湘南オンラインフレネ日誌

フリースクール湘南オンラインフレネ学習的就労支援活動・災害ボランティアの実践を書き溜めていきます。

父の怪我に振り回された一日/今日から2泊3日ショートステイ

2010-04-27 14:57:49 | 引きこもり
日曜日の朝、父の寝室に行って驚いた。ベッド柵がはずされ、布団と一緒に父がずり落ちていた。移動してしまったサイドテーブルとベッドの間に父の頭が挟まれていた。3時過ぎに覘きにいったときは、ベッドの端に身を寄せていたが、ぐっすり眠っていたので起こさなかった。明け方、騒動が起きたのだと分かった。

父は手を伸ばすことも出来ないほど憔悴していた。布団は尿浸しで、足首には漏らした下痢便と、びしょ濡れになった尿取りパッドが垂れ下がった紙パンツがひっかかっていた。

宙吊りになった水袋を持ち上げるような状態で、どこから手を付けていいのかわからない状態だった。父を床に落とすことにした。足をばたつかせて父は抵抗し、やっと身体に筋肉が復活したような不思議な感覚を味わった。紙パンツの交換前に身体の異常をチェックしたかったが、紙パンツが周辺に便を飛び散らせてしまうので、包帯用の鋏で紙パンツを切り取り、父の姿勢を直した。ベッドから悪臭が立ち込めた。慣れているとはいえ、地獄。

アルコール入りのティッシュを使って身体を拭きながら、異常を確かめていった。麻痺側の腕にどうやらくじいたような痛みを訴え、同じ側のあばら骨の部分を触ると顔が歪んだ。布団と一緒の宙吊り事故なので、骨折は考えにくかったので様子をみることにした。

母が異常音に気がつき階段をあがってきた。母はダイレクトに父に怒りをぶつけるので、父は母に気がついて起き上がろうともがき出した。口論するにも寝ていては不利になる、臨戦態勢というか。それよりもびしょ濡れの衣服を着替えてほしかったのだが、母は周辺を片付けながら、今日も一日、おしっこで家族を縛り付けるつもりかと声を上げ始めた。「縛り付ける」が父には分からない。「タクシーを呼べ。床屋にいく。」と父は怒鳴り始めた。慌てて周囲につかまり尻餅をついた。布団の上で立ち上がるのは危険だが、すでに立ち上がる力は無く尻餅を繰返すのは、むしろ布団が有った方がいい。

脇の下を抱えるわけにも行かず、布団から転がして父を出し、古い壊れたワープロを布団で包み、低い山を作って父の尻を押し上げた。ここから椅子へ、椅子からベッドへという作戦だったが、母が作戦を理解せず、通り道の椅子をどけてしまったり、布団が傷むと怒り出したので制止。父はやっと登った布団の山にさえ、姿勢を維持できないので、背後から腰を抱えて補助し、椅子に移らせた。倒れ掛かる父の全身。私の腰がきしみをあげた。

母に父の座位を補助させ、私はシーツ交換とベッドの拭き掃除を済ませ、父の腰をベッド側から引き寄せた。母は父をベッドに押し上げた。入れ歯がベッド下に落ち、父の注意がそれを取ることにそれて戻らないので、大きな掛け声で父の関心を遮断。強引にベッドに引き上げた。手を緩めれば、ふたたび身体は床に落ちてしまうからだった。私の両肩と腰が痛んだ。そこにティッシュの空箱が飛んで来た。無理やり押し上げたことを怒っているのだ。自力を失った75kgの体重はさすがに重い。感謝のない介護はさらに重い。ベッド柵を戻して一段落ついた。

父はその日、抗議の断食を始めた。しかし身体は失禁を続け、苛立ちは孫の手でベッド柵を叩く行為を引き起こした。その結果、父はベッドから下りなかったので、紙パンツ交換が楽だった。TVを点けておくと、孫の手を伸ばしてベッド上から電源を切った。鬱陶しいのだろう。しかし私には、利き手を伸ばす動作、身を支える麻痺側の腕、半身ひねった上半身の緊張と痛みの様子を見る機会だった。体重のかかり具合から、大丈夫と判断した。

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翌朝、父はベッド中の尿の海の中で寝ていた。デイサービスに行く時間と、私の内視鏡検査の予約時間はゆとりが無かった。30分早めに父を起こし、ポータブルトイレの排泄を要求する父を背後から抱えて、男性器の先にサラダオイルのボリ容器を切り抜いて作った「樋(とい)」を当てて、父の排尿を手伝った。倒れ掛かるサンドバッグの先でグリップを握るような体制で少なくとも5分は姿勢をい児しなくてはならなかった。前立腺肥大を起こしているので、尿がなかなかでないし、排泄感覚が鈍っている。生臭い。

父の排泄と着替えを済ませ、事前に作っておいた朝食を父の前に置いた。その場で父はカップを落とし、床は水だらけになった。拭かない!決断して階段を降り、あとの面倒を母と到着したヘルパーさんに任せて、シャワーを浴びに飛び込んだ。ところが母が洗濯物を風呂場に干していた。時間が無かった。四肢と上半身を清拭し、洗面。そこにホームから電話が入った。いつもより10分早い。慌しく着替えを済ませ、ヘルパーさんと父の階段介助をしている最中に、ホームの迎えが来てしまった。しかも母は私たちの後ろ、階段の上にいるので、玄関先の対応ができなかった。そこに約束の時間より10分も早く、事情を知らないタクシーの運転手がやってきてしまった。私が焦れば、父はその焦りだけ受け止めて、足元が乱れてしまう。恐ろしく長い時間が流れたように感じた。どうしようもない間の悪さ。

1階に父を降ろしたところで、ホームの車椅子を押しのけて、タクシーに飛び乗った。しかし安全策を忘れていたのだ。我が家の車椅子で出かけてほしいというひと言だった。

20分遅れで検査を済ませたところで、母から電話が飛び込んだ。ホームの看護師さんから連絡があり、父を整形外科に見せたほうがいいから引き取るようにとの電話だった。予防線に我が家の車椅子で出かけさせる判断が当たってしまった。きるのと同時に、入所希望を出していた特養から父のテスト入所が5月連休中の1泊2日が決まり、書類にサインがいるという。幸いこのふたつの処理は、道が直線に並んでいたので、タクシーの乗り継ぎで解決することにし、先に新規の特養を訪ねて書式を受け取り説明を聞いた。何処もよく似ているが、持ち物などは微妙に違い、間違えると杓子定規の交換を要求される。髭剃りひとつ間違えても、ホームに届けなくてはならない。長くなりそうなので施設長さんに用事を作って話をしてきた。引きこもり青年、とビッグイシュー販売のEさんの就職の件だった。ケアマネさんを煙に巻いてしまったのだが、なんとか話を伝え、通るタクシーを捕まえて、父がいるホームまで移動、そのまま待ってもらって、父をタクシーに移らせた。

車椅子のない状態で病院着。受付にいた看護師さんを捕まえて、病院の車椅子に移すことを手伝わせ、整形外科外来に急いだ。このとき私は大きな抱え荷物を持っていた。それを持っていては車椅子を押すことが出来ないので、受付に頼み込んで預かってもらった。ところが整形外科は外来診療を終えており、救急外来で見てもらうことに。周辺の看護師さんは走り回っている。私がいなくなると、ひとりで車椅子に座っていないという父の癖が出て、立ち上がってしまう。だから荷物を引き取りに行く暇が無いのだ。問診表を持ってきた看護師さんに頼み込んで、数分父のお守りをたのんだ。

この間を利用して、帰路、病院から我が家のベッドまでの応援を確保する電話をかけた。介護タクシーである。車椅子を持ち込み、その車で移送した後、寝床まで運んでくれるのだ。ところが携帯電話帳に記録がなかった。どうしたものかと困っていると、ふと横を向いた視野に、車椅子の背にかかり付けの介護タクシーの広告板が下がっていた。偶然その表示番号を知り、これでやっと父はベッドに戻れるのだった。

父は診察室にいた。状況を説明し、レントゲンとなった。父は撮影台のベッドに横になって撮影するのだが、ここで意外なものをみた。技師が父の脇腹を抱えて移動していたのだった。私が触っただけで大声をあげた部分を何のことなく抱えられていたのだった。

結果は軽い捻挫。救急だったので保険証や診察券を持っていなかった。今日中に持ってきて会計を済ませるように指示されて、父をベッドに乗せ、用意しておいたおやつを枕元に出して、玄関を飛び出した。バスの時間だった。病院にUターン。会計後、一応湿布薬と頓服の痛み止めをもらって始末を終えた。

終業時刻の迫る市生活支援課に飛び込み、5/18の懇談会の調整。担当者と会えず話は煮詰まらなかった。あすなろ会のOさんからは、ビッグイシューのバックナンバーが100冊溜まったので返本をするようにと、我が家の玄関先に荷物を届けてくださっていた。母の携帯からその本をどうするのかという連絡の頃、私は求人情報を持って鶴が台団地にいた。久しぶりの引きこもり青年H君は、会う気なし。ちと虚しくなって、NPOのネット古本屋さんの顔をみてきた。忙しく空転を重ねている身には、格闘している彼が栄養剤になりそうだったからだ。

そこにIPSリカバリーのキャラバン隊の当事者懇談はどうなったのかという問い合わせメールが入った。精神の関係者と会わねばならない。先方はIPS自体を知らない。どうしたものかと思いつつ、生協で買い物を済ませ、バスに飛び乗った。

父が静かにしているか確認電話。コインロッカーに買い物を詰め込んで、海老名に出た。小田急相模原君と会った。なんとか終バスは免れたが、予定がかき回された無茶苦茶な一日だった。

《気になる書籍》
●「若者と初期キャリア―「非典型」からの出発のために」


p.s. 父、転げ落ちそうになりながら、階段をやっと降り、2泊3日のショートステイに出て行った。昨夜ずり落ち1時、5時前の2回。懲りない。うんざり。

夜間傾聴:橋本2君(仮名)
     ******君(仮名・こちらから)
     小田急相模原君(仮名)


(校正1回目済み)

コメント
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