みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

二つの命令

2019年08月23日 | マタイの福音書

マタイの福音書 28章11−20節

 4月から読み進めてきた「マタイの福音書」、いよいよ最終章の終わりの部分になりました。ただし、1−2章は12月号で読むことになっています。この箇所は、イエス・キリストが宣教の命令を弟子たちにお与えになった箇所として知られています。

 きょうの箇所全体を改めて読み直してみますと、ここには二つの命令があることがわかります。11−15節にあるのは、祭司長たちが兵士たちに与えた命令です。イエスのからだが墓の中から消えてしまったとの報告を聞いた指導者たちは、復活を握りつぶして弟子たちが兵士たちが眠っている間に、イエスを盗んで行ったと言え、と命じます。事実を覆い隠すために金を与えて嘘をつくようという命令です。

 16−20節には、宣教命令があります。復活された主イエスが弟子たちにお与えになったもの。人を全く造り変えてしまう力を持つ、世界を変える命令です。前者が嘘をつくようにとの命令だとしたら、これは真実を明らかにせよとの命令だとも言えます。そして、この命令には兵士たちが受け取ったお金などはるかに及ばない、素晴らしい約束が伴っています。イエスが世の終わりまで、いつもあなたがたとともにいるという約束です。

 考えてみますと、私たちは毎日いろいろなことを指示され、命令され、それに従い、あるいは従わないで歩んでいます。従うか従わないかを決めるのは、命令を与える相手によりますし、命令の内容によります。お金のために嘘をつくようにという命令の先には何が待ち構えているのでしょう。私たちが生きているのはそんな命令に従った結果でき上がったものだというのは大げさなことでしょうか。

 復活の主が生きておられるとの福音さえも、嘘だとして退けられるような時代に遣わされているキリストにある者は、このイエスの命令を聞き、従えという強い促しを覚えます。


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