カレンダーの秘密(下)

2007-01-10 00:00:21 | MBAの意見
では、なぜ現在のように1月(JAN)を年始としたかということについて。大きく説は二分される。一説では1月はヤヌスという神様からとった名前がついていたので敬意を払ったという説。もう一説はローマの会計年度は新年(春分の日)から2ヶ月間、前倒ししていたからという説であり、おそらくこちらの説の方が強そうだ。なぜ2ヶ月前倒ししたかというと紀元前154年にヒスパニアの反乱があり、これに対応するために優秀な行政官を繰り上げ任用したことによるそうだ。任期満了を早めるために前の年が10ヶ月で終わったわけだ。ローマの硬直性と柔軟性がわかる話だ。


ところが、春分の日から2ヶ月遡ると、1月20日頃になるわけだが、まだ現在の1月1日とはずいぶん違っている。この20日の差にも諸説ある。怪説としては「シーザーが皇帝になった日」というので、所ジョージのクイズ番組では解答とされていたそうだ。これが正しければ、ずいぶん正々堂々とした理由なのだが、残念ながらシーザーは皇帝になっていない。初代皇帝は、先ほど登場のアウグスツス。信頼に足る説では、1月となるべき月の中で「新月」の日を選んだということらしい。太陰暦から太陽歴への移行日としては妥当な選択かも知れない。案外、一日の始まりが真夜中なのもここからかも知れない。ここを基点日として計算が始まったわけだ。


次に、現在の西暦はいつ決まったかというと、東ローマ帝国のディオニシウス・エクミグスが525年にキリストの生誕を推定して決めたそうだ。ところが、不正確。正しくは紀元前7年から紀元前3年の間と考えられている。

次はクリスマスの由来。シーザーの頃は、12月25日はミトラ教の祭日(復活祭)で冬至祭りと連続しローマ最大の休日(たったの3連休)だったそうだ。時代が進み、おそらく宗教色がうすれていき、一般的休日化(日本のクリスマス状態)していたところに4世紀頃キリスト教が普及していき、ミトラ教にとってかわり、再び神聖化したのであろう。

なお、キリストは生後8日目にユダヤ教の割礼を受けたとされていて、12月25日から8日目の1月1日を新年の開始「割礼年初」としているが、これは前述のディオニシウス・エクミグスが発令したのだが、歴史的因果関係からいうと、クリスマス(12月25日)と1月1日(シーザーが決定)が先に存在するので後で「8日前」を決めたのではないかとも思えるが、確心はない。


bb17608d.jpg最後に暦についての雑談だが、コンピューター関係の方はご存知だろうが、ユリウス積算日というのがある。紀元前4713年1月1日午後0時を0として経過日数を表示するもの。紛らわしいことに昼間から始まる。ちなみに2007年1月9日0時(GMT)は、2,454,109.5日となるはずだが、計算に自信まったくなし。


また最近は「世界暦」というのを提唱している人がいる。12ヶ月制は維持しつつ、3ヶ月を91日間に統一し、必ず1月、4月、7月、10月は日曜から始まるようにする。これでは1年が364日になるので残る年末の1日か2日は特別休日としてしまうそうだ。利点はカレンダーが毎年同じなので、新たに買わなくてもいいそうだ。欠点は13日の金曜が必ず4回あること。


対抗して、私も一つ考案してみた。365を割り切れる1つだけの数「5」を1週間として、木曜と金曜を廃止してしまおうというもの。日月火水土。また1ヶ月を6週間として30日に統一してしまい、1年間の端数の5日間は全部年末休日としてしまえというもの。これを行なうと、1年間の土曜日曜の総数は104から149になるといういたって怠け者用だ。おおた式カレンダーは市販されていない。すべて特注品となる。

もっとも、62年前の日本では、カレンダーから土曜と日曜日が削除されていたのだった。

(おわり)  


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