藤岡市助は1857(安政4)年に生まれ、養老館、岩国英国語学所で学び、東京の工部大学(東京帝国大学工学部の前身)に入学した。在学中の1878(明治11)年3月25日、日本初のアーク灯を点火した(後にこの日が電気記念日となる)、卒業後同校教授となり、大学教育、発電機の発明、学会創立など科学者として目覚ましい、活躍をした(記念灯掲示板より)。
養老館は現在、岩国学校教育資料館として岩国小学校の運動場に隣接した場所にある。私の小学校時代には保健室に音楽室、給食の調理室などとしてお世話になった思い出の校舎の1部分に当たる。県の指定有形文化財に指定されたここには、市助の業績を紹介する常設のコーナーがある。
その玄関横に「日本の電気界の父」と仰がれ「日本のエジソン」と親しまれた博士の偉業をたたえるためアーク灯が設置されている。夜ともなればオレンジ色の明かりが養老館を初めとするその周辺を照らす。温かい感じのする灯りは通りがかる人が見上げるほど明るい。
あと1カ月もすればそばの桜が花開く。咲くとその色の美しさを一段と増すアーク灯、今は寒い星空に何か文明の信号を届けているようだ。
(写真:市助を讃えるアーク灯、後ろの建物は旧養老館)