【一六銀行】(再掲)

【一六銀行】(再掲)

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2000 年 7 月 5 日の日記再掲)

「ふんどしを質に入れても、たれを食べろ」

清水市の浜の古老は美味しい「いるかのたれ」を食べたいなら金に糸目を付けるなという意味で、こんなことを言うのだと、地元老舗魚屋の若主人に教えていただいた。

しかし、「ふんどし」を質草に預かってくれる質屋というのも豪気なものだなぁ。その場ではずして「これで、いくら貸してくれるかえ?」なんてやってたのかなぁ。さすが次郎長さんのお膝元と、感心したりもしていたのだ。先日、帰省中に母親の本棚をひっくり返して眺めていたら、出て来た本に同じようなことが書いてあった。

「女房の腰巻を質に入れても、たれを食べろ」

(清商(2000)

女性の腰巻ならウヒヒヒ…と喜んで質草にとってくれる質屋もあるかもしれないなぁと妻に話したら、それはセクハラだと言う。第一、それを言うなら、

「女房を質に入れても、たれを食べろ」

ではないか、

「ふんどしやら腰巻やらは、男の考えることにしてははセコい!」

と、言う。亭主に美味しい「たれ」を食べさせるために質に入ってくれる女房も、女房を質草にとってくれる質屋も、どちらも豪気なものだが、女房を質に入れたらいったい「たれ」が何枚買えるのだろうか。

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