松本清張作の原作小説をかなり忠実になぞった映画。原作小説は1959年に完成し、清張作品の中でもベスト5に入るそうだ。
都内に住む新婚の妻の元から夫(演:西島秀俊)は1週間の金沢出張に出かけるが、仕事が終っても帰ってこない。会社の人間と一緒に現地に向かうが手がかりはない。それどころか遅れて捜索に加わった夫の兄は青酸カリを飲まされ急死する。
そして、妻(演:広末涼子)は、なぜ夫が行方不明になったのか、探偵風に捜索をはじめる。自分の知らない夫の過去(警察官)、以前、金沢に赴任していた時の女性関係、つまり三角関係ではなく三方関係。
そして、彼女の探偵活動とは別に、その二人の愛人が関係する煉瓦会社、さらに風変りな社長。女性知事が誕生した金沢市長選の裏側。
1959年の原作の後、2年後の1961年に最初の映画化があったが、原作にはない真犯人との決闘シーンがあったのだが、今回は決闘はない。原作に忠実だし
犯人(女性)の動機は終戦後、立川で米兵相手の売春をしていたことを知っている人間を消すことだったのだが、現代でいえば、「ああ、そう」というような話になったのだろうう。
なお、妻を演じる女優は、映画の中では不倫される役だが、実生活は逆だったし、夫を演じた男優の方は、村上春樹原作の映画「ドライブ・マイ・カー」では妻に浮気される役を演じている。妻役の広末涼子の演技が大根説もあるが、素人探偵を演じるために、わざと下手に演技しているに違いないと思えばいいだろうか。