今年のタケノコのでき具合、表と裏の両方の声を聞いた。我が家は頂もので旬を味わうので表裏の実際はどうだったのか分からないが、おいしくいただいた。そんなタケノコのもそろそろ終盤、竹林は「竹の秋」を迎えている。タケノコに栄養分を回したため竹の葉は落葉期、周囲の新緑との対比が際立つ。秋になると竹の葉は緑が茂り、新緑を誇った木々は落葉期となり、竹の葉が誇らしく笹の音を奏でる。
そんな竹林の山裾に1本だけタケノコが伸びている。その姿は「遅くに出てきてごめんなさい」と腰を曲げて詫びているような姿勢をしている。タケノコが腰を曲げて出ている姿に記憶はなく、何ともユーモラスな姿だと撮った。そういえば人の世にも腰を折り曲げる場面によく出会う。
官民を問わず不祥事発生のたびにお詫びと説明の記者会見が開かれる。詫びる側が自主的にセットするのか取材側が要請するのか、そのいきさつは知らないが、マイクを前に関係者が整列し腰を折り、頭を下げる。どの会見もそこまでは似たり寄ったりで同じに見える。もしや詫びの記者会見指導員なる職種があるのかと思わせるほどよく似ている。
会見する人を竹に例えて申し訳ないが、会見の報道を読んだり映像を見たりすると「竹を割ったような会見」は非常に少ない。弁舌の達者なことを「竹に油を塗る」というが、専門的なことをよどみなくしゃべっても部外者には分からない。丁寧に、正直に、解りやすく、弁明やお詫びの姿勢を見せてほしい。