みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

壁にひびが…

2021年06月16日 | 使徒の働き

使徒の働き 10章1−16節

 10章は、福音宣教についての新しい展開がみられる箇所です。そのために、二人の出会いが鍵になります。そしてその出会いは、当事者同士が計画したのではなくて、神によるものだということがここから分かります。

 二人が出会うために、神は二つの場所で「事件」を起こされました。

 まずはカイサリア。ここは地中海沿岸にありローマ時代には港があり、ここから、そしてここへと人や物が運ばれました。神が選ばれたのはローマ軍の百人隊長、「イタリア隊という部隊」とありますので、ローマ人で編成されていたのでしょう。2節に彼とその家族の神への信仰の姿が紹介されていますが、模範的な信仰生活を営んでおり、しかも、それが彼らの自己満足でなくて、「神の御前に上って、覚えられている」というものでした。

 異邦人の彼が、どのようにしてイスラエルの神への信仰を持つようになったのかは分かりません。神を求めるものに神はご自分を表してくださるお方だと教えられます。注目すべきは、神の使いの彼への指示が具体的だということです。ヤッファに人を遣わすこと、そこにシモンと呼ばれるペテロが滞在していること、滞在先は皮なめし職人のシモンの家、そしてその家は海辺にあるということ…。これなら、○○マップなど用いなくても分かります。

 「コルネリウス」との呼びかけに、主よと答えたコルネリウスですから、この具体的な指示に早速従い、信頼のおける三人をヤッファに遣わします。

 そしてヤッファ。主はペテロに現れます。しかもユダヤ人の彼にとってありえない命令をなさるのです。それがどれほどありえないことかは、彼がその幻を三度も見なければならなかったことで分かります。ところで、皮なめし職人というのは、当時では人々が嫌うような職業でした。福音はそこにも伝えられていたということが分かります。そしてこの時、「地の果てまで」という主イエスの約束が実現しようとしていました。ユダヤ人と異邦人の間の厚い壁にひびがはいろうとしていました。

 ありえないと思っていることに、神はどのように介入されるのだろうか…問われる箇所です。


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