ダブログ宣言!

ひとりでするのがブログなら、
ふたりでするのがダブログ。

加藤典洋『対談 戦後・文学・現在』

2018年08月17日 22時58分07秒 | 文学
加藤典洋『対談 戦後・文学・現在』(而立書房)を図書館で借りて読んだ。
あまりおもしろい話はなかったが、吉本隆明の対談が懐かしい感じだった。といって、この対談を読んだことがあるわけではないと思うのだが、吉本隆明的な感じが懐かしく思った。
吉見俊哉との対談で、『占領の記憶/記憶の占領』という本が出てきて、興味を惹かれる。ちょうど文庫が出たばかりだったので買ってみた。
吉本隆明との対談で、加藤典洋が大江健三郎について、
《僕は昔からの大江さんの読者なんだけれども、ある時から、大江さんの小説の世界が死んでいる、と感じるようになって遠ざかったままいまにいたっています。具体的にいうと、大江さんの文学世界は、七六年の『ピンチランナー調書』あたり、あの谷間の村の話が定番になってから、変質したと思っている。その世界は、文体としても、小説としては、谷間の村が出てくると死ぬよ、とずっと思っているんです》(282頁)
と語っていて、そうだよな、僕もそう思います、と思った。谷間の村の話って退屈なんだよなあ。
吉本隆明が、ボランティアについて、
《そうすると、ボランティアとはなんだということになるけれど、僕は贈与だと思うんです。贈与の一つじゃないかと。
 加藤さんのところには、あなたの本を点字に訳したいんだけど、承知してくれませんかとか言ってきませんか。僕のところへはよく来るんですけれど。そのときに、いいですよっていえばそれで済むんだけれど、つい言い方が気に食わないんですよ。要するに、自分も奉仕してるんだから、おまえも喜んで承知しますみたいなことを言うのがあたり前だみたいな文面なんですね。そりゃいいですけれど、ここらへんに残るんですよ。このばかっていうのが(笑)。》(360頁)
と語る。こういうのが吉本隆明らしい気がする。こういう言っちゃいけないことを言ってくれるひとって少なくなったんじゃないかなあ。
コメント    この記事についてブログを書く
« テレビドラマ『ワンダーウォ... | トップ | 村上龍『ラストワルツ』 »

コメントを投稿

文学」カテゴリの最新記事