電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
▼散歩の拾いもの
午後から買い物を兼ねて北区西ヶ原方向に散歩。
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iPhoneにて撮影。
「わたしの庭・みんなの庭」の小さな田んぼも田植えを終えていた。
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iPhoneにて撮影。
染井霊園入り口の珍しい十二地蔵。
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iPhoneにて撮影。
東京外大跡地「西ヶ原みんなの公園」のビオトープ。手前左水辺の土に引っ掻き跡があるのは、時折飛んでくるツバメが土を持っていくから。
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iPhoneにて撮影。
染井銀座はずれにある焼鳥屋さんの年季が入った算盤。
▼114……空の前景
東京都文京区千石。
空は空だけ映像として切り取ってみれば
世界中どこでも同じ空に見えてしまうので
空は前景に何を選ぶかによって自分だけの空になる。
道を歩いていて自分好みの空をみつけると
嬉しくなるので写真を撮る。
地を這うものとして生きる自分が
空に向かって延びて行こうとするものを見ると
それがわずか数メートルに満たない地上からの飛翔であっても
空との確実な関係を仲介してくれているようで好きだ。
5月10日、早朝散歩でみつけた希望の空。
▼113……囲われた土地
東京都文京区千石。
広大な土地が更地になり
再開発でどうせまた巨大マンションでも建つのだろうと思ったら
いつまで経っても更地のままでいる。
どうしてなのかその理由は知らない。
勝手に立ち入らせて問題が起こるのを防ぐためか
長い長い塀で厳重に囲まれている。
あまりに厳重なのでかえって中がどうなっているか気になる人が
塀を壊したり乗り越えたりして侵入したりしないための配慮か
所どころ透明窓になって中が覗けるようになっている。
時間の経過とともに更地にも草が生え
荒れ果てた光景というより
都市から失われた貴重な自然にも見えてくるわけで
かつて子どもたちが草野球で遊んでいた
懐かしい空き地のあった時代を懐かしむための
覗きジオラマになっている。
【玩物日記】
iPhoneを持ち歩くようになって毎日頻繁に目にするホーム画面。そこに貼れる壁紙をウェブ上で探しても壁紙といいながら紙らしい壁紙がないので、自分で好きな壁紙を作ってみた。
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iPhoneに表示した壁紙。
作ってみたと言っても好きな紙をスキャナでスキャンし640×960ピクセルという規定のサイズにしてiPhoneに放り込むだけ。特種東海製紙が昔から製造しているマーメイドという紙をスキャンし、自分好みの落ち着いた色合いに調整してみた。
【玩物日記】
いまでも暇なときに仕事場でガリ版印刷の手作り詩集を作り、夜の新宿ガード下あたりで売っている……というわけではなくて、本来の使い方とは全く違う用途にいまも鉄筆を用いている。
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いずれ手に入らなくなりそうなので買い置きした鉄筆もあと2本。
本の装丁は厚手の紙にカラーレーザープリンターで印刷して出版社にプレゼンテーションを行い、今ではオフセット印刷の刷り上がりとほとんど違わないものを用意することができる。
そのプリントアウトしたものにきちんと折り目を入れて、本のような形にして仕上げるときに、折り線となる溝をひくために鉄筆が最適なのだ。
本作りでは、時には本の背幅を稼ぐため、微妙に本文用紙を変えて厚くなるような工夫もしたりするので、プレゼンテーションとはいえ厳密な寸法で仕上げる必要があり、使い古して書けなくなったボールペンなどでは誤差が出すぎてだめなのだ。
【玩物日記】
宗教学者の友人が twitter でノンフィクション作家黒岩比佐子の名をつぶやいたので検索し、没後第62回読売文学賞(評論・伝記部門)を受賞した『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』という本を知った。
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堺利彦訳『野性の呼声』。
社会主義者で思想家で歴史家で著述家で小説家の堺利彦(1871-1933年)は、小説以外に多数の翻訳物も出版しているけれど、何とその中に Jack London 『野性の呼声 』 があり、叢文閣から1928(大正8)に初版が出版されている。
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【左】二色刷の大扉、有島武郎の名もある【右】まえがきが非常に親切な解説になっている
『野性の呼声 』は小学生時代に読んで好きになり、それを昨年翻訳家深町眞理子が訳し直したものを読んで再び感動した。はて堺利彦はどんな訳をしたのだろうと気になり、ネット検索したら札幌の古書店に在庫があったので興味本位で注文してみた。
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【左】奥付のある見開き【右】手書きのサイン【下】見返しにも挿絵が印刷されている。
届いてみたら文庫サイズに近い小さな本で、昭和三年に再刷された普及版だった。奥付シールに堺利彦の奥付印があり、その対抗ページに蔵書印が二つ押され、その一つは坂口と読める。表2側見返し裏に SA(違うかな…) という鉛筆書きのサインもあるので、所有者は坂口さんだったのだろう。装丁がとても美しく読む前に物神性を感じてしまい、読みもせず撫で回している。
【玩物日記】
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装着前と装着後。
携帯用外付けバッテリーとしては付加機能があるという点で良くで来ていて、270 度以上開くとカチッと止まってスタンドになるので、出先で Bluetooth キーボードを使いメールや長文を書く際、バッテリーの減りを気にせずに使えるスタンドとして重宝する。
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スタンド化した状態。
USB で充電できるので PC に接続して充電しながら同期もできるし、外出時は eneloop 単三4本のバッテリーボックスをさらにつなぐこともできる。あと付け加えるとすれば樹脂成形が良くできていて、いじっていて気持ち良いということ。
【玩物日記】
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装着前と装着後。
液晶に保護シールを貼らないとすれば、乱雑にカバンに突っ込んで出かける時はケースが必要になる。ケースから出したり入れたりが煩わしいと、こういう一体装着型になる。
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側面と取り付けたストラップ。
リチウムイオンポリマー電池の面白いところは、こんなレザーケースにでも仕込めてしまうことで、言われなければ電池内臓とは思えない。打ち合わせで使ってもゲーム機で遊んでいるように見えないオヤジ仕様なのでついでに穴をあけてストラップをつけてみた。
【玩物日記】
折りたたみ式ではないが非常にコンパクトでカッチリとしたつくりになっていて安定感がある。ただ手前2カ所の小さなゴム足に対して、後部が弾性のないプラスチックのままなので平らな床に置くとかすかながたつきがある。些細なことが気になるので後部にもゴム足になりそうな部材を見繕って貼ってみた。
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上面とくっつけた足。
ローマ字入力と英語直接入力の切り替えは「FN」+「文字」+「スペース」。実際にこのキーボードでこの原稿を書いているけれど iPod touch 4G で文字の取りこぼしはない。タイピングが遅いせいもあるとは思うけれど。
【玩物日記】
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装着前と装着後。
iPhone とキーボードは Bluetooth で接続するので電気接点による接続はない。キーボードの電源は USB 接続による充電式。感心するのはキーボードを引き出すと iPhone が自動で電源オンになることで、まさにキーボード一体型スマートフォンのよう。暗い場所でキーの文字が光るのもよくできている。
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キーは押しやすく、キーボードの厚みはレンズフードを兼ねる…と思って厚みは相殺。
使ってみてキーボードのクリック音が大きいので、電車内での使用ははばかられるかなと思ったけれど、車内の騒音にまぎれてさほど気にならない。iPhoneのスクリーンキーボードにも慣れてきたけれど、急いで正確にタイピングしたいときや、長文を入力する必要があるときはとても重宝する。