンピックの記録映画担当は河瀬直美に決まったということをぜんぜん知らなかった。是枝裕和か、市川崑好きの岩井俊二だったらもっと興味を持てただろう。
河瀬直美だったら、だいぶ個人的な映画になるのだろうか。

「実感的スポーツ論」
三島由紀夫が三十代からボデービルを始めたという話。「ボデービル」っていま書かないな。
「アドラーの劣価補償説」という言葉があり、当時もアドラーは少なくとも三島には読まれていたのだな、と思う。
《芸術家としてはむしろ、芸術の制作に必須な不健全な精神を強く深く保持するために、健全な肉体がいるのではないだろうか? 人間性の見るも忌わしい深部へ、深く、より深く井戸を掘り下げるために、鞏固な大理石の井戸側がいるのではなかろうか?》(232頁)
とは村上春樹も言いそうなことだ。

「アラビアン・ナイト」
戯曲。シンドバッドが主人公で、舞台になったとしてもぜんぜんおもしろくなさそうだった。

猪瀬直樹の「解説」
猪瀬直樹が解説を書いている。
「奔馬」に「ほんま」とルビを振っているが、「ほんば」でなく「ほんま」というのはホンマだろうか。手許にはないが画像では新潮文庫の表紙には「ほんば」と書かれてるように見える。小さいことが気になる。
やはり『鏡子の家』を読むべきかな、と思う。
猪瀬直樹はきちんと、本が当時どのくらい売れたかを数字で示してくれるので分かりやすい。後からだとなかなか分からないことだ。
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