つづら(演:五街道雲助)

2024-10-10 00:00:19 | 落語
『つづら』は戦中時代には禁止されていた演目。なにしろテーマが「間男」。要するに妻の不倫相手の男のこと。戦争中は夫が戦地に行って残された妻が不倫をすることが多かったのだろうか。戦地に行かないのは徴兵検査不合格者なのだからちょっと物足りないような気もするが。

そして、戦後、五街道雲助の師匠の10代目金原亭馬生が復活したのだが、サゲが難しい(質屋の専門用語)とか時代に合わないこともあり、誰も演じないうち、弟子の五街道雲助が編集し直したそうだ。師匠の音源が残っているのみで、それで作り直したそうだ。

枕で、間男発覚した場合の慰謝料の金額が何気なく語られるが7両2分。概ね小判一枚ということになっていた。現在価格100万円位かな。

そして、あらすじ。
左官の吉造は、博打で借金を作っていた。このままだと女房をかたに取られ、吉原へ送られてしまいそうになり、金策のため成田にいる親戚に借用に出かけようとすると、同じ長屋の荒物屋のおばさんが吉造に言うには、じつは良造の女房と質屋「伊勢屋」の主人が間男をしているというのです。驚いた吉造が予定を変えて家に帰ってみると、玄関には男物の下駄が。実は亭主の留守に伊勢屋が上がり込んでいたわけだ。下駄があっても姿が見えないなら部屋にある古いつづらの中に間男が隠れているしかない。吉造がつづらを開けて乱暴を行おうとすると、女房は必死にそれを止め、伊勢屋と通じたのにはわけがあるという。

 つまり、すべては吉造の借金のせいと言い出す。

ということで、吉造は妥協案としてつづらを開けずに逆に封印して質屋に持っていく、事情を知らない質屋は古いつづらは質草にならないので、川に捨てるか燃やしてしまえと物騒なことを言う。そこで、つづらの中から声が出て、7両二分で買い取るということに落ち着いた。


ところで、「つづら」という物体を知らない人も多いだろう。簡単に言うと、衣装ケース。柳行李より大きく、竹で編まれている。 落語家も江戸を演じるのは大変だ。