”朝吼夕嘆・晴走雨読”

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”早大文学部西洋史専攻の同級生です”

2011年04月23日 | 著書:「おきなわ就活塾」(新宿書房)

 沖縄就活塾を読んで感心したことを二つほど述たいと思います。

 一つは彼の会社が沖縄の高校生の職場実習を十年間、毎年五人ほど引き受けてきたということです。会社本来の利益追求だけではなく、社会的役割を重視する、という彼の考え方は、大学時代学生運動が烈しい中で揉まれてきた者としては、とてもよく共感できることです。 

 もう一つは何のために会社を作ったかと自問して、「組織を作ることが目的だった」と答えている点です。組織とはよい出会いを作る場であり、社員と顧客、競争相手の同業の社長たちとの出会いを可能にする場である、また会社経営とは、競争市場のもとで顧客満足と構成員の自己実現をめざしてバランスをはかる作業だとも言っています。

 彼は文学部の西洋史専攻の卒業生です。いわゆる文科系の卒業生として、今をときめくIT産業のベンチャービジネスの世界で会社を作ってやっていくということが、ちょっと理解できませんでした。でも「組織を作ることが目的だった」という彼の答えで少し納得がいきました。その点で彼の能力が遺憾なく発揮されたのでしょう。

西洋史専攻クラスはおよそ五十人、ほぼ男女同数で一クラスしかないので、一年から四年まで同クラスで過ごします。六十年安保闘争の翌年に入学したので、学生運動が華やかな時代でした。でもまだ黒覆面にゲバ棒の時代ではなく、クラスの中で討論を行うという時代でした。クラスの中にも核マル派や民青の学生がいて、頻繁にクラス討論が開かれていました。

 どちらもマルクス主義の革命思想ですから、現代の社会矛盾に対して、君はどういう態度をとるのか、と論争をふっかけられます。今だったら自分たちは親から金をもらって勉強中の身だから、今は社会の仕組みと歴史の流れをしっかり勉強するべきで、革命運動なんてとんでもない、と答えれば済むことです。でも当時は自信をもってそう答える程勉強していなかったので身を守ることはなかなか苦しいことだったのです。                                             そんな中で重田君は学生運動家達と平然と議論して、一歩も引きませんでした。彼が防波堤になってくれた、彼のお蔭で助かったという思いがあります。                                    彼との最初の出会いは、一年上のクラスがやってくれたオリエンテーションと新入生歓迎の会でした。会が終って帰ろうとしたとき、彼に声をかけられたのです。「君、すまないが七十円貸してくれないか、帰りの電車賃が無いんだ」というのです。初対面の人間にそう語りかける彼は、実に平然としていました。この点はどんな場でも動揺せずに対応出来るという彼の特徴が良く現れています。彼には人の前で自分が良く評価されたいというような気持ちが全く無い、人の前で恥をかくことを何とも思わない、自己を過大評価しない、人に対していつも自然体でいられる、これは彼の学生時代からの特徴です。

 彼は私の結婚式の司会をやってくれました。打ち合わせの時、当時彼自身、いろいろ大変な状況にありましたが、その状況と自分の失敗をくわしく語ってくれました。とても面白い話でしたが、良くここまで何でも話せるものと感心しました。彼はどんな状況でもめげないのです。

 彼はクラスの女性にもいろいろ声をかけていましたし、文学部内に何人も女友達、知り合いがいました。何度声をかけて断られても全くめげないというのが彼の強みです。                                   彼の言葉で印象に残っている言葉があります。「人には会うべし、場所には行くべし」です。これは言うは易く行なうは難い言葉です。人生に対しても人に対してもいつも積極的な彼にぴったりの言葉なのでしょう。                                              彼は昔に比べてにこやかなとてもいい顔をしています。顔は男の履歴書といいます。その意味で彼は実にいい人生を歩いてきたのだと思います。同級生がいい人生を送ってきたことはとても嬉しいことです。今後とも元気でいつも平然として御活躍するよう祈っています。

 

 

 

 


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