吉川史料館付近で「岩国城へは歩いて登れますか」と声を掛けられた。散歩の途中で急ぐことはないので「登山口まで案内しましょう」ということにした。関西から来たという中年の感じのいいグループ。ロープウエイ山麓駅で「これでも」と案内したが、山頂に建つ姿を眺めていて歩いて登ろう、となったとか。紅葉谷公園で登山口を教え、城は標高200メートル、道沿いは自然林なので森林浴も楽しんでと岩国検定で学んだうんちくを少々。
岩国城を訪れる観光の人はロープウエイを使用、とばかり思っていたがそうでないことを知った。登山口から歩いて30分あればロープウエイ山頂駅前の広場に到着できる。ここからは、眼下の錦帯橋や城下町、遠くには瀬戸内海までが眺望できるお薦めの休憩広場になっている。城は広場から整備された道を少し進む。岩国城の建つ城山は吉川広家が入国以来、斧を入れぬため原始林化しており「自然休養林「の指定を受けている。多くの人が踏み入れると懸念することは増えるが、観光資源や学習の場としての活用を一考してほしい。
岩国城は国の名勝・錦帯橋と並ぶ観光のシンボル。岩国城は初代岩国藩主・吉川広家が1608(慶長13)年、城山山頂に築城した。1615(元和元)年の一国一城令により、僅か7年で破却された。山麓の土居は居館として明治まで存続した。現在の岩国城は、1962(昭和37)年に三層四階の上部に物見を置く桃山南蛮造り白亜の天守閣として復元されたもので、日本名城100選に選ばれている。
登山口から25分を切って山頂広場まで登っていたが最近は30分に達する。登り始めのほぼ直線の急斜面が一番の難所。そこを過ぎると後はそれほど苦にはならない。錦川や街並みを木々の切れ間から眺めながら原始林の恵みを受ける贅沢なコース。カメラ持参でお越しください。