メディア・イノベーションの衝撃

2007-08-09 00:00:05 | 書評
eea45772.jpg1週間ほど前に、一冊の本が送られてきた。「メディア・イノベーションの衝撃・日本評論社」。

この本の内容の前に、この1冊、物理学的意味で、実に重い。無駄な力はゴルフの時にとってあるので、見かけ上の重さに合わせて弱々しく手にとったところ、重さに負けて床に落としてしまった。測っていないが、同じ大きさの本の1.5倍から2倍の重さがあるような感じだ。

出版のことはよくわからないのだが、高級な紙を使っているのだろうか。あるいは逆に薄い紙でページ数が多いのだろうか。ページが増えれば印刷に使うインクの量も増えるからそれで重いのだろうか。第一感は妙なことに、本の重さだった。

そして、なぜ、この定価2,700円プラス消費税の本が送られてきたのか、よくわからなかったのだが、本の中に編集者からのメモが入っていた。つまり、編集者を知っていた。一昨年のオフ会であった方(Tさん)で、半年ほど前にも丸ビルの隣のビルで一杯やった関係だ。そして、この本は、プレゼンターにブロガー(ガ島通信こと藤代裕之さん他)や、新聞社、プロバイダーや大学教授など集め、2006年に連続討論会を開いたものをまとめたものである。

実は、半年ほど前にTさんと会った時は、所属する出版社の中で、ちょっとした不手際を起こし、「出社停止&自宅待機1ヶ月」という朝青龍処分を受ける直前だったと記憶している。彼には逃げ込む国もなかったはずだが、いつの間に、この企画の背後に回っていたとは、曲者である。それともオフ会がきっかけだったのだろうか。

そして内容だが、本の前半部分は、ネット(主にブログ)とジャーナリズムの関係。実際、私はブログを書いているほうなので、この問題は、あえて討論するまでもなく、大部分は実感できる。ブログには、1:9:90という公式があって、ブログを書く人、コメントを書き込む人、読むだけの人の比率だそうだ。

しかし、ブロガーを外からみて客観的にジャーナリズムの内側にあてはめて分析しようとすると、かなりやっかいだ。普通のジャーナリズムは大人数の会社という組織がジャーナリストといわれる人達を雇っていて、様々な媒体(メディア)で、情報を発信する。機能的には、記事を作る人、それを検閲する人、さらにビジネスとして成り立つように配給方法を考えたり、広告を集めたりする人などが関わっている。

ところがブログは個人プレーである。だから・・・

というような話が続く。しかし、考えようだが、実は、そういうのは、あまり考えてもしょうがないような。現実は、既存ジャーナリズムもあり、ブログもあり、使えるものは残り、駄目なものは消える、ということなのだろう。あえていえば、ブロガー以下の能力のジャーナリストは専門知識の勉強でもするしかないだろう。


本の後半は「WEB 2.0がもたらすネット社会の変化」、ということで、特にGoogle論のようなところもある。WEB 2.0も、単に技術革新ということなら驚くことはないのだが、どうも個人情報のところに深く侵入しているような技術に思えてならない。たとえば、検索ワードの解析から、この男はタイプBとか決められて、トップページでその人用のバナーに組みかえられたりとかだ。

また、GoogleやYahooが検索から削除する基準は、旧来のジャーナリストが持っていた人権報道の基準というのとはまったく異なり、削除しなかったままにして、後で訴えられた場合の法的責任ということが基準になっているそうである。


ところで、Tさんが本の間にはさんであったメモだが、「本を書きませんか?」と黄金色の誘惑のコトバが書かれていた(この「メディア・イノベーションの衝撃」は本を書いたのではなく討論会の議事録みたいなもの)。つい最近読んだ山本文緒さんのエッセイ集「日々是作文」の中に、「1冊本を書くと、本を書くことが目標になって、それに追われるようになる」というようなことが書かれていた。おそらく、売れた場合は編集者が次、次、次とせっつくし、売れなかった場合は、どうしたら次は売れるのだろうとか本人が必死に考えるのだろうか。

長谷川町子さんは初版の「サザエさん」の返品の山を、自分で書店に売りに歩き、本の形が他の漫画本と異なっているため、書店が扱うのを嫌がっていることを知ったそうだ。最近は書店経営者の高齢化問題もあり、重い本も問題なのかもしれない。

企業小説を書け、とか情痴小説を書け、と別の社の方に言われたことはあるのだが、それらを合体させると「実録・失楽園パターン」になるのかもしれない。

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