【ひとりバドミントン】

【ひとりバドミントン】

毎週木曜日の昼休み2時間だけ、近所の勤労福祉会館体育館に行って卓球をしている。4台ある卓球台はいつも空いていてわが夫婦しかいない。2面あるバドミントンコートにはいつも常連のご夫婦がいる。

昨日はもう1面に初めて見る若い女性がいて背中に県名が刷り込まれたユニフォームを着ている。県名入りのユニフォームを着た選手がなぜ東京都内で練習しているんだろうと隣りでピンポン玉を打ちながら考えた。もしかすると県名ではなく所属大学名なのかもしれない。いずれにせよ所作が上級者らしく洗練されている。

2022/11/04
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

ひとりきりで始めたので練習相手が遅れて現れるのかと思ったけれど、結局ずっとひとりで2時間練習していた。たくさんのシャトルを飛ばしながら、決めた場所に着地するよう、バドミントンコートを相手に製図するような調整を黙々とやっていた。

2時間近く経って切り上げる際に、体育館の隅に備えつけられた大きなモップで自分が使ったコートをきれいに拭いており、横目で見ていた妻が「えらいなあ!」と感心していた。

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【他人の眼から世界を覗く】

【他人の眼から世界を覗く】

他人の眼を借りて他人の見え方を体験することなどできないと思っていた。2022 年 11 月 9 日、友人6人が川崎市高津区のレストランにあつまって昼食会をした。

2022/11/09
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

2年ぶりの再会を喜び、最後に店内で記念撮影をし、カメラマンの友人に代わってシャッターを押す役をした。友人のミラーレス一眼カメラを受け取ってファインダーを覗いたらまったくピントが合わない。カメラの異常ではないかと言ったら、自分の視力に合うよう視度補正しているからだと笑う。友人がこんなに強度の老眼だったのかとわかってびっくりした。

2022/11/09
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

最年長の友人夫婦を自宅前まで送り、橋の上で記念撮影をしていたら、通りすがりの若者がシャッターを押しましょうと言う。礼を言ってお願いしたら、受け取ったカメラのファインダーを覗いてやはり首を傾げていた。誰でも驚くほどの補正なのである。カメラの一眼を通して他人の眼を体験した。

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【月照】

【月照】

大正から昭和にかけて活躍した仏教学者高神覚昇(たかがみ・かくしょう)が西田幾多郎の教え子だったと知って興味深く、高神の『般若心経講義』を読んでみたらいたく感心した。一緒に仏教大衆化の運動をした友松円諦(ともまつ・えんたい)の『般若心経講話』も読んでみたくて、古書で探して注文したらただでもらってしまったという顛末は日記に書いた。

もらってしまった『般若心経講話』には赤鉛筆の美しい線引がたくさんある。前の持主は何度も再読したらしく、奥付のページに読み終えるたびに年月日が数行メモされ、くり返し読むに値する名著だと書きそえられていた。

ラジオで活躍した高神と松下幸之助について論じた論文をネット上で見つけておもしろく読み、この人に書き下ろしの著書はないのだろうかと検索して見つけたので坂本慎一『ラジオの戦争責任』(PHP新書)を買った。

2022/11/06
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

昨夜は美しい皆既月食の天体ショーを見て感動して就寝した。
未明に目が覚めたので坂本を読んでいたら友松に『月照』という著書があることを知った。月照は西郷隆盛と一緒に錦江湾に飛び込んで入水自殺を遂げた京都清水寺の住持で、事件の心情を知りたかったので友松円諦『月照』(吉川弘文館)を古書で注文した。

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【くさいおなら、くさくないおなら】

【くさいおなら、くさくないおなら】

いつの頃からか自分のおならが臭くなくなっている。にんげん歳をとるとおならも枯れて臭わなくなるんだろうかと思い、調べてみたらおならが臭わないのは腸の活動がうまくいっているかららしい。

2022/11/06
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

おならが臭くなくなった代わりに、若い頃よりおならの量が増えたような気がする。おならの量が多いのはよく噛まずに物を食べる早食いの人に多い傾向だという。こちらは自覚症状があって、最近はますますせっかちになっているかもしれない。

腸の健康度とおならの臭い、噛む回数とおならの量は、どちらも「反屁例」するらしい。

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【うきくさ】

【うきくさ】

草かんむりの下にただようの漂を置いた「薸」という字に「うきぐさ」とルビがふってあった。漢音読みで「へい」、訓読みが「うきくさ」だと辞書にある。

同じ意味と読みをもつ文字に「萍」があり、この文字をふくむ成語に「萍水相逢」があって「へいすいあいあう」と読む。文字どおり漢字四文字の水面上でうきくさが出あっている。偶然出あって知り合う人と人はみな水上を旅するうきくさのようなものだ。

2009/09/06
DATA : NIKON COOLPIX P80

田んぼのあぜ道にしゃがんで水面に浮かぶうきくさを眺めているのが好きだった。うきくさたちはかすかな水や風の流れによってスーーッと思いがけない動きをして出あっていた。

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【社会の窓】

【社会の窓】

テレビのニュースを見ながら
「信教の自由ひとつとってもこういうおかしな議論になるのは、違う種類のものをひとつのことばを使って一緒くたにして考えるからだよね」
と言うと妻が
「そうそう!」
と言うので、ああ常識的な話が通じてよかったと思う。そういう家庭内の「よかった」を確認するためにイブニングニュースという 〈社会の窓〉 はある。

わたしは自分の内側からの私的なわたしと、他人という外側から存在を認められている公的なわたしとがひとつになっている。当然それぞれにおける 〈自由〉 の意味は違っているので、ことばという範疇のまちがいから立てた議論はそもそも議論にならない。そもそも範疇ということばは読めても書くのが難しい。西洋思想にあるカテゴリー( category )ということばがむずかしいので、日本語訳に苦労した井上哲次郎がむずかしい範疇という漢字を割り当てて、さらにむずかしくなっている。

2022/11/04
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

私の 〈自由〉 は  〈社会の窓〉  に仕切られて内側に保証され、外側にあって他人の 〈自由〉 を侵害する 〈自由〉 は相互に制限されるべきである。たとえば、〈社会の窓〉 の内側では自由だけれど外側に出してポロッと見せたら罰せられるべきモノという区別がある。それは性犯罪という 〈社会の窓〉 によって禁じられ、試してみるまでもない罰則規定になっている。「これはおれの神だ、信じるのは信教の自由だ」と言ってもそれを他人に見せて振り回すことは許されない。家族同士であっても嫌だと訴え出れば変態は犯罪だろう。

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【タマゴとマツタケ】

【タマゴとマツタケ】

2022 年 9 月の統計データによると全国のスーパーで売られている鶏卵1パックの平均価格は 231 円なのだそうだ。

10 月 20 日から毎週木曜日は近所の勤労福祉会館体育館まで夫婦で卓球をしに通っている。卓球帰りに大通り沿いで営業している青果店に寄ってみたら鶏卵が安くて 10 個入り 1 パックが 100 円だという。2 パックからは一般的な価格になるので 1 パック限定サービスの客寄せなのだろう。毎回 100 円タマゴを買ってくる。

2022/11/04
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

当然ついでに野菜や果物を買って欲しいわけで、色が浅黒くてカタコトの日本語を話す店員が、
「オトウサン、マツタケイラナイ」
などと話しかけてくる。話しかけられた妻が断ったら、
「ニホンジンノオンナノヒト、ナゼマツタケイウトワラウカナ」
などと下世話なことを言う。

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【オランダとベルギー】

【オランダとベルギー】

医師の友人がよくスピノザと口にするのを思い出したのでスピノザ(1632~1677)について書かれた本を読んでいる。ポルトガル系ユダヤ人という出自にともなってオランダとベルギーの話が出てくるのだけれど、それぞれの低地南部と低地北部などと言われても、頭の中に地図がうまく像を結ばない。

ひとつのベルガエであったこの地域から、スペインの支配を逃れて独立できたのがオランダ、鎮圧されて独立し得なかったのがベルギーであり、ふたつは見えない国境線で隣り合っている。こりゃだめだと思ったので Google マップでベルギーを検索したらやはり位置の記憶が狂っている。

2022/11/01 港区赤坂
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

自動車整備工だった故 M さんから一緒にベルギーへ行こうとよく誘われていたこと、映像作家だった故 M さんがベルギービール好きで新宿で会うたびにご馳走してくれたことなど、さまざまな記憶が張り付いて国境線を曖昧にしている。忘れるために書くことでちょっと片づけた。

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【方向と持続】

【方向と持続】

最寄りの地下鉄駅構内へと下る階段は軽く回転しながら螺旋状になっている。軽くくるっと回されるだけで方向感覚が狂う。地上に対して自分がどっち向きに歩いているのかわからなくなる。

2022/11/01
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

面白いので地上で前方を指差し、その手をひねりながら指差したその方向を持続させてくるくる回って階段を下りたら、自分がどういう方角へ回らされているのかがわかった。なるほど。

人間が毎晩死ぬように眠ることで意識を失い、朝になって奇跡的に昏睡状態から目覚めるようなことを繰り返しても、ちゃんと起きると同じ元の自分に戻っているのは、眠っているあいだも方角を見失わない指のような仕組みが働いているからだろう。

 

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【もったいないとありがたい】

【もったいないとありがたい】

友松円諦(ともまつ・えんたい 1895-1973)が書いた『般若心経講話』大法輪閣が「良い」の状態で1円(送料350円)だったので、「こんな値段でいいのかな…」と思いつつ注文した…と日記に書いたら、古書販売店からの発送完了通知に続いてお詫びメールが届いた。

1986 東京

発送時に折れ・シミ・付属品欠品等の不備が見つかったので代金の1円は銀行経由で返金する、つまり本はタダでくれるという。しかも届いた本が気に入らなければ送料の350円も返金するとあり、読めればそれで十分なのでありがたく頂戴することにした。もったいなくもありがたい話である。

 

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【別れの曲】

【名前の名前】

郷里静岡に帰省してしずてつジャストラインバスに乗ると、なぜか車内放送でショパンの『別れの曲』が流れている。乗客が自分一人しかいない北街道線に乗っていると寂しい気分になる。

2022/10/30
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

近所の蕎麦屋さんが閉店されていた。前者は聴覚的な『別れの曲』、後者は心理的な『別れの曲』が聴こえている。

 

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【名前の名前】

【名前の名前】

なにかの名前を覚えても、そのなにかの内容を理解したことにはならない。名前がそのなにかの内容に合致することはあるけれど、名前だけを覚えて唱えても内容があらわれでることはない。

2022/10/21
DATA : PENTAX Optio RZ18 1 : 1 format

仏教では名は体を表す、名体不二(みょうたいふに)というけれど、漢字6文字自体から功徳があらわれでることはないだろう。6文字自体から功徳があらわれでることなどないと知りつつ唱えることに全神経を集中し尽くすことにありがたい状態はありえる。ありえるけれど、そのありがたい状態に功徳などという名前はない。

 

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【高神覚昇と友松円諦】

【高神覚昇と友松円諦】

高神覚昇(たかがみ・かくしょう 1894-1948)とともに真理運動をおこした友松円諦(ともまつ・えんたい 1895-1973)を読んでみたいと思い、検索したら『般若心経講話』大法輪閣が「良い」の状態で1円(送料350円)だったので、「こんな値段でいいのかな…」と思いつつ注文した。

2022/10/21
DATA : PENTAX Optio RZ18 1 : 1 format

高神も友松も仏教僧でありながら西洋哲学を学んだ人。高神が西田幾多郎の教え子だったことを知って『般若心経講義』を読んだらたいへん良かったので無料の電子書籍版とは別に角川の文庫本も買った。そして友松のほうも読みたくなった。

 

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【南側の窓】

【南側の窓】

交差点近くで長いこと仕舞た屋(しもたや)になっていた古い商家が取り壊されて更地になった。かつては都電が交差する乗り換え地点として賑わい、斜向かいの角には岩崎家の土地に三菱銀行があった。

2022/10/30
DATA : PENTAX Optio RZ10 1 : 1 format

大通りに面して北向きに商店は建ち、東西と南に接してビルができてからはまったく日の当たらない家屋だったのだろう。大通り側から解体が進み左右と奥の壁だけを残す状態になったら、南に面した二階に大きな窓があって木製の手摺りが付いているのが見えた。

かつて店舗裏手には庭か平屋建ての隣家があって、日当たりの良い南面に大きく開口した窓のある、住み良い家だったのだろう。懐かしい最後の家並みが消えた。

 

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【朝の不正解】

【朝の不正解】

朝刊第一面のクイズに、江戸時代からある日本最古の地図記号は何かと書いてある。そりゃあ神社の鳥居か寺の️卍だろう、と思って答えを紙面に探したらなんと温泉マークだという。

この夏、『季刊清水』の取材で柏尾の光福寺を訪ねたら、江戸時代にあった梅ヶ谷村との水をめぐる争い(「川論」)に対する判決文として下された絵地図を見せていただいた。

2022/06/13 清水区柏尾にて
DATA : Nikon COOLPIX P7800

日本初の温泉マークは群馬県の村で起きた土地争いに対する評決文「上野国碓氷郡上磯部村と中野谷村就野論裁断之覚」に添えられた絵地図にある磯部温泉を示す絵記号であり、明治につくられた測量を元にした地形図以前のプリミティブな例が江戸時代にあるということだ。

初めて見る外国人観光客にはお好み焼き屋の所在を示しているように見えるかもしれない現在の温泉マークに比べて、プリミティブな最古のマークは湯気が長くて、深海に潜っていくクラゲのように見える。

 

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