三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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五十嵐彰「文化財返還問題について考える」

2020年02月10日 | 海南島近現代史研究会
 以下は、一昨日(2020年2月8日)開催した海南島近現代史研究会第25回定例研究会(主題:歴史認識と社会変革)での五十嵐彰さんの報告(文化財返還問題について考える)の要旨です。
 次回の海南島近現代史研究会第14回総会・第26回定例研究会は、9月5日に開催します。

                       海南島近現代史研究会

■文化財返還問題について考える■
 1.エキゾチック
     開城 恭慇王陵 石羊 小倉コレクション 漆塗十二角盆 龍鳳紋兜
 2.戦利品
     北洋艦隊 鎮遠 捕獲品 御府 振天府 日の丸 中国人民抗日戦争紀念館
    佐野美術館 神道碑 大倉集古館 資善堂 高徳院 観月堂
 3.奪ってきた<もの>と遺してきた<もの>
     東洋拓殖株式会社釜山支店 関東軍司令部 「八紘一宇」塔
     頂上の巨岩に刻まれた「占領・井上部隊」という文字
 4.エシカル
     リサイクル フェアトレード ISO26000 SDGs CSRからSR 
     アイヌ民族に関する研究倫理指針 現地優先権

*1:中内 康夫2011「日韓間の文化財引渡しの経緯と日韓図書協定の成立」『立法と調査』第319号:22.「…国会審議の中では、相互の文化交流・文化協力という協定の趣旨からすれば、日本側が一方的に図書を引き渡すのではなく、韓国にある日本由来の貴重な図書の日本への引渡しを求めるべきであるとの主張が繰り返された。これに対し松本外務大臣は、日韓図書協定は日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされた図書に限定してそれらの引渡しを行うことを定めたものであり、その意味において、韓国国内に存在する図書の問題はこれと同列に論じられるべきものではなく、別途検討される性質の話しであるとの認識を示した。」
*2:先住民族の権利に関する国際連合宣言 (2007年9月採択)
 第11条-1 先住民族は、その文化的伝統および慣習を実践し、再活性化させる権利を有する。この権利には、過去・現在・未来にわたる先住民族の文化的表現(例えば、考古学的歴史的遺跡、工芸品、デザイン、儀式、技術、視覚的芸術、舞台芸術、文学)を維持し保護し発展させる権利を含む。
 第11条-2 国は、先住民族の自由で事前の情報に基づく同意なしに、又は先住民族の法・伝統および慣習に反して奪われた文化的、知的、宗教的および精神的財産に関して、当該先住民族と連携して設けた効果的な仕組み(原状回復を含む)を通じた救済を行なう。


※五十嵐彰さんには、2008年8月3日に開催した海南島近現代史研究会の第2回総会・第2回定例研究会で報告してもらいました。
 海南島近現代史研究会第2回総会・第2回定例研究会の内容はつぎのとおりでした。

■1年間の会の活動報告
■あいさつ 王建成(海南省民族学会副会長)
■研究報告Ⅰ
 金山「社会転型期的黎族伝統文化(社会転形期における黎族の伝統文化)
 海南島の先住民族である黎族の伝統文化は、改革開放後、とくに中国最大の経済特区である海南省が設立されたあと、大きく変貌しています。年中行事、伝統宗教、生活文化という三つの角度から、その変化を考察します。
■海南島近現代史研究会制作『海南島 2007年秋』、『海南島 2008年春』、『月塘三・廿一惨案紀念碑掲碑儀式』上映
■研究報告Ⅱ
 五十嵐彰「「日本考古学」と海南島」
 ある文化を認識するには、一定の時間(時代)を区切らざるを得ないと同時に、一定の空間(地理的範囲)を区切らざるを得ません。ある時間的空間的範囲を区切るためには、区切られた内部の均質性と外部との異質性が成立要件として求められます。「日本考古学」が区切っている時間的空間的範囲のいびつさ・歪みを、海南島という定点から検討します。
■研究報告Ⅲ
 水野明「海南海軍特務部編『海南島三省連絡会議決議事項抄録』について」
 1939年2月の海南島侵略直後から海南島の「政務」をおこなった三省(日本外務省、日本海軍省、日本陸軍省)連絡会議は、1942年11月に廃止され、以後、海南海軍特務部(前、第5艦隊情報部)が、海南島を政治支配しました。海南島三省連絡会議にかんする極秘文書を解析します。
■質疑・討論 参加者の発言・討論
■こんごの研究主題・研究課題
■月塘村全村民の日本政府に対する要求について
■日本軍の海南島奇襲攻撃70年後(2009年2月)に
■「会則」改定  


※以下は、五十嵐彰さんのブログ「第2考古学」に2020年1月31日に掲載された記事です。

https://2nd-archaeology.blog.ss-blog.jp/2020-01-31
■海南島近現代史研究会 第25回定例研究会、そして「アイヌ民族と博物館」[研究集会]■
海南島近現代史研究会 第25回定例研究会(予告)
日時:2020年 2月 8日(土)13時10分~17時
場所:国労大阪会館 1階ホール(大阪環状線 天満駅 徒歩5分)
主催:海南島近現代史研究会
主題:歴史認識と社会変革
・アジア大平洋における日本の国家犯罪 -アジア大平洋民衆の抗日反日闘争-(佐藤 正人)
・文化財返還問題について考える(五十嵐 彰)
・強制連行・強制労働の事実を子どもたちにどう伝えるか(鄭 初美)
・軍隊性奴隷の事実を子どもたちにどう伝えるか(皇甫 康子)
・植民地朝鮮における歴史認識と分断国家朝鮮における社会変革(金 靜美)
・討論:他地域・他国を侵略した国家犯罪、他地域・他国を植民地化した国家犯罪を認識しようとしない日本国家の政治・社会・文化・経済状況を解析し、民衆の歴史認識の方法を探求し、社会変革の具体的な道すじを討論の中で少しでも明らかにしていきたいと思います。

 私の発表では、エキゾチック-戦利品-エシカル-社会的責任をキーワードに現在考えていることをお話しいたします。大阪近辺にお住まいの方で文化財返還問題に関心のある方は、是非ご参加ください。皆さんのご意見をお聞かせください。

アイヌ民族と博物館 -文化人類学からの問いかけ- 日本文化人類学会 公開シンポジウム(報告)
日時:2020年1月26日(日)13時~17時30分
場所:法政大学 市ヶ谷キャンパス 富士見ゲートG401教室
主催:日本文化人類学会
共催:法政大学国際日本学研究所、日本人類学会、日本考古学協会、北海道アイヌ協会
後援:文部科学省
・アイヌ工芸における博物館の役割(山崎 孝治)
・研究成果の還元と博物館活動 -収蔵資料のデータベース化を中心に-(斎藤 玲子)
・いま、世界の博物館で起こっていること -資料の管理と展示、その返還-(出利葉 浩司)
コメント(佐藤 宏之、篠田 謙一、阿部 一司、佐藤 幸雄)

 前半2時間は発表3本(司会:太田 好信)、休憩後の後半2時間はコメントと討論(司会:窪田 幸子)だったが、後半の司会者が最後にいみじくも述べていたように、ここまで白熱・緊迫した討論も近年珍しいのではないか。
 ラウンドテーブルを契機とした「研究成果の促進と公開」を目的とした研究集会も4回目となるが、こうした新たな状況の出現は、昨年からラウンドテーブルに参加した文化人類学会の主催だからなのか、公開を目前に控えた象徴空間あるいは研究倫理指針といった状況の故なのか。

 討論の場で鋭く問われたのは、いったい何のために研究しているのか、という学問の根本的な問題である。
 そうした問いに対して、当時の入手方法が全て遺法とは思わないといった論点を回避する応答、ある意味で開き直りの対応がなされていた。まず当事者としては、「遺骨を今まで放置してきた責任を、あなたはいったいどのように考えているのか」という問いかけに対する自分なりの応答ではないのか。このことは、すでに4年前に明確に指摘されていたはずである。

 糾弾された側の応答としては、最後の「閉会のご挨拶」において、現在の見方で過去は裁けないといったよく聞く論法も示されたが、これが2020年のことなのか、ほとほと呆れるばかりである。問われているのは、「研究倫理」なのである。
 同じ人類学の名称を頂く「文化」と「形質」の研究者の間で、「火花が散る」場面も目にした。
 本件を巡っては、こうした「バトル」の<場>が無さ過ぎた。
 アメリカでもオーストラリアでも、こうした修羅場をいくつも潜り抜けて、今があるのではないか。

 糾弾された側は、「研究対象となる個人や社会の権利は、科学的及び社会的成果よりも優先されなければならず、いかなる研究も先住民族であるアイヌ民族の人間としての尊厳や権利を犯してはならない」という「研究倫理指針(案)」の文言を今一度心に刻むべきであろう。
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