【あっ!富士山】

【あっ!富士山】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 30 日の日記再掲)

「清水月見町方面に 24 時間営業 280 円でラーメンが食べられる店がある」という書き込みがあったので、美濃輪稲荷大鳥居前の魚屋からの帰りに寄ってみたら閉まっていた。24 時間営業ではなくなったらしい。月見町から富士山を眺めて帰ってきた。

富士には月見町もよく似合うけれど、清水銀座商店街巴流(パル)大通りから富士山が見えるのだろうか。

通りに面した商店はほとんど 3 階建て以上なので、商店主たちは階上の部屋や屋上から好きなだけ富士山が見えるのだろうと思うけれど、地上の商店街を歩いている者には富士山が見えない。はたしてこの商店街で買い物する人たちに富士山が見える場所があるのかしら……、清水駅午前 9 時 2 分発特急ワイドビュー東海 2 号に乗るため、早足で早朝の商店街を歩きながら突然そんなことを考える。

東海道江尻宿は現在の清水銀座商店街巴流(パル)大通りにあたり、街道は旧七軒町近く現在池田屋カバン店がある辻で旧伝馬町の方角へ直角に曲がり、その角には翁屋脇本陣があった。

その場所で立ち止まると辛うじて富士山が見え、江戸時代、上方方面から江戸方面に向かう旅人は、この辻を折れて朝の美しい富士の絶景に遭遇し「あっ!」と呟いたのではないかと思い、「(そうか清水銀座からも富士山が見えるんだなぁ)」と驚き PocketPC を取り出してスケッチしてみる。

ふと時計を見たら電車に乗り遅れそうなので「あっ!」と再び驚いて先を急ぐ。

アーケードで天を覆い、商店で壁を覆ってしまった清水駅前銀座商店街からは富士山が見えないだろうなと思う。

工事中の清水橋を潜り、左にお菓子の見城さん、右に魚のデパートみかみを見てアーケードに入っていくと右に行けばグルメ通り、左に行けば駅前銀座に別れるオオギヤの二股で、グルメ通りの向こうに富士山が見えた。

清水駅前銀座商店街にもまた富士山が見えて「あっ!」と唸るポイントがある。

ふたたび「あっ!」と驚き、ここでまたスケッチしていたら電車に乗り遅れそうになった。

【ワイドビュー東海2号の富士】

特急ワイドビュー東海2号の運転席からは、よそ見をせず正面を向いたまま富士山が見えるのだろうかと思い、先頭車両 6 号車に乗って運転席の後ろでカメラを構えていたら見事な富士山が見えて絶景である。

特急ワイドビュー東海 2 号の運転手は幸せ者だなぁと思い、真面目くさった顔をしているけど、この運転手も心の中で「(あっ、今朝の富士山は綺麗だなぁ)」などと感動しているんじゃないかな、と顔色をうかがっていたら、真正面に見える富士山を「あっ!」と言うように指差すので、その方角を見たら信号の指差し確認だった。

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【贅沢な袋小路】

【贅沢な袋小路】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 20 日の日記再掲)

清水駅前銀座裏手にある『グルメ通り』。飲食店が軒を並べるその通りの東海道本線側には袋小路がいくつかある。

母が営んでいた居酒屋も旧清水市役所脇の袋小路にあったので懐かしく、その袋小路は民家の塀に突き当たって行き止まりになっていた。行き止まりにもいろいろある。

両脇に飲食店が並び、突き当たりもまた飲食店になっている袋小路は、文字通り飲食店の袋になることで行き止まっている。

両脇が飲食店で突き当たりが東海道本線にぶつかって行き止まりになっている袋小路は、すぐ向こうに『清水テルサ』の建物が見えていたりして、行き止まりではないように見えて行き止まっている。

JR清水駅に向かう途中、『グルメ通り』の袋小路を斜めに覗き込んだら真正面に巨大な富士山が見えてドキッとした。狭い場所から覗くことで巨大さが際だつわけで、真正面に富士山を借景にした袋小路があったら面白いと思う。

東京で過ごした少年時代、銭湯の壁画に富士山が描かれていると、郷里清水にいるようで嬉しかったが、その嘘くさい壁画の富士山よりもっと嘘くさい富士の眺めが本物であるという痛快さが清水にはある。

遮るもの無く富士山を借景にできるのも海辺の町の資源であり、そういう意味で真正面に富士山を見つめ、直進したら富士登山ができそうでいて駿河湾に遮られて行き止まっている三保街道は、最高の袋小路なのかもしれない。

【茂知屋のラーメン】

清水美濃輪町、次郎長生家斜め前の日本蕎麦屋『茂知屋(もちや)』のカレー南蛮が美味しいという噂を聞いた。

そういえば一昨年だったか母と茂知屋に入って親子丼を食べたらかしわ肉の扱いがひどく丁寧で上手でありとても美味しかったので、もしかしわ肉を使ったカレー南蛮ならきっと美味しいだろうと楽しみだった。

暖簾をくぐるまで「(カレー南蛮、カレー南蛮、カレー南蛮……)」と呟いていたのだけれど、玄関脇のサンプルケースにラーメンがあるのに気づき、そうか茂知屋にもラーメンがあるのか!と気づいたら「ラーメン!」と注文していた。

昔ながらという言葉がぴったりのさっぱりしたラーメンだけれど、やっぱり清水で食べる麺の美味しさにははずれがない。

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【朝の鵜と立ち食いラーメン】

【朝の鵜と立ち食いラーメン】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 19 日の日記再掲)

早朝の稚児橋から巴川上流を見たら黒い鳥が1羽水面に浮かんでいた。

そのもっと上流に白煙が盛大に上がっており、朝から火事かと思ったけれど、サイレンも聞こえないので坂政合板始業準備の煙かと思い直し、川面に目を戻すと水紋が円形に広がるだけで鳥の姿がない。

飛び立ったのかと思い、上空を見たけれど姿がないので水面に目を戻すと、再び上流に浮かんでいる。

鵜(う)が水中に潜っては魚を穫って朝食にしていたのである。

鵜飼いの鵜が感心するほど勤勉なのに対して巴川の鵜には覇気がなく、橋上から眺めていても観光資源にはなりそうもないけれど、考えてみたら鵜飼いというのは鵜匠が勤勉なだけなのであって、篝火を焚かれて興奮し、呆れるほど鮎が群れて、食べても食べても吐き出させられて満腹になれないので、鵜も勤勉にならざるを得ないわけである。

自然の中の鵜が怠惰に見えたり、農耕馬に対してのんびり草をはむ野生馬の精気が薄く見えてしまうのは、年老いたり病んだりした親が寝てばかりいる姿を見てちょっと苛立ったりするのに似ているかもしれない。

それは、若い頃休む間もなく元気に働いていた親たちの姿に戻って欲しいという子どもの祈りであり、多分に身勝手な甘えでもあり、人は何歳になっても親が健在なら甘えてみたいのかもしれない。

水面に浮かび上がる鵜は水中にいる時間が意外に長く、季節は冬だし鵜飼いの鵜ほど楽に魚が穫れないからかもしれない。
 
   ***
 
蕎麦屋のラーメンは好きだけれど、立ち食い蕎麦屋のラーメンは恐ろしい。

東京で一度それを頼んだら、麺は確かにラーメンの麺だけれど、スープが完全に日本蕎麦の蕎麦つゆであり、そこにナルトやチャーシューがのっているのである。

もしかすると店員が間違えて中華スープの代わりに蕎麦つゆをかけてしまったのかもしれないと思ったけれど、問いただす勇気はないので我慢して食べた。

週末の帰省の朝、郷里の立ち食い蕎麦屋で、同じ蕎麦つゆに中華麺を入れたラーメンに遭遇して、世の中には日本蕎麦つゆに中華麺を入れたラーメンというのがあることを確認した。

はっきり言ってとてつもなくまずいと思うのだけど、それでもそういう料理が世の中に複数存在するということは、蕎麦つゆに中華麺を入れたラーメンが美味しいと思って注文するファンが世の中にいるということなのだろう。

友人に話したら、蕎麦アレルギーの人でも食べられる代用日本蕎麦ではないかというのだけれど、だったらうどんを食べればよいし、うどんや中華麺も蕎麦と同じ釜で茹でる立ち食い蕎麦屋などに、蕎麦アレルギーの人は行かないのではないかと言っておいた。

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【街場の計算式】

【街場の計算式】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 18 日の日記再掲)

隆慶一郎の『吉原御免状』が読みたくなったので清水銀座の戸田書店に行った。

新潮文庫の書棚を探したけれど『吉原御免状』はないので、戸田書店を出て向かい側の歩道を数十メートル歩き、多賀書店の書棚を見たら在庫していたので買ってきた。嬉しい。

戸田書店と多賀書店の、どちらかひとつになったら残った方の店の売り上げが増えると考えるのは子どもの算術である。

雨の中、わざわざ清水銀座まで出かけて行って本を探す気になるのも、戸田になかったら多賀にある、多賀になかったら戸田にあるだろうと思えるからで、そうでなかったら家にいてインターネットに接続しアマゾンのワンクリックで注文し、宅配便で届くまで別のことをして過ごすと思う。商店街というのは子どもの算術で客の奪い合いをしているわけではなくて、もうちょっと複雑にできている。

夕食に何が食べられるかと尋ねて、食べたいものが答えとして返ってくるくらいに母の食欲が回復してきた。

「ゆり根を素揚げしたのが食べたい」などと難儀なことを言うので「静鉄ストアに売ってるかなぁ」と言うと、「駅前銀座の手芸品店の並びにある果物屋の店頭でおがくずにくるまって売られているから一つ買って来い」などと言う。

もう 1 年半も清水で買い物らしい買い物をしていない母が言うことだけれど、行ってみるとちゃんとそうなっている。「あった」と携帯で電話すると、「その先の反対側をずっと行くと農家が出してるような店があるから、細ネギがあったら買って来て」と言うので、行ってみたらそちらもちゃんとある。

「帰りに静鉄ストアに寄るならゆり根と細ネギを裸で持って入るわけには行かないからビニール袋をもらえ」と言う母は、「清水に静鉄ストアができたから、もう静岡に行く人に清水にない物をデパ地下で買ってきてと頼む必要がなくなった、清水でほとんど食料品の買い物が済む」と喜んでいる。

昔から寝転がって人に指図するのが得意な人だったけれど、ちゃんと町の構造を知っている。

【矢倉太鼓】

清水の町を歩いていたら「たびだち」と大書されたポスターが目につく。矢倉太鼓というのがあって保存会もあるらしい。

2 月 6 日日曜日午後 2 時から清水テルサで発表会があるらしい。東海大学付属小学校 5・6 年生が友情出演するとあり、事情を知らないので興味を引かれる。最近友情という言葉に心が脆い。

入場無料だし、清水駅の近くなので帰京を日曜日の特急ワイドビュー東海 4 号清水駅 5 時 2 分発にすれば見られるかもしれないと揺れたりする。

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【さらば自転車餃子のおじじ】

【さらば自転車餃子のおじじ】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 17 日の日記再掲)

美濃輪町で買い物をした帰り道、冷たい雨に傘をさして、港橋からさつき通りを通って駅前銀座まで歩いた。

途中外国人労働者らしき男性三人組と抜きつ抜かれつして歩いたけれど、彼らは傘を持っていないので濡れネズミだがにこやかに談笑して嬉しそうである。浅黒い肌の色から南の国々の人たちだと思うのだけれど、異国に出稼ぎに出られる男たちは肉体も精神も頑強なのかもしれなくて、なぜか宇宙飛行士たちにちょっと似ている。

元花菱・元ヤオハン・元セイフー・現空きビル前から新清水駅前までは屋根があるのだけれど、盛大に雨漏りして、たいへんなことになっていた。みずほ銀行前だけは雨漏りしていないところを見ると、各店舗が自分の前の屋根だけを死守しているのだろう。

傘がなくても元気な3人組が歩く雨漏りのする老朽化したアーケードを見ると、街が泣いているように見える。

   ***

静鉄ストアで買い物をしたら2,000円ちょっとだったので端数の小銭を出して 8,000 円のお札をおつりとして受け取った。

レジ係の店員が 5,000 円札 1 枚の上に 1,000 円札 3 枚をのせて差しだし、目の前で
「いち、にい、さん、しい」
と枚数を数え、ひっくり返し 5000 円札を上にして、
「ごう、ろく、しち、はち」
と数えた。「(ねっ、8,000 円確かにあるでしょう?)」という確認なのだけれど、
こういう数え方を初めて見たので呆気にとられた。

なんだか手品のような気もし、それでも間違いなく 8,000 円のおつりを受け取っているので愉快である。すべてこのルールで 5,000 円札と 1,000 円札のおつりを支払うとすると愉快なのは 8,000 円のおつりだけで、7,000 円のおつりだと
「いち、にい、さん」
「ごう、ろく、しち
となり「しい」をとばして騙されたような気がするし、9,000 円のおつりだと、
「いち、にい、さん、しい、ごう」
「ごう、ろく、しち、はち、きゅう」
となって「ごう」を二度言われて違和感がある。

落語の「時そば」みたいなこの数え方を、次回は 8,000 円以外のおつりで試してみたくなるところも、なかなかの商売上手である。

   ***

JR草薙駅前、自転車預かり所脇の餃子屋が店をたたまれるらしい。
このところ泣きたい気持ちで降り立つことの多かった草薙駅前で、元気そうに餃子を焼くおじちゃんの姿を見るだけで、どれだけ慰められたかわからない。子どもと老人の元気な姿には不変の癒しがある。

「お知らせ 長らくご愛顧頂き誠に有難うございました。都合に依りまして一月末日を持ち閉店させて頂く事になりました。何卒宜しくお願い申し上げます。 店主」

今月はあと 2 回の介護帰省があるので、懐かしい味を思い出にしたいと思う。

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【海抜 2米ラーメン】

【海抜 2米ラーメン】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 12 日の日記再掲)

店の前に立つと「営業中」の文字が一番大きく、お品書きである Coffee 、Tea 、Cocoa 、ピザ、サンドウイッチ、スパゲティ、トースト、グラタン、焼きそばの文字は小さくて、それより大きいのが「ここは海抜2米」の標識と「ラーメン」という看板文字なので、僕は勝手に『海抜2米(メートル)ラーメン』と名付けたけれど、店の名前は『パペット』であり、この店で美味しいと評判のラーメンに正式な愛称はない。

清水次郎長通り商店街のサイトを見ていたら、「おもしろマップ~うまいもの編~次郎長通り周辺」と題したページに、「喫茶店でありながらわざわざラーメンを目当てに訪れる客も多い」と書かれている店があるので、美濃輪稲荷大鳥居前の魚屋へ行く途中、「わざわざラーメン」を食べに寄ってみた。

母は病気のせいか呆れるほど小食であり、介護用ベッドの食事テーブルで一緒にする食事では、大食漢の僕が並べた料理の
「量の多さを見ただけで吐き気がする」
などとひどいことを言うので、母との食事は小食にならざるを得なくて、買い物ついでに足りない分を適当に補給するのだけれど、それはそれでささやかな介護帰省時の楽しみになっている。

あまのじゃくというか B 級グルメ志向というか「本格中華」などと言われた途端に面白味を感じなくなり、日本蕎麦屋のラーメンが好きだったりするので、「喫茶店でありながらわざわざラーメンを目当てに訪れる客も多い」などと言われると食べたくてたまらなくなる。

噂のラーメンは昨日の日記にある『つじ久』のラーメン同様、醤油の色が濃い割りにあだ辛くなく、麺が細めで腰があって美味しい。そしてなんと言っても清水で食べるラーメンにのせられた細ネギが美味しくて、かつて友人がサイトかメーリングリストで「清水の細ネギはおいしい」と言っていたのを思い出す。

次郎長生家に面した窓際の席に座り、壁に掛かった泰西名画を眺め、レースのカーテン越しにやわやわと海抜2米の町並みを眺めながら、昔ながらのラーメンを食べていたら、ふとラーメンの味と海抜の関係について考えたりする。

ラーメンは高層ビルの展望レストランや、高原のドライブインで食べるより下町の裏通りや海岸べり、いっそ浜辺にあぐらをかいて砂まじりの風などものともせず、ズズズーッとドンブリを抱えて食した方が美味しい気がする。

一方、ざるそばや冷やし中華だと砂まじりはたまらない気がして、浜辺から一段上がった桟敷で食べた方がいいし、展望の良い高層ビルや高原で食べるのもそれはそれでおいしい気がするのだ。

あたたまりたい料理を根菜系とすると、ひやしたい料理は果樹系であり、あたたまりたい料理というのは地べた近く、できるだけ低海抜で食べた方がおいしいのだと思う。

そういえば、ラーメン史上最悪の具は缶詰のコーンだと思うのだけれど、あれはトウモロコシという樹上に実る野菜が不似合いなのであり、それはラーメンとは切っても切れない縁で結ばれた盟友である地べたから掘り出されるメンマの対極にあるからである。コーンが缶詰でしかも冷蔵庫内で冷えている奴がラーメンにドサッとのせられると泣きたくなる。樹上になるものを入れたらラーメンの海抜が高まってしまうのであり、悪しきコーンの蔓延は、懐かしいラーメンの具材、青菜のおひたしの衰退という相反した現象とともに嘆かわしい。

青菜のおひたしがないかわりにのせられた青々しい清水の細ネギは海抜 2 米をさらに押し下げ、清水みなと旧市街『みのわパペット』で食べる『海抜2米ラーメン』を、ぬくぬくと地を這うようにおいしくしている。

   ***

写真上段:『パペット』玄関脇に「ここは海抜2米」の表示板がある。
写真下段上:壁に貼られたメニューには午後 7 時半まで営業と書かれていたが、アルコール類が飲めるのか確認し忘れた。店の名前は『パペット』だが、メニューには『みのわパペット』と誇らしげに書かれている。
写真下段下:『海抜2米ラーメン』。写真を見ても甘く香り高い細ネギを思い出す。
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【桜ヶ丘の海抜】
美濃輪町『パペット』を出て、矢通りを抜け浜堤への坂道をウンウン唸りながら自転車のペダルを踏んで上り、大字小池を抜けると、わが母校清水市立第二中学のある桜ヶ丘である。海抜2米の美濃輪町『パペット』に対してわが母校の海抜はどれくらい高いのかと思ったら、正門前に平成 15 年に設置された経緯度表があった。母校はいつになっても学びたいものの支えとして有り難い。

標高(海抜)8.96m とあるので、美濃輪町『パペット』から矢通り・大字小池経由で浜堤の桜ヶ丘に上ると海抜差 6.96 メートルを駆け上がったことになる。校歌斉唱。

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【清水ブラック】

【清水ブラック】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 11 日の日記再掲)

蕎麦屋でラーメンを食べている客を見ると、日本蕎麦屋のラーメンにこだわりがありそうな食通に会うことはまれで、麺がのびるのもお構いなしに、ちびちび食べながらテレビを見たり、店のおばちゃんを相手に、頭が痛くなりそうにつまらない世間話をしている「まぁどうでもいいからラーメンにしといただけだよ」的な客であることが多い。

「パチンコ屋にいい女がいてさあ」ズズッ、「大皿の玉をザザッと入れてやったら、あらそんなことしてもらっていいの?なんて言いやがんの」ズズズーッ、「そいでさあ、別に下心あるわけじゃないよって言ってやったらさぁ……」ズルズルーッ。

「あら、心配してお迎えが来ちゃったよ」
退屈な話しの相手に飽きていたおばちゃんがホッとして立ち上がると、小学生の娘を連れた母親が入って来る。

「なんだよぉ、迎えに来てくれたのか」ズズッ、「ちょっとラーメン食い終わるまで待っててな」ズルズルッ「お前も何か食うか?」ズルッ「あたしはいいわ」「じゃあ○○子はジュースでも飲むか、えっ、コーラがいい?おばちゃん○○子にコーラ」ズルズルッ、「ほら、そこに座ったらおじちゃん(僕のこと)がテレビ見れないだろ」ズズーッ、「○○子、お母さんにクリスマスプレゼント買って貰ったか?えっ、買って貰ってない?」ズルズルッ、「お父さん?お父さんはダメだ、パチンコでお金儲けしようと思ったら今日も全然ダメだった、ごめんな、来週から心を入れ替えて仕事するからさあ」ズズズズーッ。

美濃輪稲荷大鳥居前の魚屋へ行くために通りかかる清水村松海長寺近くにある日本蕎麦屋が気になり、入ってみたらやっぱり個性的な日本蕎麦屋のラーメンを出す店だった。清水の日本蕎麦屋のラーメンは麺が細くて懐かしい中華そばの香りがあっておいししいけれど、この店の麺も風味と歯触りがとても好もしく、店の横に置いてあった木箱の文字から察するに『富士公司』製かもしれない。

それにしてもドキッとするくらいに黒い醤油スープなのだけれど、飲んでみると決して塩辛すぎることもなく、そうそう、こういう濃い色の醤油スープで出てくるラーメンもあったなあと思い出す。妻の郷里にある『大喜』の富山ブラックもこんな色だった。

横を見るとズルズル男はまだドンブリを抱えてテレビを見ているし、○○子はコーラに飽きてグラスの縁を舐めているし、奥さんは暗い顔をしてうつむいている。

たいへんな亭主を持ったもんだなぁと思い、30 代半ばに見える奥さんも疲れ果てて、この男から逃げ出す気力もないんだろうなぁと余計なお世話を心の中で焼いてみる。

たいへんな亭主がドンブリから麺とスープが湧き出してでもいるかのように、まだズルズル食べているのを横目で見ながら、チャーシューメンをズズッと一気に食べて北風の街に出る。

   ***

写真:2004 年 12 月 24 日の清水ブラック。
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【かみつくくさり】

清水駅前銀座裏、グルメ通りにある駐車場の立て看板。「くさりかみつきます」という表現の新鮮さにドキッとする。

ドキッとするけれど、「鎖が噛みつく」という表現は、ごく一般的ではないけれど昔から存在した……なんてことはないかな、と調べてみたけどわからない。

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