▼突然の別れ

仕事で霞ヶ関まで出掛け、帰宅途中の電車内で
携帯電話をつかってメール受信したら
友人によるこのブログへの書き込みがメールで届いていた。

「ご存知かも知れませんが、芝田村町の「スマトラ」が、本日(7月31日)限りで閉店……」

なんと!
今その「スマトラ」のそばまで行って来た帰りであり、
先週も霞ヶ関で仕事があったので「スマトラ」に寄り
家で真似して作ってみたいキャベツサラダ(50円)の写真を
撮影してきたばかりなのだった。


    「スマトラ」のキャベツサラダ。ザワークラウトとは違う。
    撮影日: 07.7.23 1:27:11 PM
    FUJIFILM FinePix Z2

残念。
こんなカレーを食べさせる店はもう現れないかもしれないと思う。
僕はこんなにシンプルで清らかな味のニッポンのカレーは珍しいと思い大好きだったけれど
決して万人受けして大当たりするようなカレーではなかったからであり、
やさしく柔軟でありながらそれでいて独特で頑固な味だった。

霞ヶ関・虎ノ門界隈に行く楽しみの一つがなくなった。

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▼62……でんわとでんぽう


豊島区駒込。

かつてこの看板の下に公衆の赤電話があって
電報の受付もしていたのだろう。

自宅の電話、自分の携帯電話が当たり前になり、
公衆電話の使い方を忘れて久しい。



長距離電話をかけるときは
「長距離電話をかけたいんですけど」
とお店の人に声をかけると、鍵を差し込んで切り替えてくれ、
交換を通して長距離電話をし
通話を終えて受話器を置くと局から電話がかかってきて
通話料金を知らされ、お店の人に払ったような気がするが
もう記憶も曖昧で自信がない。

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▼61……夏の二股


二股の分かれ道を見ると仲の悪かった両親を思い出す。

たいして角度差のない二股に似た些末事のどちらを選ぶか……
そんなささいなことでいちいち諍(いさか)いが絶えない不幸な男女だった。

    荒川区西日暮里2丁目。
    OLYMPUS E-410 LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5 ASPH

仲の悪い男女と言えば決まって夫婦なのは
仲の悪い恋人同士はさっさと別れてしまうからであり、
別れてしまえない理由があるから
なおさらささいなことで言い争いになるという悪循環なのだった。

別れてしまえない親という股も気の毒だけど
間に挟まれて二股膏薬になっている
子という股の身にもなってほしいと
切に願って過ごした子ども時代がある。

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【親子】

【親子】

小学校時代、教室に初めてやってきたテレビは親子テレビであり、各教室に設置された子テレビをつけると職員室にある親テレビが受信している番組がすべての子テレビに映し出されるようになっていた。
女性の担任教師が子テレビのスイッチを入れたらいつものNHK教育テレビではなく民放の番組が映し出され慌てて職員室に走っていくこともあった。

■JR草薙駅の子時計
RICOH Caplio R2

我が家にやってきた初めての電話も親子電話であり電話がかかってくると母が大声で
「○○さんから電話だよ!」
と 1 階で叫び、2 階で受話器を取って
「いいよ~!」
と叫ぶとポイント切り替え器みたいなスイッチで切り替えて貰うのだった。

JR草薙駅ホームの時計は子時計だった。
かつて親子だったテレビやラジオや電話も親子の必然性が薄れ、時計もまた Quartz 時計を経て電波時計の世の中になったけれど、鉄道時計の親子関係はいつまで健在でいるのだろうか。

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【夏の消費+】

【夏の消費+】

夏は暑い。

炎天下の街に出て歩き回ると汗だくになって疲れる。
汗だくになって疲れるから夏は夏らしくていいもんだなぁと思う。
疲れるのが同時に快感であると感じる夏好きにとって夏と消費は似ている。

■静岡七間町にて
RICOH Caplio R2

静岡は平年より1日遅く27日に梅雨明け宣言が出た。

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【電車と弁当】

【電車と弁当】

ボックス席のない列車内で弁当を食べるのはどうも抵抗があってできない。

最近の中高生は平気で人前で物を食べるので抵抗がないのかもしれないけれど、ボックス席がなかったり通勤・通学客で混んでいる清水・東京間の東海道本線車両内で弁当を食べる度胸がない。
先日も清水駅前のコンビニで買ったサンドウィッチを食べるのに人目が気になって困った。誰も見ちゃいないんだけど。


東海道本線草薙駅。
ホームに下り浜松行き普通列車が入ってきたら並んでお弁当を食べている男女がいた。
女性は真正面を向いてきりっとして食べているが、男性はやや内側を向いて二人の世界という結界を作ろうと気をつかっているように見えるのが微笑ましい。

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【七ぶらと映写機】

【七ぶらと映写機】

静岡県静岡七間町。

古いHi-Central. Model HC-14(Fuji Central)という映写機が展示されておりショーウィンドウにはネオン文字でShichibura Cinema Streetと書かれている。


そうか、映写機というのはこんなに大きかったのかと認識を新たにする昼下がり。

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【自然食通信】

【自然食通信】

7月28日、母親の三回忌法要を午前中に終え静鉄・JR東海道線を乗り継いで静岡駅前へ。

昼食を簡単に済ませるために地下街にあるお店に入ったら看板から抱いたイメージとぜんぜん違っていわゆる自然食系の店だった。

「そうかぁ…」
と意表を突かれつつ店内を見回したら、いかにもそういう傾向の家族連ればかりでなるほどなぁと思う。


東京にもこの手の店がよくあるけれど、初めて入ってみて、これはこれで良かったなぁと思うのは、このお店が地産地消をうたっているからで、東京で地産地消の自然食の店ができないとは言わないけれど、、郷里で地産地消はやはり心から納得できるものがある。

食の安全を常に心がけているような地味なお母さんが、幼い娘さんと静かに昼食をとっている横で、ちょっと不謹慎かもしれないと思いつつ小声で
「あの……ビールありますか?」
と聞いたら
「ヱビスの生ならあります」
と言う。ばんざい。地産地消の自然食を食べながら飲むヱビスの生は、サッポロビール静岡工場の地産地消のせいか泡が細かくて美味しい。
結局大満足。

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【夏の消費】

【夏の消費
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2007年 7 月 29 日の日記再掲

 

元気さが有り余って欲求不満が募ると母親はよく
「静岡にでも遊びに行こうか」
と言い、息子を連れ静鉄電車に乗り、商店街の雑踏を歩き、デパートを順番に回り、食べたい物を食べ、買いたい物を買い、
「もう疲れたから清水に帰ろう…」
と言い、帰り着くと荷物を放り出し足を床に投げ出して、
「ああ疲れた。これじゃあ静岡にお金を払って疲れに行ったようなもんだ」
と言い、それでもまたしばらくすると
「静岡にでも遊びに行こうか」
と言い出すのだった。街場に引き寄せられる一種の病気だ。

■静岡呉服町通り商店街。母が他界して丸二年経ち、また夏が巡ってきて、今年もまたヨーガン・レールの店からセールのハガキが無人の実家に届いていた。
RICOH Caplio R2

買い物で歩き回れば疲れるのは当たり前だし、お金が体外へ流出するのも疲れる理由の一つであり、人は高額の買い物には緊張して汗をかき、買うつもりはなくてもうーんと唸りながら腕組みしていてさえ汗ばむ。そもそも消費は疲れるものであり、疲れることが同時に快感でもあるという不思議な病気だ。

亡き母の三回忌法要を終え、静岡駅前に出て商店街を歩いたら、妻が
「静岡の街には有名ブランドの店なんて何でもあるのね」
と驚きつつ夫の知らないデザイナーブランドの名を次々に上げ、舗道と店内の雑踏を眺め、
「この街の人はせわしなく動き回って物を買うのが好きなのね」
と感心したようにキョロキョロしていた。

■静岡呉服町通り商店街にて。
RICOH Caplio R2

「ああ疲れた。疲れたから駅ビルで一杯飲んで東京に帰ろう」
などとかつて母親が言ったような言葉が思わず口をついて出てしまい、あらためて思うに、静岡の商店街というのはなぜか東京の繁華街を歩くより遙かにお金を払って疲れに行く場所であるように感じられるのが不思議だ。

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▼視覚的寒暖

わずかにそよぐ熱風に揺れる風鈴。

それでも視覚的に涼を感じるというのは人間の感性の面白さだと思う。


    【写真】北区田端、田端銀座商店街にて。
    撮影日: 07.7.25 3:51:54 PM
    OLYMPUS E-410 LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5 ASPH

高校時代、暑いからそばに寄るなとからかわれていた友人がおり、
顔を見ているだけで暑苦しいのだと笑われていたけれど確かにそう言う顔をしていた。
今でも顔を思い出すけれど言葉で表現不能なのは視覚的な寒暖だからだろう。

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▼扉の教え

子どもの頃砂場で遊んでいると
突然乱入してきて作っているものを破壊していく嫌なヤツがいた。


    【写真】北区田端、公園の砂場。
    撮影日: 07.7.25 3:46:56 PM
    OLYMPUS E-410 LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5 ASPH

他人が作っているものを破壊したことはないけれど
他人が立ち去った後で砂の構築物を踏みつぶして帰ることは良くあった。

砂場遊びの後片付けで地ならしをしてあげたわけではなく
子どもというのは心の中にその程度の破壊願望を持っているのだろう。

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▼60……銭湯開店前


東京都北区王子の木造賃貸アパートで暮らした小学生時代、
近所にあって通った銭湯は「金星湯(きんせいゆ)」と言った。
「金星湯」と口に出しただけで夕暮れ空にひとつだけ輝く
宵の明星を見つけたように嬉しい美しい名前だったと思う。

    撮影日: 07.7.25 2:26:36 PM
    OLYMPUS E-410 LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5 ASPH

台東区入谷。

「快哉湯(かいさいゆ)」という秀逸な名前の銭湯があり、
思わず「快なるかな!」と叫びそうになった。
「快哉湯」と口に出しただけで夜空に無数に輝く
満点の星を見上げて感嘆の声を上げたいほどに美しい名前だと思う。

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▼59……柳と本藤理髪店


台東区根岸。

「おっ!」と思わず唸るような
ただ者でない気配を発する理髪店を見つけたので写真に撮らせて貰い、
帰宅してインターネット検索したらたいへん歴史のある理髪店だった。

    撮影日: 07.7.25 2:38:14 PM
    OLYMPUS E-410 LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5 ASPH

明治・大正・昭和の時代を経て
関東大震災や東京大空襲による罹災もまぬがれて
今もこの場所にあるのだそうだ。
内部の調度も素晴らしいらしい。

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▼58……米屋のある路地


知らない街を歩いた後の楽しみは
帰宅してからカメラでメモした光景を
記憶と画面上で見つけた文字を手がかりに
インターネット検索してみることであり、
表通りで人目に多く触れる事象については
必ず誰かが書いていることが多くなった。
それが、ほんのちょっと脇道に入った場所だと
どう検索しても誰も何も書いていないケースが多い。

    撮影日: 07.7.25 2:40:40 PM
    OLYMPUS E-410 LEICA D VARIO-ELMARIT 14-50mm F2.8-3.5 ASPH

荒川区東日暮里4丁目。

幼い頃、米穀通帳をもたされて
わずかばかりの米を量り売りで買いに行かされた頃の
懐かしい米店のたたずまいがふと曲がった路地に残されていた。

誰かこのお店のことを書いていないかしらと検索してみたら
水彩絵の具で着彩してスケッチされている方がいた。

スケッチ水彩画ギャラリー
東日暮里 吉村米店

言葉によらないこういう出会いもまた嬉しい。

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▼夏の携帯ラジオ体操


実家の片付けをしていたらNHKラジオ体操のカセットテープが出てきた。

ラジオ体操第一は服部正、第二は團伊玖磨のの作曲で
著作権の問題かネットを通じての公開はされていない。
小さなスピーカー付き音楽プレーヤにラジオ体操第一・第二を書き込んだものを
携帯用ラジオ体操プレーヤとして売ってくれたらいいのにといつも思っていた。



カセットプレーヤにもテープにも寿命があるので個人用にMP3に録音し、
いつも持ち歩いているZaurusとVictorの小型スピーカで
携帯用ラジオ体操プレーヤに仕立ててみた。
思いついたときどこででもラジオ体操ができて楽しいのだけれど、
公園でそれをやる勇気はまだ持てない。

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