【碁を打つ天狗】

【碁を打つ天狗】

静岡馬場町(ばばんちょう)にて。

天狗とカラス天狗が碁盤を挟んで碁を打っているのだけれど、ひどく懐かしい絵に再会したようで唖然として見入ってしまう。

うーん、この懐かしさは何なのだろう。
幼い頃こういうさし絵のついた本を読んだ経験があるのだろうか。

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【アンテナとはちまるちゃん】

【アンテナとはちまるちゃん】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 6 月 30 日の日記再掲

旧静岡市の地理にはとんと疎い。幼い記憶に描いた静岡市街図は、静岡駅前から西北西に延びる呉服町通り商店街が真ん中に一本あり、その先の突き当たりが「せんげんさん」こと静岡浅間神社であるようになっていたのだけれど、実際には西北西に走る呉服町通りに対して中町交差点から西北に走る浅間通りの突き当たりに浅間神社はあるので、そのとっかかりからして自分のの静岡地図は狂っていた。

中町交差点から新中町ビル脇を北北東に 50 メートル進み、市立静岡病院に突き当たって西北西に 100 メートル進み、外堀沿いに北北東に 125 メートルほど曲がりながら行くと左に NHK 静岡放送局がある。遠くから見えるその屋上巨大アンテナは、複雑な角度の道を行く静岡街歩きのちょっとした目印になっている。

■局内の「しずくん」と局外の「はちまるくん」。
Canon PowerShot TX1

NHK 静岡放送局には「しずくん」という不思議なキャラクタがあり顔は栗の茶巾絞りのようなので木の実に見え、口吻部は犬猫のようでもある。身長 37.76 センチメートルで、茶巾絞りで絞り上げられた頭頂部にはアンテナがあり、放送送受信時にはにょきにょきと伸びるという。
 
静岡刑務所(刑期 8 年以下の初犯者を収容する男子刑務所)から逃げ出してきたわけでもないだろうに横縞模様の服を着ており、鉄のおもりをぶら下げているのかと思いきやそれは赤いポシェットであり「ピッパ」という多機能ポシェットのなだそうだ。

■ NHK静岡放送局玄関前にて。
Canon PowerShot TX1

NHK 静岡放送局を入ったところには、こののんびりやで旅が好きで食いしん坊という静岡県人にありがちな性格をしたキャラクターのぬいぐるみ(約 10 倍体)があるのだけれど、その前に移動中継車が止まっていてそこには「はちまるちゃん」という別のキャラクターが描かれていた。

「しずくん」がいるのにどうして「はちまるちゃん」などという別のキャラクターを作ったのかと思ったら、この車は NHK が 2005 年に放送 80 周年を記念して導入した移動中継車「 80(はちまる)ちゃん号」(移動スタジオの機能も備えた中継車)なのだった。

■はちまるちゃん君号正面の「はちまるちゃん」。
Canon PowerShot TX1

この移動アンテナとも言えるはちまるちゃん号で「ここはふるさと 旅するラジオ」という番組を月曜日から金曜日まで日本縦断しながら全国放送中なのだそうで、たまたま静岡に巡回してきていたらしい。

2007 年 7 月 4 日(水)は清水のフェルケール博物館 、7 月 5 日(木)は興津の清見寺駐車場から全国中継をするという。

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【NHK静岡放送局と鷹乃森二加番稲荷神社】

【NHK静岡放送局と鷹乃森二加番稲荷神社】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 6 月 29 日の日記再掲

 

6 月 22 日、静岡市女性会館アイセル 21 で雑誌の編集会議があり、バスに乗るほどの距離とも思えなかったので、静岡駅から駿府城のお堀端を歩いてみた。

■西草深町。懐かしさ漂う町並みとNHK静岡放送局。
Canon PowerShot TX1

西草深外濠 NHK 静岡放送局の脇を入ったところに鷹乃森二加番稲荷神社がある。

駿府城は寛永八年以後は城主を置かず「城代」によって統治され、場外守衛のため「加番」という役が置かれた。当所は二加番屋敷の跡で、その守護神として稲荷神社が祭られた。当社を鷹森稲荷と称されたのは、この付近を流れた安倍川のほとりに鷹が集まった森があった故という。一加番(鷹匠町1)三加番(東草深町)にも夫々稲荷神社が奉祭されている。明治維新後は西草深の産土神として遠近より崇敬されて今日に至った。(二加番稲荷神社由緒書きより)

■二加番稲荷神社にて。
Canon PowerShot TX1

毎年 6 月晦日、邪神を和(なご)めるため行われる夏越の祓(なごしのはらえ)に用いる茅(ち)の輪の準備が始まっていた。

■二加番稲荷神社の茅の輪。
Canon PowerShot TX1

まわりの家族や友人に年寄りや病人が増えてくると、一緒に手を引いて左まわり右まわり左まわりと八の字に三回通って穢れを祓い無事に夏が越せますようにと本気で祈りたくなり、ここ数年しみじみと眺めるようになった夏の風物詩のひとつである。

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【静鉄タクシー七軒町営業所隅のひとり朝市】

【静鉄タクシー七軒町営業所隅のひとり朝市】

静岡県清水銀座。
大正橋たもと静鉄タクシー七軒町営業所隅に無農薬野菜のひとり朝市が立っていた。

早朝から若い女性が荷を広げており足を遅めて通り過ぎようとしたら
「無農薬野菜いかがですか?」
と声がかかったので「(待ってました)」とばかり立ち寄ってみた。

撮影日: 07.6.24 7:49:47 AM
FUJIFILM FinePix Z1

「どこから来るんですか?」
と聞いたら
「この裏手に店があるんです」
と言い、と言われて咄嗟に巴町あたりを思い出したので
「あの辺に店があったっけ?」
と聞いたら
「あります」
と言う。

小振りな小松菜二把とピーラビが喜びそうなミニにんじん 2 本と小さな赤カブを買って清水ライナー新清水乗り場に向かう際、巴町通りを歩いたけれどやはり野菜を売っていそうな店は見あたらず、まさかお尻から尻尾が出ていたんじゃないだろうなと買った野菜を見たけれど木の葉に変わってはいなかった。

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【しそとちそ】

【しそとちそ】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 6 月 28 日の日記再掲

 

幼い頃、紫蘇の名前は「しそ」ではなく「ちそ」だった。広辞苑には「しそ」と「ちそ」両方の読み方が掲載されている。

し‐そ【紫蘇】
シソ科の一年草。茎は高さ約60センチメートルに達し、断面は四角。葉は卵円形で互生、鋸歯が目立つ。中国原産。葉と果実とは香りがよく食用・香味料・薬用とし、また梅干漬の色素となる。縮緬(ちりめん)紫蘇・青紫蘇などの変種がある。
ち‐そ【紫蘇】
〔植〕「しそ」に同じ。
(広辞苑第五版より)

幼い頃過ごした清水大内の祖父母の家では確か「ちそ」「ちそっぱ」「あかぢそ」と呼んでおり、青紫蘇というものがあることを知ったのは遙か後のことだった。

■静岡県清水。清水駅前銀座にて。
FUJIFILM FinePix Z1

「しそ」の「し」が「紫」であるように「ちそ」の「ち」から「血」の赤さを連想した子ども時代があった。梅干しに入っているものを見ると今でも「ちそ」と呼びたくなり、青紫蘇を見るとあえて「大葉(おおば)」と呼んでしまう。

祖父母の家の食卓にはいつも梅干し漬けに入っている赤紫蘇を乾燥粉末にしたものがあってご飯にふりかけて毎日食べていたが。それもまた「ちそ」とか「ちそっぱ」と呼んでおり、「ちそっぱ」の「ちそ」が「ごちそう」にもつながっているような質素な食卓だった。

今でもわが家の食卓にはそれがあって「ゆかり」と呼んでいるけれど、幼い頃はそんな名前など聞いたことがない。「ゆかり」は赤紫蘇ふりかけのメーカーとして名高い広島・三島食品の登録商標( 1960 年登録、1999 年中埜酢店より三島食品に譲渡)なのだった。

■清水駅前銀座の別の店で見つけた「ちそ」と書かれた文字。
FUJIFILM FinePix Z1

「大葉(おおば)」や「ゆかり」という言葉を使うようになって久しく忘れていた「ちそ」という言葉を、郷里静岡県清水に帰省すると人の口から聞き店頭で目にすることが多く、その酸味とともに懐かしさが胸に溢れる。

静岡県は「ちそ」の名産地であり三島食品の「ゆかり」にも静岡県の契約農家のものが使われているという。

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【有余年】

【有余年】

静岡県清水上清水町。
旧しみづ道沿いにある神戸(かんべ)商店の暖簾。
「そうかそんなに昔からある店だったのか」
と気づいたのは「創業百有余年」の文字があるからだった。

撮影日: 07.6.23 2:44:37 PM
Canon Canon PowerShot TX1

清水の商売人は「生誕五十有余年」とか、自分の年齢の目安を染め抜いたTシャツでも着ていたら
「あっけっこう歳ん近いじゃん」
と思わず親しみが湧いて(おだくって)商談が進むということもあるんじゃないだろうか……ないか。

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▼裸の王様とマヌカンピスもどき

墓石屋が掘って展示している非常にオリジナリティの感じられるマヌカンピス。
ブリュッセルにある有名な奴の単なる模倣でないところはエライと思う。
ちょっとアジア的な顔にも見えて開高健の芥川賞受賞作『裸の王様』を思い出す。



日本の墓石屋なんだからアジア的な顔をした小便小僧でもいいじゃないか
……とは思うのだけれどどこかで見たような成人男性の顔を連想してしまうので
どうしてもいかがわしいオジサンという感じがしてしまう。

売れるだろうか。

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【古道と節穴】

【古道と節穴】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 6 月 27 日の日記再掲

日本中どこでも舗装が行き届いて、市街地に未舗装の泥んこ道を見つけるのは難しい時代になった。

小学生時代を過ごした東京下町でも東京オリンピックを境にしてかなり細かい路地まで舗装されてしまい、雨上がりの水たまりが青空を映す気持ちのよい泥んこ道を見つけるのが困難になった。

郷里静岡県清水。
「お前の目は節穴か」と自分自身に言ってやりたいくらい今まで見えていなかったものを突然発見することがある。

美濃輪稲荷大鳥居前の魚屋に自転車で買い物に出掛け、帰宅する際に旧しみづ道を通ってみろとすすめられて以来、実家と旧市街の往復には旧しみづ道を通ることにしている。

昔の人が踏み分けた道は清水平野のわずかな海抜差を登るのが心持ち楽なようにできているからであり、昔の人が選んで踏み分けた道は今の人にとっても最も楽なルートになっていることに感心する。

旧清水市街から旧東海道追分に向かう旧しみづ道は専念寺門前を過ぎて西に 100 メートルほど進んだところでカクカクッとカギ型に折れるのだけれどそれは禅叢寺山門にぶつかってそのまま寺の中を突っ切るわけにはいかないからで、禅叢寺をカクカクッとよけた旧しみづ道は神戸の豆屋前を通り、上清水八幡参道前を通り、旧久能道にぶつかって再びカクカクッと 70 メートルほどのカギ型に折れて清水中央図書館脇へと続いている。大勢の人が選んで踏み分けた道は最も楽なルートになっているので旧久能道にぶつかった旧しみづ道は 70 メートルだけ道を共有していたのだろう。そのために旧久能道にぶつかった旧しみづ道は直進不能になっているとばかり思い込んでいた。

■上清水町。街中の路地がみんなこういう道だった時代がある。
FUJIFILM FinePix Z1

桜ヶ丘方面に出掛けた帰りに見知らぬ道をたどったら住宅街の中に懐かしい未舗装の泥んこ道があった。舗装されてしまっていても良さそうな道が未舗装なのは私道だからだろうか。

■清水市街地にいることを忘れてしまいそうな道。
FUJIFILM FinePix Z1

懐かしさと物珍しさで分け入ったらやがて自転車がようやく通れるほどの細道となり、突き抜けた先はなんと久能道にぶつかる旧しみづ道にぴったりつながっているのだった。

■道が急に細くなり、行き止まりに見えるけれど行き止まりではない。
FUJIFILM FinePix Z1

■旧久能街道が見えた。
FUJIFILM FinePix Z1

■節穴の出口は旧しみづ道の真正面だった。
FUJIFILM FinePix Z1

狭い道から広い道を見るのは節穴から広い世界を覗くのに似ており、憧れもあってか広い世界はよく見ええ、一方広い道になれてしまうと狭い道の入口など目に入らなくなってしまうように思われる。そういうときの目は節穴さえ見つけられない節穴になっているのかも知れなくて、田舎を捨てたにわか都会人がかかりやすい病いといえるかもしれない。

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【乃利子】

【乃利子】

このところ帰省時の夕暮れ時に前を通りかかるたびに気になる居酒屋。

店の前に打ち水をし、ついでに植木に水やりをし、看板を旧東海道に出し、「乃利子」と染め抜かれた暖簾を掛け、赤い提灯に明かりをともす。

撮影日: 07.6.23 5:21:22 PM
Canon PowerShot TX1

飲み屋の息子だったので毎日そういう手伝いをして過ごした時期があり、懐かしくてついつい立ち止まって眺めてしまう。

定休日以外は時計の部品のようにそれを繰り返して暮らしているのであり、半ばうっとりと道の反対側につったって眺めている。

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【誰かに似ている】

【誰かに似ている】

誰かに似ている。

誰かに似ているのだけれど思い出せない。
うーーん、誰だっけ。

撮影日: 07.6.23 3:03:54 PM
浜田踏切にて試合結果を心配するパグ。
この時刻、エスパルスとレッズはまだ熱戦を展開中。
Canon PowerShot TX1

誰だっけなぁと思っている間に列車が通過し、警報機が鳴りやんで遮断機が上がり、誰かに似ている犬は遠ざかっていく。

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【ウチワサボテンの花】

【ウチワサボテンの花】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 6 月 25 日の日記再掲

上清水町、中学時代の通学路にある井柳製粉脇にサボテン科オプンティア属ウチワサボテンの花が咲いていた。

■井柳製粉脇に咲くオプンティア。
Canon PowerShot TX1

ウチワサボテンはサボテンの中でもとくに原始的な形質をとどめた種類だそうで、そう思ってみると恐竜に似ている。子どもというのはそういう気配を敏感に感じるのかサボテンに興味を示す者が多く、それは玩具の恐竜に対する愛着に通底するものがあるのかも知れない。「カッコイイ」などと言う。

■厳密には井柳製粉隣の民家に咲くオプンティア。
Canon PowerShot TX1

清水の街を歩いていると、巨大に育った蘇鉄や、怪異な形に姿を変えながら増殖するサボテンなどの多肉植物や、壁面を覆い尽くした紅紫のブーゲンビリア(ブラジル原産の熱帯植物)などをよく目にする。異様に温暖な、清水弁で言えば「たーまんなくぬくとい」特異気象の象徴を見つけ、変わっていく街の表層に対するちっぽけな感傷主義などを笑い飛ばすような、永遠不変の地力を見せつけられたようで痛快でもある。

【図版】メキシコ合衆国国旗。

メキシコ国旗を見るとヘビを鷲づかみにして痛快に丸かじりするワシが描かれているが、ワシがとまっている緑のものがこのオプンティア属のサボテンである。

■たくさんの雄しべが雌しべの回りで求愛の歌『ベサメ・ムーチョ(KISS ME MUCH)』を歌っている……ように見える。
Canon PowerShot TX1

サボテンは見る人を陽気にさせるような気がし、マラカスを振るようにリズミカルに手を動かしながら話す清水八千代町の友人を思い出して可笑しい。清水辻 1 丁目にあるメキシコ料理の『Caliente(カリエンテ)』にでも行ってビールでも飲みたい気分にもなるわけで、サボテンは陽気ないい奴だなぁと思う。

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【蹴球応援旅団】

【蹴球応援旅団】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 6 月 25 日の日記再掲

この日記を読んでくださっている東京在住の女性が、ジュビロ磐田ファンの娘さんを伴って清水デビューをされたのは今年五月の連休中だった。
 
日本平での静岡ダービー観戦に先立ち、清水らしい雰囲気が味わえる店で食事がしたいというので、清水サッカーに深い縁のある大正橋たもとの『金田食堂』を推奨したが、無事に昼食が食べられたと聞いてホッとした。
 
娘さんがジュビロ磐田の携帯ストラップをしているのを見た金田食堂のお母さんが、
「あら、あんたジュビロファンだね。あんま頑張っちゃだめだよ」
と笑顔で声をかけてくれたといい、目に浮かぶようで微笑ましかった。

日本平での対エスパルス戦応援のため初めて清水を訪れる他チームのファンからメールをいただくこともあり、試合終了後食事をして一杯飲みたいのだけれど、エスパルスファンのいない店を紹介して欲しいという。
 
たとえば金田食堂だと、サッカー終了後オレンジ色のエスパルスファンが
「やいやい、負け!後半立て続けに点とられて逆転負け。やっきりしちゃうやぁ」
などとわいわい言いながらどやどやと帰ってきたりするけれど、そこに青色のマリノスファンがいたら問題があるのだろうか、と思うのだけれどどうなのだろう。

■試合中は晴れ間ものぞいていたけれど、試合終了後は曇り空に。
Canon PowerShot TX1

6 月 23 日、桜橋の珈琲焙煎店に向かう途中、旧東海道さくら幼稚園角の交差点を渡っていたら 2 台の観光バスが通過し、大曲交差点を右折して東名インターへと向かう信号待ちをしていた。

乗客を見たら赤い服を着た人が大勢乗っており、そうか日本平での清水エスパルス戦応援を終えた浦和レッズサポーターが乗っているのかと気づいた。みな首をうなだれて声もないほどに疲れ果てているようで、
「(そうか、浦和レッズは清水エスパルスに負けて、がっくり首をうなだれて帰るのか。可哀想に、赤い服のまま飲みに出たっておおらかな清水っ子はやさしく迎えてくれるはずだからせっかく来た清水の街で一杯飲んで泊まっていけばいいのに)」
などと黄昏時が迫っていることもあって優しい気持ちになり、
「(でもまぁ、サッカーが縁でこの港町に来てくれてありがとう、気をつけて帰ってくださいね)」
などと心の中でねぎらいの声をかけたりする。

■疲れ果てた赤い人々を乗せたバス。
Canon PowerShot TX1

桜橋の珈琲焙煎店主人と飲むために、酒と肴を買いに出て、ふと寂しげに帰って行ったパスの一団を思い出し、
「今日はエスパルスが勝ったんでしょう?」
と聞いたら
「負け負け負け負け、0 対 1 でエスパルスの負け!」
と早口で思いがけない答えが返ってきて、
「(ちぇっ、たとえ心の中ででもねぎらいの言葉をかけて損した、帰れ帰れ!)」
などと思っているエスパルス贔屓の自分がいる。

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【夜の尾行者】

【夜の尾行者】

6 月 23 日も友人宅で仲間と飲み、帰りに浜田町のセブンイレブンまで寄り道して買い物をし、肩に重いショルダーバッグを背負い、酔ってふらふらと南幹線の坂道を登っていたら走って道路を横切ってきて後ろに付いた若者がいるのに気づいた。

明るい街灯の下まで歩いて立ち止まり携帯電話をチェックするふりをして急に振り向いたら、びくっとして道の脇に寄り自販機をいじったりしている。

そこから入江岡に折れる交差点までは明るい街灯を背負って歩くので目の前に長い自分の影ができ、その影を見て歩けば背後に人影が迫ってもすぐにわかるので右手を咄嗟に動かせるようにリラックスさせてゆっくり歩く。

浜田踏切にて。この夜はおぼろ月夜だった。
撮影日: 07.6.23 10:31:30 PM
Canon PowerShot TX1

男が自販機前を離れて再びうしろについたのがわかっていたので交差点で不意に右に折れながら振り向いて睨んだら目が合い、男はそのままそそくさと桜橋方面へ歩いて行った。

どうしてちょっと緊張しつつ
「(よし、やるならやるか?)」
という姿勢で歩いたかというと、かつて母が酔って旭町の店から帰る途中、同じようにこの道で後ろをつけてきた男にバッグをひったくられかけて怪我をしたことがあるからだ。

思い違いかも知れないけれど仇討ちみたいで楽しい緊張もあり、昼間やきそば屋で読んだ藤沢周平『酒乱剣石割り』を思い出した。

「廊下の出口に向かいながら、甚六はウーイとおくびを洩らした。」
(藤沢周平『隠し剣秋風抄―酒乱剣石割り―』より)

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【祈る人】

【祈る人】

静岡県清水。
中学生時代の通学路にある寺。
数週間前に通りかかって本堂前をのぞいたら金属でできた人が祈りを捧げており、私もこうして毎日祈りを捧げているのだから、あなたも一緒に祈ってくださいという趣旨の言葉が添えられていた。

撮影日: 07.6.23 1:45:32 PM
FUJIFILM FinePix Z1

美濃輪稲荷大鳥居前の魚屋に行く途中ふと思い出して覗いたらまだそこにいて祈っていた。

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【6月22日の日記】

【6月22日の日記】

6月22日、ネットで知り合った友人達と午後6時から静岡県清水真砂町にある『かっぱ』でオフ会。
茶房からタン焼き串揚げの店に商売替えした『かっぱ』で7人の仲間が揃う。

タイガー食堂のランチ。
ヒレカツと手作りメンチカツの盛り合わせにカレーシチューがつき、
具だくさんの豚汁がついて仰天するほど安い(ワンコインおつり付き)。
撮影日: 07.6.22 1:01:38 PM
FUJIFILM FinePix Z1
 
初めて顔合わせした繊細そうな幹事さん(高校の後輩)は「初対面の人が多いので皆の顔を見てひと安心するまでは胃がきりきりと痛かった」と言っていた。
僕はストレスが高じて胃がきりきりと痛むほど繊細ではないのだけれど、緊張から逃れたい(早く酔っぱらいたい)のか、つまみも食べずに酒ばかりものすごい勢いで飲む傾向がある。
最年長だし、早めに酔いつぶれて前後不覚になるわけにはいかないので、東京での仕事を済ませるために出た銀座一丁目の不思議な食堂『タイガー食堂』で、昼のランチを食べて体内だけタイガーマスクに変身する。

雨に濡れる凌霄花(ノウゼンカズラ)。
郷里静岡県清水の雨は海の匂いがして微かに塩味がある(ないんだろうな)ような気がして好き。
撮影日: 07.6.22 5:32:38 PM
FUJIFILM FinePix Z1
 
清水に着いたらかなりの雨が降っていた。
雨に濡れるノウゼンカズラ咲く近道を通り、大衆食堂『金田食堂』脇の大正橋を渡り、清水銀座、中央銀座、駅前銀座を経て清水駅前バスターミナルに行き、24日朝の上り清水ライナー指定席券を買い、グルメ通りを引き返して待ち合わせ場所へ行く。

二次会、三次会を終えて帰宅する頃は雨もすっかり上がっていた。

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