「The Hankyoreh」 2024-09-06 07:00
■韓国裁判所、西松建設の「強制動員賠償責任」を初めて認める
【写真】遺族を代理したイ・ヒョンジュン弁護士(法務法人徳寿)と民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長が5日、ソウル中央地裁西館前で記者会見を行っている=チャン・ヒョヌン記者//ハンギョレ新聞社
韓国裁判所が日帝強占領期(日本による植民地時代)に朝鮮人たちを強制労役に動員した戦犯企業「西松建設」の損害賠償責任を初めて認めた。
ソウル高裁民事16部(キム・インギョム裁判長)は、強制動員被害者のK氏の遺族5人が西松建設を相手取って起こした損害賠償訴訟で、西松建設に7300万ウォン(約780万円)の支払いを命じ、原告一部勝訴の判決を言い渡した。
K氏は日帝強占領期に強制動員され咸鏡北道扶寧郡(プリョングン)の西松の工事現場で働き、1944年5月に死亡しており、遺族たちは2019年に西松建設を相手に1億ウォン(約1070万円)を請求する訴訟を起こした。これに対し、1審裁判部は、損害賠償を請求できる権利時効(消滅時効)から3年が過ぎたとして、原告敗訴判決を言い渡したが、控訴審はこれを覆した。昨年12月、最高裁(大法院)が強制動員被害者と遺族たちが日本製鉄と三菱重工業を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、原告勝訴判決を言い渡す際、消滅時効の計算基準を2018年10月30日と明示してから、この判例に従う判決が相次いでいる。裁判所は同日、「被告(西松建設)は原告のP氏(配偶者)に2000万ウォン(約210万円)、K氏など4人(子ども)にそれぞれ1333万ウォン(約140万円)を支給せよ」と判決を下した。
西松建設は日本を代表する土木企業で、三菱建設や日本製鉄などとともに戦犯企業に挙げられる。最高裁が消滅時効をめぐる争点を整理した後、三菱建設と日本製鉄を相手取った損害賠償責任を認める判決は出たが、西松建設を相手にした勝訴判決は今回が初めて。西松建設は2007年、日本の最高裁判所が中国の強制動員労働者500人余りに和解を勧告したことを受け、謝罪し金銭的な補償を行った。
遺族を代理したイ・ヒョンジュン弁護士(法務法人徳寿)は同日の判決後の記者会見で、「西松建設は2009年と2019年に中国の強制動員被害者には補償をしたにもかかわらず、韓国の被害者に対しては依然として法律上抗弁をしながら責任を回避している」とし、「西松建設に対する賠償責任が初めて認められたことに意味がある」と語った。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「西松建設は日本の植民地時代、中国と北朝鮮地域の大規模土木工事で成長した企業だ。中国の被害者に和解を通じて謝罪し補償したように、韓国の被害者にも謝罪し賠償しなければならない」とし、「他の事件の被害者の方々の中には、企業側が控訴状の送達を故意に遅らせている事例もある。韓国政府は日本政府に抗議し、外交的保護権を行使しなければならない」と話した。
チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-09-05 14:28
「The Hankyoreh」 2024-09-01 22:51
■強制動員被害者の遺族、「佐渡鉱山」戦犯企業にまたも勝訴
【写真】日帝による強制動員期、炭坑に入る前に精神講話を聞いている朝鮮人労働者たち=三千里提供//ハンギョレ新聞社
日帝強制動員の被害者の遺族たちが、佐渡鉱山などを経営していた日本の戦犯企業「三菱マテリアル(旧三菱鉱業)」を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、一部勝訴した。昨年、最高裁が強制動員に対する損害賠償請求の消滅時効基準を2018年10月30日と明示してから、被害者側の勝訴判決が相次いでいる。
ソウル中央地裁民事36単独のイ・ジェウン部長判事は30日、Hさん、Lさんら5人の被害者が起こした損害賠償請求訴訟で、Hさんに2727万ウォン(約298万円)あまり、Lさんら4人に1人当たり1818万ウォン(約198万円)を支払うよう被告に命じる原告一部勝訴の判決を下した。
最高裁は強制労働の被害者と遺族たちが日本製鉄と三菱重工を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で昨年12月に原告勝訴判決を下した際、消滅時効の計算基準を、強制動員の被害者たちの慰謝料は1965年の韓日請求権協定に含まれていないとの結論が最高裁全員合議体によって下された2018年10月30日であると明示した。被害者が日本企業の不法行為に対する損害賠償を請求する権利が自身にあることを知ったのは、2018年の最高裁全員合議体判決によってであると判断したのだ。その後、下級審もこれを基準として判決を下している。ただし日本企業側は韓国の裁判所で被害者勝訴の判決が下されても賠償を拒否しており、実際に賠償が実現するかは未知数だ。
今回の事件の被害者たちが訴訟を起こしたのは2019年3月で、消滅時効に関する最高裁の結論を待つために期日未定(追って指定)状態で2年間弁論が延期されていた。
三菱グループは日帝強占期に軍需産業を足場に急成長し、その際に10万人あまりの朝鮮人を強制動員したと推定される、代表的な日本の戦犯企業だ。三菱グループに属する三菱鉱業はかつて日本現地で27カ所、朝鮮半島で37カ所の作業場などを経営していた。その中には軍艦島や佐渡鉱山なども含まれている。佐渡鉱山は今年7月にユネスコ世界遺産に登録されたが、韓国政府もこれに賛成し、物議を醸している。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-30 11:38
「聯合ニュース」 2024.08.30 13:27
■徴用訴訟 また日本企業に賠償命じる判決=韓国地裁
【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル中央地裁は30日、日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者5人が三菱マテリアル(旧三菱鉱業)を相手取って起こした損害賠償訴訟で、原告のうち1人に約2700万ウォン(約290万円)、残りの4人にそれぞれ約1800万ウォンを支払うよう命じる判決を言い渡した。
【写真】徴用被害者が起こした訴訟で日本企業に損害賠償を命じる判決が言い渡された=(聯合ニュースTV)
裁判所は、大法院(最高裁)の全員合議体による判決で徴用被害者の司法による救済が可能になった2018年10月30日を損害賠償請求権の消滅時効の起算点にすべきと判断したとみられる。
大法院は昨年12月、18年の判決が言い渡されるまでは被害者が損害賠償の請求権を行使できない「障害理由」があったとする判断を示した。その後、徴用被害者の請求権を認めた判決が相次いで言い渡されている。
「The Hankyoreh」 2024-08-30 07:11
■強制動員の被害者と遺族、破産した戦犯企業を相手取った損害賠償訴訟で勝訴
【写真】日帝強占期に北海道炭礦汽船が北海道で経営していた夕張鉱業所に強制動員されたパク・キチュさんは、崩落事故で死亡。写真はその際に日本から送られてきた弔慰状=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社
日帝強占期に強制動員された被害者とその遺族たちが、戦争犯罪企業の北海道炭礦汽船を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で勝訴した。
光州(クァンジュ)地方裁判所第14民事部(ナ・ギョン裁判長)は29日、日本による強制動員の被害者のチョ・ドンソンさん(99)とその他の13人の被害者の遺族に対して1200万~5000万ウォン(約130万~545万円)の賠償金を支払うよう北海道炭礦汽船に命ずる判決を下した。
北海道炭礦汽船は北海道で夕張、平和、幌内、空知、天塩などの複数の炭鉱を経営し、3万3000人あまりの朝鮮人を強制動員した戦犯企業だ。
原告被害者のうち5人は崩落事故などで現地で死亡し、残りの被害者も呼吸器疾患、関節疾患に生涯悩まされた。
全羅南道麗川(ヨチョン)で農業を営んでいた故キム・ヨンイルさん(1898~1943)は、44歳だった1942年12月に4人の子どもを故郷に残して夕張鉱業所に強制徴用され、翌年7月に死亡した。死亡理由は分かっておらず、崩落事故と推定される。パク・キチュさんも1943年4月に夕張鉱業所で崩落事故で命を落とした。
イ・ナムグォンさんは、1942年1月から1943年9月まで北海道の万字炭鉱で働かされ、目を負傷して視力を失うなど、日本から帰還した被害者も苦しみの中で生涯を送った。
ただ、北海道炭礦汽船は石炭産業の衰退で1995年に会社更生法の適用を申請して事実上倒産しており、2005年に会社更生手続きが完了しているものの、企業名のみが名目上残っているに過ぎないため、原告が補償を受けるには困難が伴うとみられる。
強制動員市民の会のイ・グゴン代表は、「原告は補償というより強制動員の被害を認めさせ、司法的記録を歴史に残すために訴訟を起こした」として、「強制動員被害者の切なる心情を韓国政府には読み取ってほしい」と話した。
キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-29 16:34
「The Hankyoreh」 2024-08-29 08:08
■強制動員被害者、国相手の「韓日請求権資金」訴訟で敗訴
日本から受け取った資金のうち、被害者の分を請求する訴訟
韓国裁判所「日本相手の個人請求権は消滅していない」
【写真】日帝による強制動員で集められ、炭坑に入る前に精神講話を聞いている朝鮮人労働者たちの姿=三千里提供//ハンギョレ新聞社
日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者と遺族が、1965年の韓日請求権協定で日本から受け取った資金のうち、個人の分を求めて国を相手取って起こした訴訟で敗訴した。最高裁(大法院)が2018年、「強制動員被害者の損害賠償請求権は韓日請求権協定で消えていない」と判断したことを受け、賠償をめぐり日本と争うべきという趣旨だ。だが、現在日本の企業らは関連訴訟で敗訴したにもかかわらず、損害賠償金の支払いを拒否している。
28日、ソウル中央地裁民事合議15部(チェ・ギュヨン裁判長)は、日帝強制動員被害者遺族のA氏など6人が大韓民国を相手取って起こした損害賠償訴訟で、原告敗訴の判決を言い渡した。
強制動員被害真相究明などに関する特別法により強制動員被害者に認定された人の遺族であるA氏らは2017年、「韓国政府が1965年に韓日請求権協定を締結したことにより、原告らが直接日本または日本企業に対して強制動員被害に関する損害賠償請求ができなくなった。この協定により(日本から)請求権資金を支給されて以降は経済発展事業などに消費し、原告らに支給しなかった」と主張し、国に対し損害賠償訴訟を起こした。韓国は当時、無償援助3億ドルなどを受け取ったのだから、強制動員被害者の分として支給されるべき金を返してほしいという趣旨だ。
しかし、裁判所は賠償をめぐり争う相手は日本企業だという理由で請求を棄却した。裁判所は「最高裁は2018年に全員合議体判決で、強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権は請求権協定適用対象に含まれないという法的見解を最終的に示した」とし、「原告らの(日本企業に対する)損害賠償請求権は消滅していない」と判決を下した。同日、同裁判所の民事合議45部(キム・ギョンス裁判長)も、被害者と遺族10人が国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、同じ趣旨で原告敗訴の判決を言い渡した。
一方、2018年に最高裁の全員合議体の判断が出たにもかかわらず、日本企業は損害賠償金の支払いを拒否している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は「第三者弁済」の形で被害者に賠償金を支給するという対策を出したが、被害者は強く反発し賠償金の受領を拒否している。
チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-28 20:46
「The Hankyoreh」 2024-08-28 07:52
■日帝強制労働被害者の遺族、三菱鉱業を相手取った損害賠償訴訟で一部勝訴
【絵】日帝強占期に三菱鉱業が運営する福岡県の上山田炭鉱に強制動員された故イ・サンオプさんが生前、被害状況を鉛筆で描いた絵=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社
最近、佐渡鉱山(佐渡島の金山)が「朝鮮人強制動員」を削除してユネスコ世界遺産に登録され物議を醸した中、佐渡鉱山を運営していた日本の戦犯企業による強制動員の被害者の遺族たちが損害賠償訴訟で一部勝訴した。
光州(クァンジュ)地方裁判所11民事部(ユ・サンホ裁判長)は27日、被害者の9人の遺族が三菱マテリアル(旧三菱鉱業)を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、原告一部勝訴の判決を下した。
同地裁は、原告のうち6人については日本による強制動員の被害を認め、三菱マテリアルに対し、4人に各1億ウォン(約1080万円)、残る2人にそれぞれ1666万ウォン(約180万円)、7647万ウォン(約828万円)を支払うよう命ずる判決を下した。残る3人の遺族の請求は棄却した。
今回の訴訟は2020年1月に起こされたが、公文書の送達遅延や三菱マテリアル側の頻繁な期日変更などで、判決までに4年7カ月かかった。
被害者たちは日帝強占期に三菱鉱業が運営していた鉱山に強制動員され、賃金を受け取れないまま厳しい労役に苦しめられた。三菱鉱業は、日本政府が強制動員の内容を削除してユネスコ世界遺産に先日登録した佐渡鉱山をはじめ、日本各地で鉱山を運営していた。ただし、今回の訴訟の原告に佐渡鉱山の被害者の遺族はいない。
訴訟で原告を支援してきた日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長は、「佐渡鉱山が波紋を広げている状況で、韓国司法が三菱鉱業に対して司法判断を下したことは大きな意味がある」と話した。
キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-27 16:00
「The Hankyoreh」 2024-08-23 07:18
■韓国裁判所「日本製鉄は強制動員遺族に賠償せよ」…1審覆し責任認める
消滅時効の開始点、最高裁判所の判例に従う
【写真】貝島大之浦炭鉱で働く朝鮮人鉱夫=行政安全部提供//ハンギョレ新聞社
戦犯企業の日本製鉄を相手取った損害賠償訴訟で、韓国の裁判所が相次いで強制動員被害者遺族たちの主張を認めた。1審では消滅時効が過ぎたという理由で原告敗訴の判決が言い渡されたが、控訴審では異なる判断を示した。
ソウル中央地裁民事控訴7-1部(キム・ヨンファ裁判長)は22日、新日鐵住金(現日本製鉄株式会社)に強制動員され死亡したMさんの遺族5人が会社を相手取って起こした損害賠償訴訟で、「日本製鉄は遺族に8000万ウォン(約870万円)を賠償せよ」と判決を下した。Mさんは1942年2月9日、釜石製鉄所に連れて行かれ強制労働に動員されたが、同年7月14日に逃げ出した。原告であるMさんの子どもたちは、1989年に亡くなったMさんに代わって2019年4月、日本製鉄を相手に損害賠償訴訟を提起した。
1審の争点は、遺族が損害賠償を請求できる消滅時効がいつ始まったとみるべきかだった。民法は被害者が損害あるいは加害者を知った日から3年以内に損害賠償を請求しなければ請求権が消滅すると定めている。これに先立ち、強制労働被害者4人は日本製鉄を相手に2005年に国内の裁判所で訴訟を起こし、2審で敗訴したが、2012年5月に最高裁(大法院)で破棄差し戻されたのち、2018年10月の再上告審で勝訴が確定した。遺族たちはこの事件が確定した2018年の最高裁の全員合議体の判決を消滅時効の開始点だと主張。一方、日本製鉄側は最高裁が被害者勝訴の趣旨で事件を破棄差し戻した2012年を損害賠償請求権発生時点とみなすべきだと主張した。1審裁判所は日本製鉄の主張を認めた。ところが、控訴審裁判所はこの日、1審の消滅時効満了の主張を覆して原告勝訴を言い渡した。同日、同裁判所の民事控訴6-2部(裁判長チ・サンモク)も、強制労働被害者のCさんの子ども4人が、日本製鉄を相手取って起こした損害賠償訴訟で、日本製鉄に1億ウォン(約1090万円)の賠償金の支給を明示、1審の判断を覆した。
【写真】22日、ソウル中央地裁第1別館の前で、強制動員被害者訴訟代理人団と民族問題研究所が一緒に記者会見を行っている=チャン・ヒョヌン記者//ハンギョレ新聞社
強制労働被害者と遺族たちが日本製鉄と三菱重工業を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、昨年12月に最高裁が原告勝訴判決を言い渡す際、消滅時効の計算基準を2018年10月30日と明示してからは、最近裁判所はこのような趣旨で日本企業の賠償責任を認めている。原告を代理したイ・サンヒ弁護士(法務法人チヒャン)は同日、判決後の記者会見で、「被害者の方々が亡くなったため、具体的な被害内容を直接肉声で裁判所に伝えることができず、訴訟が難しかった。日本製鉄もやはりそのような点を利用して不法行為の事実そのものを否定してきた」とし、「製鉄所で働いた人たちが残した資料と、被害者が働いているうちに逃げ出したという記録などを総合して過酷行為を立証し、総合的に損害賠償責任が認められたと思う」と語った。さらに「両事件ともに1審で消滅時効に関して前向きな判断をしてほしいと求めたが認められず、幸いにも昨年末に最高裁で判決が出て、2審で勝訴判決を勝ち取ることができた」と付け加えた。民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長は「日本製鉄に対する強制動員の請求書が溜まっている。強制執行について話し合い、強制動員企業が最高裁の判決に従って謝罪し賠償するよう要求し続ける」とし、「政府はあたかも第三者弁済で(賠償問題が)終わったかのように語っているが、このような判決は続くだろう。政府は判決履行のために努力しなければならない」と述べた。
チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-08-22 20:37
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