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沢木耕太郎『流星ひとつ』

2017年04月14日 10時33分00秒 | 文学
沢木耕太郎『流星ひとつ』(新潮文庫)を読んだ。
このところ、あまり興味を惹く本がないので沢木耕太郎でもまとめて読んでみるかと思い、以前読んでとってもおもしろかった印象のある、この、藤圭子のインタヴューを会話文だけでまとめた本を再読した。
やはりおもしろかった。
藤圭子がどのような思いで引退しようと思っているのかがよくわかる。
チェーホフの戯曲とか読んでも、いったいいま誰がしゃべっているのかわからなくなることがあるのだが(誰がしゃべっているのかは戯曲だから上に書いてはあるのだがいちいち読まないので)、この本は誰がしゃべっているのかは書いていないのによくわかる。本文だけ読めば、この会話文が藤圭子と沢木耕太郎の会話であるということすら書かれていない。
さっと読むとテープに録音した会話を文章に書き起こしただけのようにも見えるが、そうではなく、工夫がされているのだろう。
藤圭子(と見なされる人物)が自分のことを「あたし」と呼ぶのもその工夫だろう。

NHKの「SONGS」が尾崎裕哉だったので録画していて、見た。
藤圭子がNHKには「ビッグショー」という番組があったが、そういういい番組がなくなった、と言っていたが、いまだと「SONGS」がそれに当たるのかなと思う。
宇多田ヒカルは藤圭子の歌を歌うことはないけれど、尾崎裕哉は尾崎豊の歌を歌い続ける。そしてやはりまだ、彼が自分で作った歌よりもお父さんの作った歌のほうがいいなと思った。生きていて、五十代になった尾崎豊がいまどんな歌を歌っているだろうかと想像し、なかなか難しいだろうなと思った。
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