日々のことを徒然に

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鵜の新居

2017年05月08日 | しっちょる岩国

 岩国市の夏の風物詩、毎年6月1日のアユ漁解禁と合わせ始まり、最近は9月上旬まで、寛永年間からの伝統を誇るのは錦帯橋の鵜飼である。一時中断していたが1952(昭和27)年に復興した。鵜飼は、鵜と鵜匠が一心同体となり、手縄を使って篝火のもとで鮎を獲る漁法。ここでは、鵜匠の服装は昔の儘の伝統を踏襲し、頭に風折烏帽子、腰に腰蓑をつけ足に足中を履いている(いわくに通になろう 参照)。

 鵜飼の主役は鵜。錦帯橋下で活躍する鵜の故郷はここから1000㌔余り離れた茨城県日立市。ここで捕獲された海鵜が送らてくる。施設で飼育訓練され、篝火のもとで夏の風物詩となる鵜飼を演出する。鵜には河川漁業を邪魔する川鵜も知られているが鵜飼には適さないようだ。海鵜には目と瞼の間に薄い透明な膜「瞬膜」がある。水中ではこの瞬膜が水中眼鏡の役目をするそうだ。

 そんな鵜たちに木造瓦ぶきの快適な新居「吉香 鵜の里」が吉香公園内にオープンした。見学したことのある暗い旧施設に比べれば居心地は数倍、いや数十倍、それ以上かもしれない。日当たりはよくガラス超しに鵜の様子が外から観察できる。水浴びや居眠り、潜りなど観覧者を喜ばせている。多くのカメラに少々戸惑っているように見えるのは思いすぎだろうか。

 ずいぶんと古いことだが2、3回遊覧船から鵜飼を楽しんだ。勝手気ままに水面を泳ぎ、勝手気ままに潜って鮎をくわえる数羽の鵜を、それぞれに結わえた手縄(たなわ)1本で操る鵜匠の巧みなさばきは見ごたえがある。手縄はヒノキの木質部を繊維として鵜匠が作るという。万一の場合は逆にねじり手綱を切り鵜を助ける仕掛けもある。獲れた鮎を遊覧船に投げ込んでくれるサービス、今も続いているのだろうか。

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