城下町の名残がわずかに残る街で半世紀以上に渡って地域診療を続けられた医院がある。私は2代目院長の患者として定期的に診察を受けている。この医院の昭和の香りが残る待合室の様子を投稿、掲載されたとき「リニューアルの記念になります」と聞き、新しくなることを知った。先日、2代目の子ども、初代院長の孫にあたる人が3代目として、旧医院の隣接の地に新築開院、2人の診療体制となった。
開院なってから初めて受診。旧医院の解体工事が続いているが、そこは駐車場になると聞いている。外観は風致地域の関係もあり和風、地域の景観にマッチしている。昭和的だった木製の下足箱や木枠の受付の小窓が消え、明るいオープンなエントランスは今風で、よう3代目、というところ。コンクリートでなく板張りの床がやさしくて落ち着いた雰囲気でいい。
診察初めに「配布は終わったのですが、記念品です」と主治医から手渡された。見ると見覚えのある写真が印刷されている。それは建設が始まった頃だった。主治医から「錦帯橋の写真」を求められた。3代目が開院の資料に使いたいという話。素人の写真でいいのか確認すると、それが望みという返事、よせばいいのに「世話になっているお礼」くらいの気で渡した中から何枚かをセレクトされたことを思い出した。
何はともあれ私にとっては2度と起きないことで、記念品にも勝る記念の出来事になった。HPによると3代目は、開院後も出身大学で手術を担当されるという。新しい機器も多数導入されているようで、地域医療への意欲がうかがえ、期待する。