【根性悪】

【根性悪】

土砂降りの雨の中、清水ライナーで清水駅前に着いたら、駅前の某所で道を尋ねている若い女性がおり、おそらくサッカー観戦を兼ねて他地域から雨の中清水にやってきたらしい。
質問を受けた男性が不親切な男で
「そういうことはよそで聞いてくださいよ」
などという。
郷里の人間が他地域からの客に不親切なのは我慢ならないので、見かねて横から教えてやっていたら、割り込んできて声を荒げて同じことを言う。

撮影日: 07.10.27 9:37:40 AM
SONY DSC-L1

「(だったら最初から親切にお前が教えてやればいいだろうが!)」
と怒鳴りつけてやりたくなった。
この男は不親切なのではなく意地が悪いのであり、清水弁で言えば
「あいつは まーず 根性 わりーだよ」
という手合いなのだった。
久しぶりに呑気で開けっぴろげでお人好しの多い郷里清水で根性わりー男に会った。

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【東名ここまで】

【東名ここまで】

清水ライナー東京行きが首都高集中工事による渋滞で大幅に遅れ、じりじりと這うように前進していたら「東名ここまで」と書かれた看板があった。

撮影日: 07.10.28 1:12:24 PM
SONY DSC-L1

高速走行している時に見つけたなら
「(そうか東名高速はこの辺までなのか)」
とおおざっぱに思うのだけれど、数メートル単位で匍匐(ほふく)前進中だと
「(ここまでって数センチ違わずその看板の場所で終わりなのか?)」
などとからんでみたくなる。

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【浚渫】

【浚渫】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 10 月 31 日の日記再掲

港は定期的に浚渫(しゅんせつ)しないといけないものらしく郷里静岡県清水で暮らしていた頃は、港を散歩すると浚渫作業をよく見た。

「しゅんせつせんがしゅんせつさぎょうをしていた」
などという言葉を先に覚え、あとから「しゅんせつ」が「浚渫」という不思議な文字を書くことを知って驚いた。今でも「浚渫」という文字を見たら「しゅんせつ」と読めるけれど、とっさに「しゅんせつを漢字で書け」と言われたら書けない。

■浚渫船「第一龍将丸」の巨大な装備。
撮影日: 07.10.28 8:49:16 AM
RICOH Caplio R1V

英語で浚渫することすなわちすくい上げることを dredge(ドレッジ)と言い浚渫機や浚渫船や浚渫作業員を dredger(ドレッジャー)という。

面白いのは英語辞典で dredge をひくと「さらう」とか「掘り起こす」とかとまったく逆の意味の「まぶす」とか「ふりかける」という意味の dredge もあることで、ケーキ作りなどで用いる粉砂糖ふりかけ器もまた dredger(ドレッジャー)という。

■この手のようなもので港内の泥をすくい取るのであり、そのものずばりグラブと呼ばれる。
撮影日: 07.10.28 8:47:46 AM
SONY DSC-L1

ある言葉が全く逆の意味を同時に持つという事例に時折気づくけれど、ひとつの言葉が同時に相反する意味を持つことは多いらしい。

「多くの言語学者たちは、最も古い言葉では強い-弱い、明るい-暗い、大きい-小さいというような対立は、同じ語根によって表現されていたと主張しています(『原始言語の反対の意味』)。たとえば、エジプト語のkenは、もともと「強い」と「弱い」という二つの意味をもっていました。対話の際、このように相反する二つの意味を合わせもつ言葉を用いる時には、誤解を防ぐために、言葉の調子と身振りを加えました。(中略) フロイトは同種の事例をいくつか列挙している。ラテン語のaltusは「高い」と「低い」の二つの意味があり、sacer には「神聖な」と「呪われた」の二つの意味がある。英語の with は「それとともに」と「それなしに」の両方の意味をもっていたが、今日では前の意味でのみ用いられている ( withdraw「取り去る」や withhold「与えない」という動詞には「それなしに」という古義の名残りがとどまっている)。もちろん日本語にも同じ現象は存在する。 」(内田 樹 《シリーズ ケアをひらく》『死と身体-コミュニケーションの磁場』医学書院より※改行一部削除)

難しい話しは抜きにして、十返舎一九『東海道中膝栗毛』でわが郷里を通った弥次喜多が「いかず」という言葉の意味についてひっかかっていて、子ども心にくだらないことが書いてあると思ったのを記憶している。清水で「いかず」は「行かない」ではなく「行きましょう」なのだけれど、清水で「いかず」と言う時には誤解を防ぐために、言葉の調子と身振りを加えて話すのであり、弥次喜多はともかく、たいていの良識ある旅人も子どもだって清水で「いかず」と言われて「行かない」と言っているなどと文脈を無視して間違えたりはしないと子ども心に腹を立てたものだ。

■江尻船溜停泊中の浚渫船とパピヨンを連れてひなたぼっこしながらスポーツ紙を読む男。男の姿を見てわかるように清水の港は暖かい。
撮影日: 07.10.28 8:51:52 AM
RICOH Caplio R1V

そういう些末な言葉の揚げ足取りではなくて、郷里清水では「われ」と言うと「あなた」であり、「くれる」がなぜ「あげましょう」なのかというところが、多くの言語学者やフロイトや“内田樹を読みながらもやっぱり不思議な深みを持って感じられて仕方なく、清水ライナー東京行き発車時刻を待ちながら江尻船溜で懐かしいふるさと言葉の浚渫作業をする。

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【巴川の鼻毛】

【巴川の鼻毛】

静岡県清水、朝の陽光がまぶしい柳橋から大正橋に向かう川岸でハゼを釣る人々。

撮影日: 07.10.28 8:31:07 AM
SONY DSC-L1

巴川を大量の大地の鼻毛(オオカナダモ)が流れているのでちょっと釣りにくそう。

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【藻と鼻毛】

【藻と鼻毛】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 10 月 30 日の日記再掲

郷里静岡県清水を流れる巴川には雨が降るたびに上流から大量の藻が流れてくる。

東京にいて生まれ故郷に豪雨が降っていると聞くと、増水した川を次々に藻が流れ行く光景を思い出し、幼い頃から巴川は激しい雨が降るたびにそうやって大量の藻を海へと押し流していたのだ。

■土砂降りの稚児橋下流を流れゆく藻。
撮影日: 07.10.27 1:01:31 PM
SONY DSC-L1

藻の正体であるオオカナダモは大正時代に帰化して各地で自然増殖し、琵琶湖で異常繁殖して環境問題にもなったらしい。

多少の水質汚濁にも耐えられるので……といえば聞こえがいいけれど、水質汚濁によって富栄養化した水中にぴったりの沈水食物が温暖な静岡の地で異常繁殖して大雨が降るたびに川を下って海に流れ込んでいるのではないだろうか。

■台風一過柳橋下流をのんびり流れゆく藻。
撮影日: 07.10.28 8:28:41 AM
SONY DSC-L1

長年にわたる喫煙をやめた友人が最も顕著な身体の変化として、かつては抜いても抜いても生えてきた鼻毛の伸びが穏やかになったと言う。

ということは汚れた空気を吸い込む鼻に生える鼻毛と、汚れた水系に生える藻はどこか似ている。大雨が降るたびに膨大な藻が流れてくるさまは、台地が風邪をひいて滔々(とうとう)と流れ出る鼻水に混じって、都市の鼻毛が引きちぎられてどんどん流れてくるのだ。

■いったいどれくらいの量の藻がひと雨ごとに流れ出るのだろう。
撮影日: 07.10.28 8:30:11 AM
SONY DSC-L1

膨大な鼻毛が引きちぎられて雨が降るたびに海に流れ込んでいる……と想像すると大きなくしゃみが出そうになる。

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【釣人よ+】

【釣人よ】

生まれ故郷の岸壁で海釣りをする人の姿を後ろに座って眺めるなら、若い人より年寄りの方が面白い。
古びた道具につけられた 1 本の紐(ひも)の使い道まで
「(なるほどなぁ…)」
と感心するような工夫がしてあったりするからだ。

撮影日: 07.10.28 9:12:36 AM
RICOH Caplio R1V

年をとった釣人の道具は、母親の裁縫箱や絎け台(くけだい)などにどこか似ている。

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【いさみ寿しとサボテン】

【いさみ寿しとサボテン】

静岡県清水上清水。

柳宮通りにある「いさみ寿し」。
前を通るたびに気になってのぞき込む店だけれど、どうやら立ち食いではなくて会席向けの店(?)のようで、この店に設けた席に呼ばれたことがないのでいまだに縁がない。

撮影日: 07.10.15 1:59:49 PM
Canon IXY DIGITAL L2

席でも設けるか呼ばれないと縁がない店というのが世の中にはあり、割烹「玉川楼」もつい最近まで入ったことがなかったし、中学校の同窓会をすっぽかして以来「若ざわ」にもなぜか縁がない。

なぜか縁がない店にはサボテンがよくにあう……なんてことはないか。

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【はなみずき通りの井戸】

【はなみずき通りの井戸】

静岡県清水八千代町方向からはなみずき通りを歩き、おそらく住所は清水三光町ということになるのだろうが、市立第三中学の通りを挟んだ向かい側に井戸がある話しをしたら、その界隈がテリトリーの友人達に通じなかった。

撮影日: 07.10.14 1:18:28 PM
Canon IXY DIGITAL L2

自分のテリトリーでない場所の話しで首をかしげられると、何だかひどく自信が無くなってしまうので、帰京して写真を確認するとやっぱりイエローハット方向に向かっていくと三中の向かい、はなみずき通りを挟んだ場所に井戸がある。

「ほら、やっぱ井戸があるじゃ~ん」
とインターネットの彼方に足をバタバタさせながら言ってみる。

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【釣人よ】

【釣人】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 10 月 29 日の日記再掲

 

岸壁で釣りをしている人がいる。

■静岡県清水、江尻船溜(えじりふなだまり)にて。
撮影日: 07.10.28 9:15:48 AM
RICOH Caplio R1V

晴れ渡った秋の日に岸壁に腰を下ろして海釣りをする人の姿をぼんやり見ている自分がいる。

■釣り人が見つめている浮子(うき)。
撮影日: 07.10.28 9:17:40 AM
RICOH Caplio R1V

たった一度きりの人生、その限られた時間を、こうして岸壁の海釣りでやり過ごしている人の気持ちになってみようとしても難しい。
 
そうやって生まれ故郷の岸壁で海釣りをする人の姿を後ろに座って、この人の気持ちになってみようとぼんやり眺めている自分の姿を、さらに後ろから眺める自分がいたらきっと、この人の気持ちになってみようとしても難しいと言うだろう。

■時折立ち上がって浮子の周囲にコマセを撒く。
撮影日: 07.10.28 9:07:03 AM
RICOH Caplio R1V

そうやって入れ子構造に考えてみる人生のマトリョーシカでは、先頭の釣り人だけがリアルに生きている。

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【清水ライナーオンライン予約】

【清水ライナーオンライン予約】

友人から余っている清水ライナーの回数券をいただいたので利用することにし、電話予約をしようと思ったらいつまで経っても話し中なので、コンピュータからのインターネット予約をしたら簡単便利なので嬉しい。
空席を確認し窓際か通路側の席を選ぶとメールで即座に予約番号が送られてくる。



バスに乗り込んだら若い乗客が多く車内がにぎやかで、話し声を聞くともなく聞いていたらエスパルス対ガンバ大阪戦応援に行くのだった。
台風接近でひどい雨降りなのに熱心で感心する。

回数券をくれた友人宅で飲んでいたら雨音に混じって花火の音が聞こえ「雷か?」「エスバルスが勝ったんだ!」と歓声が上がる暴風雨の夜。

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【だいぶ下まで雪ん来たね!】

【だいぶ下まで雪ん来たね!】

清水魚河岸脇の岸壁で立ち止まって富士山の写真を撮っていたら
「だいぶ下まで雪ん来たね!」
という大きな声がしたので誰かが話しをしているのだろうと振り向いたら、脇を自転車の鮮魚商らしきオヤジが追い越して行って誰もいない。

■江尻船溜、清水魚河岸前からの富士。
撮影日: 07.10.28 9:25:51 AM
RICOH Caplio R1V

リュックサックを背負って写真を撮っている男がいたので追い越しざまに思わず声をかけたのだろう。

清水船溜の岸壁に立ち台風一過で冠雪した富士山を見て
「だいぶ下まで雪ん来たね!」
と実は自分も誰かに話しかけてみたかったことに気づくひとりの朝。

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【北矢部の力石】

【北矢部の力石】

有度山トンネルを抜けて北矢部に出て坂道を下っていたら左手に伊勢神明社があった。

神明社境内に力石があり、力石はどこにでも残っているものだけれど、こうやって通りすがりの者が両手でつかんで力試しできる状態で
きわめてざっくばらんに置かれているのは珍しくて「(ああ清水だなぁ)」と思う。

撮影日: 07.10.15 0:46:32 PM
Canon IXY DIGITAL L2

学生時代から物を持ち上げるのは結構得意で、大学の化学の授業では剛力(ごうりき)と老教授に呼ばれて、ガタの来た巨大黒板の上げ下げをさせられていたこともあるので、荷物を足もとに置き両手で持ち上げようとしてみたけれど全然持ち上がらない。

左右に揺すってみたら簡単に動くので、もう少し力のある男なら確かに持ち上げられたのだろう。

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【大沢川の魚影】

【大沢川の魚影】

魚が好きなので川があるとついつい橋の上からのぞき込んで魚影を探してしまう。

静岡県清水船原町と船越東町と西高町と大沢町が角を接する場所は橋になっており、そこには日本平山麓から流れ出した大沢川が流れている。

撮影日: 07.10.15 1:06:32 PM
Canon IXY DIGITAL L2

のぞき込んだらギョエー!の群れ(相米慎二映画にかけたしょうもないしゃれ)が、川上に頭を向けて水中ホバリングしていた。
縦の線になってこの写真にも写っているけれど並大抵の数ではない。

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【焼きとりの木内】

【焼きとりの木内】

静岡県清水木の下町の「焼きとりの木内」。
今から40年以上前、大内田んぼにあった祖父母の瓦工場から大人用の自転車に跨り、堀込橋を渡り国道警ら隊(県警本部分庁舎)の交差点で国道1号線を渡り、狐ヶ崎の上原跨線橋を越え、旧東海道に入って平川地(ひらかわじ)で右折して有東坂を過ぎ、木下町と船越南町の境で左折してこの「焼きとりの木内」に自転車を預け、清水市立第二中学に通っていた時期がある。

撮影日: 07.10.15 1:01:48 PM
Canon IXY DIGITAL L2

東京から生まれ故郷に引き上げてきたものの、新たな生活の準備に手間取っているうちに新学期が始まってしまい、祖父の
「自転車で木内まで行って預かって貰え」
というひとことで校則違反の自転車通学をしたのだった。
あの頃はこの親戚の者が営む店のまわりものどかな田園地帯で、店の裏手も確か畑だったんじゃなかったかなと懐かしく思い出す。

【そうだ、草薙行こう…6(最終回)】

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【日本平ハイキングコース】

【日本平ハイキングコース】

茶畑に寝転がって茶の実を拾う船越の茶の実友だちに
「船越からそのまま歩いて日本平の頂上まで行けるんだぞ」
と誘われて一緒に登ったことがあった。

同じような山道を歩くのであっという間に方向感覚を失ったけれど、彼らが自分の庭のように畑の中の道を辿って、日本平山頂まで連れて行ってくれてびっくりした。




途中喉が渇いてミカンを枝からもいで食べていたら畑からお百姓が突然顔を出してニヤッと笑い
「ここで食べるだけにしとけよ」
などと言ってくれたりしたのも胸を熱くする生まれ故郷の思い出である。

それらの道はいまハイキングコースとして整備されている。

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