当事者が鈍足

2024-04-02 00:00:27 | 市民A
きょうのテーマ、「当事者が鈍足」は紅こうじの件。「裏金」の話は別途。構造が違うので。

現状は、不十分だった記者会見が終わり、小林製薬からの紅麹の販売先173社が明らかになり、さらに返品受け付けが開始された。

3月29日の記者会見では先に行われた会社の会見で明らかにされなかった『プベルル酸』の存在が2時間後の厚労省の会見で明らかになるとか、製造された大阪工場が問題ロット出荷後の年末に閉鎖になっているとか妙な話が多い。

また、プベルル酸の毒性からすると被害が大き過ぎるという意見もある。また、混入の原因に過失や犯罪の可能性も捨てきれていないようだ。

一方、今回の最初の症例把握は1月15日だったそうだ、小林製薬の発表は3月22日。67日かかっている。社長の耳に届いたのが2月6日ということ。社長が知るまで22日かかり、発表まで45日。遅くなった原因は人出不足で調査人員が限られていたということだが、受け入れる人はいないだろう。

ここで、製薬会社の事件で有名な「タイレノール事件」のことを振り返ってみる。ビジネスの教科書では有名な話。1982年に起きた事件。製薬会社はジョンソン&ジョンソン。バンドエイドやコンタクトレンズ(アキュビュー)で有名だが、れっきとした巨大製薬会社で、問題のタイレノールは鎮痛剤。アスピリンと比べて胃に対する負担が低いとして全米で服用されていたが、突然、死者が出た。シカゴ周辺でほぼ同時に7人が亡くなる。

警察からの通報が伝えられると、ただちにJ&J社は対応チームを作り、原因不明ではあるが、全国のテレビ、新聞に事件を公開し服用停止のキャンペーンを行い、受付センターを設置した。それまでかかった日数は、1日。小林製薬の67分の1だ。

この事件は、後に、第三者(つまり犯人)による毒物混入事件(未解決)と判明し、J&J社はパッケージの変更をすることになった(日本でも有名な事件があったが)。

今では、消費財を扱う多くの企業では、事故や事件の情報は速やかに経営層に伝わり、状況別に、いくつかの対策プランの中から基本方針が決まり、情報収集と各種公開、製品回収などが原因追求と同時に始動する。模擬訓練をする会社も多い。緊急対応策を用意していなかったのではないかと、強く疑われる。

たとえば、横浜元町で発祥し、全国に70店舗以上展開している焼きたてパンのP社は3月22日に小林製薬から紅麹の製品回収が発表になると直ちに使用商品の販売を中止。28日から返金受付をはじめている。そして29日には小林製薬が発表した想定外の成分の含まれていたロット番号品ではなかったことを公表している。

それが普通。

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