「神の手」の周辺

2021-03-27 00:00:05 | しょうぎ
竜王戦2組、藤井×松尾戦で「神の手」が出たということについて。

最初のポイントは本当に「神の手」なのかということ。実は、「神の手」の直後からAbemaを見たので、放送の中で4一銀のことを知ったのだが、その場面に戻してくれないので、よくわからなかった。翌日、「神の手」報道があって、図面にたどり着く。

ということで、読みの流れの中で鑑賞したのでなく、「次の一手」みたいな見方になっていた。そうすると、問題場面は、タダの飛車を取らずに銀捨を選んだのは、当然のようにも見える。なぜならタダの飛車を取ると、ほぼ自動的に3手進んで形勢は悪化するからだ。それにタダの飛車を取らないのではなく、取る前に一技かける(銀と1手を交換)だけであり、飛車は取れるわけだ。何しろ最終盤で、駒の損得は二の次の局面だ。

もう一つ、気になったのは、翌日の報道では「神の手」と○○棋士や△△棋士が言っている、という報道ばかりで、どの局面で銀を打ったのか明らかにされないわけで、これではまったくおかしいわけだ。この問題の裏側には、棋譜の権利、棋譜解説の著作権という裏腹の問題が関係しているわけで、早い段階で裁判所に持ち込んでおかないと、例えば損害賠償の問題とか権利を主張する両サイドの人たちの間で賠償金額がどんどん膨れ上がるはずだ。

話が簡単なのは著作権の方。棋譜というのは「絶対的な事実」である。棋士が指した将棋を復元できるわけだが、これは観戦記者の腕前にはまったく関係なく過去の事実そのもので解釈の余地はない。非公開ならともかくAbemaの無料放送で公開されるのだから秘密性もない。一方で、「○○棋士が『これは神の手だ』と解説した」という部分には知的財産権が発生している。だから棋譜あるいは図面を載せずに、解説や感想を引用するのは、逆に危ないということだろう。

新聞社なら、何週間も寝かせずに、ただちに棋譜と重要ポイントの解説を書けばいい。詳細は後日掲載としておけばいい。そもそも棋士の棋譜は、そのほとんどが公開の場もなく埋もれているわけで、解説部分には権利を認めて棋譜部分は大公開すべきと思う。(ところで本局は予選だし、解説記事が書かれるのだろうか?)


さて、3月27日出題作の解答。








今週の問題。



少し構造が複雑。(もし、再掲だったらゴメン)

わかったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。