【藻と鼻毛】

【藻と鼻毛】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 10 月 30 日の日記再掲

郷里静岡県清水を流れる巴川には雨が降るたびに上流から大量の藻が流れてくる。

東京にいて生まれ故郷に豪雨が降っていると聞くと、増水した川を次々に藻が流れ行く光景を思い出し、幼い頃から巴川は激しい雨が降るたびにそうやって大量の藻を海へと押し流していたのだ。

■土砂降りの稚児橋下流を流れゆく藻。
撮影日: 07.10.27 1:01:31 PM
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藻の正体であるオオカナダモは大正時代に帰化して各地で自然増殖し、琵琶湖で異常繁殖して環境問題にもなったらしい。

多少の水質汚濁にも耐えられるので……といえば聞こえがいいけれど、水質汚濁によって富栄養化した水中にぴったりの沈水食物が温暖な静岡の地で異常繁殖して大雨が降るたびに川を下って海に流れ込んでいるのではないだろうか。

■台風一過柳橋下流をのんびり流れゆく藻。
撮影日: 07.10.28 8:28:41 AM
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長年にわたる喫煙をやめた友人が最も顕著な身体の変化として、かつては抜いても抜いても生えてきた鼻毛の伸びが穏やかになったと言う。

ということは汚れた空気を吸い込む鼻に生える鼻毛と、汚れた水系に生える藻はどこか似ている。大雨が降るたびに膨大な藻が流れてくるさまは、台地が風邪をひいて滔々(とうとう)と流れ出る鼻水に混じって、都市の鼻毛が引きちぎられてどんどん流れてくるのだ。

■いったいどれくらいの量の藻がひと雨ごとに流れ出るのだろう。
撮影日: 07.10.28 8:30:11 AM
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膨大な鼻毛が引きちぎられて雨が降るたびに海に流れ込んでいる……と想像すると大きなくしゃみが出そうになる。

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