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この記事は私の確認不足だったことが分かりました。文部科学省の東日本大震災関連情報ホームページに、定時降下物のモニタリングというページがあります。これを見落としていました。『定時降下物について、毎日24時間、降水採取装置により採取し、ゲルマニウム半導体核種分析装置を用いて核種分析調査を行い、定期的に可能な限り1日1回、自治体に報告を求める。』 ということです。
測定地点は下に書いたフローと同じ47都道府県それぞれ1個所ですから、平常時の仕事をそのまま続けているだけと思いますので下に書いた私の考えに変わりはありません。


文部科学省の公開データを見ていて感じたのは、これは平常時のフローを全国的な傾向として見ているだけで、今の非常時には何の役にも立たないのではないかということです。
足柄茶汚染のニュースからそれを確認するために山梨県の観測地、甲府市富士見の山梨県衛生環境研究所を調べましたが、文部科学省の委託で実施している計測は地上15m程度の建物の屋上でした。神奈川県で横浜市独自の計測でも環境科学研究所(磯子区滝頭、5階建)の屋上でした。47都道府県全てを確認せねばいけませんが、原発のある鹿児島県のサイトが大変参考になります。

【補足-測定位置が高いことについて】 財団法人日本分析センターが文部科学省の委託により管理・運営しているサイト、「日本の環境放射能と放射線」に、「連続モニタによる環境γ線測定法」というマニュアルがあることが分かり、そのPDFファイル 11/58 「第4章 連続モニタの設置」 に「検出器の地上高をそれぞれの方式について統一する。」 として 「・・・シンチレーション式モニタの検出器は地上高10m以上,屋上からの高さ3m以上とする。」 とされていました。このことは、専門家が答える 暮らしの放射線Q&Aの記事に書かれていて確認できたものです。

鹿児島県の環境放射線監視情報のホームページから、「監視体制の紹介と解説」を開くと、鹿児島市内にある「鹿児島県環境保健センター」の紹介ページが読めます。
同様に、【測定局設置状況一覧】のページがありますが、『川内原子力発電所の周辺地域には発電所を取り囲むように県が22局、九州電力(株)が6局、合計28局の放射線測定局を設置しており、24時間絶え間なく監視を行っています。』 の28は全て鹿児島市内ではありません。
すなわち文部科学省の公開データが記載しているのは鹿児島市のデータだとわかります。おそらく他県でも同様でしょう、**県環境センターなどと命名された施設が受託している計測作業を載せているだけだと思います。

全国的な大気の流れで各地の傾向を観察していると、国内原発、大陸、半島の状況や洋上で軍艦などに原子力関係の事故があったことを察知できるという程度じゃないかと思います。
いうなればフローを観察していてその傾向から何かを察知するということで、事故が確認された時には非常体制でのきめ細かい観測網が敷かれる体制があるのだと思います。その時にはストックも観測せねばならない。火山噴火で言えば火山灰の蓄積を問題にするのと同じです。

鹿児島県の上記ページからは、観測局には風向風速計や雨量計まで含まれている事が分かります。
甲府盆地に八ヶ岳方面からの風が吹いている時に、平常時より多い放射線量が計測されているなら、それが微量な差であっても問題だと考える必要があるかも知れません。計測時の条件において等しければ問題はありません、というような科学的な検証は求められるはずです。フローを見ている文部科学省のデータからそこまで分かるでしょうか。
フローを見ながらストックを考える事が必要なはずです。それは地上15mの計測で得られるものでしょうか。

右側のリンク集に追加した3.11東日本大震災後の日本から、東京大学で公開している「東京大学環境放射線情報」を知りました。環境放射線情報に関するQ&Aには、本郷(2)-6階相当、本郷(3)-地上1m、駒場-3階相当、柏(1)と柏(2)は地上1mという測定高さ、そして地面の状況が記載されています。明らかに地上に近い方が値は高い、その理由もこのページには書かれています。
東京大学の原子力関係者は原子力村だと批判される記事をよくみかけますが、≪東京大学環境放射線対策プロジェクト≫との関係を私は知りません。このように客観的に判断できる資料を公開されているのは素晴らしいと思います。

この非常時に必要なのは、フローと同時にストック(地上への蓄積量)をきちんと測定し、各地の比較も容易な整理した形で公開する事だと思います。東京都でも分かった下水汚泥の放射能汚染からは、上水道と同様に下水の計測も間接的に地上汚染の状況判断に役立つらしいと感じました。
収穫された全ての果実農畜産物に風評被害などというものが発生したのは明確な情報が見えないことにあった、などと歴史に刻まれるのは恥ずかしい事だと思わねばなりません。魚介類についても状況は同じです。
その地域で公開された測定値が他地域の人々にも信頼されるかどうかは別な問題です。



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