アルキメデスの大戦(2019年 映画)

2024-10-02 00:00:30 | 映画・演劇・Video
同名の漫画は8年間の連載、全38巻、378話という長編を2時間強の映画にするということで、本映画では、ある日本の決断の場面を中心にまとめられている。

昭和8年(1933年)海軍は、次期新造船をめぐって、巨大戦艦か航空母艦かの意見が分かれていた。日露戦争の勝利(バルチック艦隊撃破)の余韻が残る世論の支持を受けるため巨大戦艦を造ろうというグループと、仮想敵国のアメリカと戦うためには航空戦必須とみて航空母艦が必要というグループに分かれる。

巨艦派は大角海軍大臣と嶋田少将、空母派は永野修身中将と山本五十六少将。空母派は巨艦派の持ち出した巨大戦艦の建造費の見積もりが低すぎると主張。その見積もりの再評価をしようと東大中退の数学青年をいきなり少佐に起用して、巨艦派の不正を追及する。

実はこのあと、事態は一転。実際には青年少佐の思い通りにはいかず、巨艦『大和』が誕生していく。

失意の青年少佐に巨艦派の設計を担当した中将は「いずれにしても日本は負ける。しかも途中で負けを認めるような国民性ではないので、日本は滅亡してしまう。日本の象徴のような巨大戦艦を造ることで、戦艦が撃沈した時、負けを認めることができると思っている」という意味の驚愕の思いを告げられる。

ところが、実際には『大和』と同型艦の『長門』が造られ、日本の象徴が二つになってしまうし、『長門』は謎の沈没を遂げてしまうし、日米開戦時には皮肉にも空母派の二人がそれぞれ、海軍大臣と連合艦隊司令長官になっていたのだ。

そして、『大和』撃沈でも戦争は終わらなかった。東京大空襲でも終わらなかったし、沖縄陥落でも終わらなかった。

映画の筋書きはともかく、『大和』建造は日本降伏のための布石だったという意味は『大和』とともに亡くなった兵士や家族にとっては受け入れられないだろうと思うが、どうだろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿