ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

「無知」に喝!!

2005年09月19日 | ブレーキ系
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このところ続いている旧モデルのバナナキャリパーです。過去には無知により不適切な整備が沢山行われていました。
今後もそれらの「インチキメンテナンス」によるダメージからの復旧作業を紹介します。

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このブレーキ部品の内部とはとても思えない状態をみてください。
グリコールとシリコンの混合ブレーキフルードの成れの果てです。
このまま掃除して組み直すだけでは、とても正常な機能を回復するとも思えませんので、徹底的に復旧作業を行います。
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右側はこのキャリパーに入っていたピストンです。
左側は汚いのですけれど、本来の構造のピストンです。
違いは波型のスプリングがあるかないかです。
通常のキャリパーピストンは、角型のシールの弾性を使って油圧が下がったときのピストンを戻していますが、初期型のバナナキャリパーはこのようなスプリングと花型リングを組み合わせてピストンを戻します。
ところが肝心のスプリングがありませんでした。
当時はこのブレーキは「引き摺り」の問題を抱えていて、これは「バカ」な対策による被害の一つかもしれません。
ワタシは根本的な引き摺り対策を25年前に分かっています。どうしても知りたい方がいらっしゃればこっそり教えますのでメールでもください。
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キレイにして復活しつつある構成部品です。
ゴム部品は新品が純正品がまだ手に入りますので、当然それを使います。
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各部品にブレーキフルードを塗って組み立てます。
こうする事により、最終的にフルードのエア抜きをした場合に気泡ができることを防止して、全体の作業を迅速に行えますね。リングナットを締めるのには緩めるときに作ったSSTが活躍します。ナットを締める際にピストンを押さえる方法は、旋盤の3方チャックを使いました。

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ピストンをキャリパーに挿入する前にも、全体にフルードを塗っておきます。
ドライな状態でOリングを押し込むと、引っ掛かって傷つける場合がありますので、ゴム製品を金属に嵌め込む場合には必ず潤滑させてください。

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ブーツを先にキャリパーボディーにセットして、巻き込まないように細心の注意でピストンを押し込みます。
プラステイックハンマーなどで軽く叩いても良いと思います。
キャリパーボディーに必ず平行にいれます。曲げて入れるとボディーの内側やピストンを傷つけ、フルード漏れの原因を作ってしまいます。

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これで完成です。



*上記説明を参考に作業された場合のいかなる結果にはワタシは責任を負いません。









SSTを作る

2005年09月19日 | SST
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簡単なSST(スペシャル・サービス・ツール)を作ってみます。
別にバナナキャリパーのオーバーホールを説明しますが、そこで使用するリングナットを回すレンチです。
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こういった精度を要求される穴あけには、センタードリルを使います。通常のキリの先端は円錐形には尖っていませんので、ポンチで窪みをつけてもズレてまう可能性がありますね。
もちろん、本当に正確に穴と穴の距離を正確にあけるのには、もっと大掛かりにする必要がありますが、簡単に、できるだけ正確に、という作業です。
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作っておいたピンと、先ほどできる範囲に正確に穴をあけたフラットバーです。ピンを作るのに手間取ってしまい、所要時間は約1時間ですね。ピンの材質は54Cの焼入れできる鋼ですので、フラットバーに固定する方法は圧入でやりたかったのですが、ピンを0.1mm削りすぎてしまって緩くなってしまい、しかたなく溶接してしまいました。
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キャリパーピストンのリングナットとSSTです。ナットを緩めるのは非常に固かったので作っておいて良かったです。