運命の女(2002年 映画)

2020-03-09 00:00:46 | 映画・演劇・Video
原題は『Unfaithful』。一単語だ。内容的に言うと『不倫』と訳せばいいのかな。主演のダイアン・レインとリチャード・ギアに対してちょっと失礼かもしれない。せめて単語を二つ三つ並べてあげたいところだ。とはいえ、『運命の女』というのは奇妙な邦訳だ。むしろ、『運命の男』とか『運命のタクシー』とかの方が正確だ。


二大スターだけに、不倫行為に至るのはこの二人だろうと想像させるが、実は違う。二人は夫婦のわけだ。リチャード・ギアは中小企業の社長で、ダイアン・レインは一児の母で専業主婦。(一家にはさらに色の黒い女性が家政婦として働いている。こういうのが何気なく描写されるというのが奴隷王国の名残だろう)

ダイアンはこどもの誕生日プレゼントをニューヨークの街で大量に買い、郊外の自宅に帰ろうとすると、突然の強風に襲われ転倒。膝から血糊が流れ出すケガをしてしまう。その時、どうしてもタクシーを捕まえることができず、通りかかった男性に救護される。

そこから、急激に不倫が始まるのだが、なんとなく夫のリチャード・ギアは妻の様子に小さな不審をいだくようになる。「約2時間の映画なのに、不倫開始とほころびが見えてくるのが随分早いな」とか「リチャード・ギアはこのまま間抜けな間男役を続けるのだろうか」とか、「何か別の犯罪に加担している夫が、この二人に罪を着せようとしているのかな」とか立体的な思考をしてみるが、そういう観客の思惑とは裏腹に、ダイアンはベッドのマットをきしませ続けるわけだ。

そして、不思議なことに約1時間経過した頃に不倫関係を夫は知ることになる。

そして後半が始まる。前半部は妻が隠し事をして、後半部は夫が隠し事をするわけだ。夫は妻の愛人宅にいって、相手に説明を求めるのだが、噛み合わない話に思わず暴力行為に至り、油断していた妻の愛人の頭部を一撃。なんとなく慣れた手口のようにも思えたが相手は血まみれになって死んでしまう。

これはまずいと、リチャード・ギアは隠蔽工作を始める。指紋を拭きとったり、留守電に残る妻の声を消したり、死体を毛布に包んで、ゴミ処理場に運んだりする。しかし、なにぶん計画性のない行動だったので、妻の電話番号のメモが残っていたのだ。

その結果、警察は何らかの情報を得ようと、刑事が何度も自宅を訪れるわけだ。

二人は、とりあえず不倫事件を棚上げすることにし、殺人事件の容疑から逃れようとするが、徐々に捜査の手が伸びてきていることを感じているわけだ。

最後のシーンは、二人が車の中で、「このままメキシコに逃げようか」という相談をするのだが、その場所は警察署の前の信号なのだ。


この二人がこれからどういう行動を取るのかは、一人一人の観客の想像力にゆだねられることになる。フランス映画みたいだが、そもそもフランス映画の古典的作品が下敷きになっているそうだ。

1. 警察署に出頭する。
2. メキシコに潜入して、偽名で生活する。
3. 警察を焼き討ちして今までに集められている証拠を刑事もろとも灰にしてしまう。

三者一択だ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿