祝いの美(大正期、皇室御慶事の品々)

2008-02-10 00:00:53 | 美術館・博物館・工芸品
最初に述べておくが、別に皇室ファンということでもないし、アンチ皇室党でもない。宮内庁の管轄している三の丸尚蔵館で、皇室のお宝が公開されているから、それを観る、ということ。

実は、大正期は、皇室の慶事が非常に多かった時期なのである。理由は、おおむね一つ。大正天皇が子沢山だったこと。四人の男児を得る。長男が昭和天皇となるのだが、各弟宮の元服、成人、そして結婚とその都度、慶事ということになる。さらに、後の昭和天皇は摂政になる直前に欧州旅行を敢行されたのだが、それらの都度、各国あるいは国内各県から記念のプレゼントが贈られることになる。今回の展覧会は、それらの名品の数々を4期にわけて展示。



なぜ、四回にも分かれるかといえば、この尚蔵館、展示スペースが狭いのである。無料とはいえ4回も行くのは大変なのだから、もう少し多くを展示できるように改築をお願いしたいところでもある。

第三期(12月15日~1月27日)を観たのだが、この第三期の華は、大正13年の皇太子(昭和天皇)御成婚に際し、仏国大統領より贈られた、国立セーブル製陶所「菊銀杏文花瓶」だろうか。管理がいいからだろうと思うが展示された品々は約1世紀の月日を経ているが、デザインといい、その色彩といい、まったく現代である。

また、東京名勝図・萬歳楽図衝立という大きな衝立両面を使った東京府内地図が展示されていて、当時、東京御府内というのは、西は広尾の日赤病院から早稲田大学を結んだ直線、すなわち目白通りというのが外縁線になっていたというように読み解けるのである(現代の東京は国道16号線が外縁部ではないだろうか)。


そして、僅か15年の大正時代に晴れやかな行事の数々が行われ、病弱だった天皇は1926年12月25日に崩御される。その後、3年も経たないうちにウォール街で株価大暴落が始まり、世界経済は行き詰まり、暗黒の戦争時代に突入した。大正15年に、誰がそれを予測できたのだろうか。

第4期は2月2日から3月9日まで。場所は旧江戸城敷地内東側である。ちなみに郵便番号は100-0001であるが、電話番号は110番ではない。


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