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台所用品の美

2016年03月09日 00時08分44秒 | 文学
引き続き『小林秀雄対話集』(講談社文芸文庫)の、
「「形」を見る眼」(青山二郎)
「現代文学とは何か」(大岡昇平)
「批評について」(永井龍男)
「美の行脚」(河上徹太郎)
「美のかたち」(三島由紀夫)
「誤解されっぱなしの「美」」(江藤淳)
「白鳥の精神」(河上徹太郎)
を読んだ。
大岡昇平は「先輩に認めてもらいたい後輩」のような感じだ。まさしくその通りなのかもしれない。難しい話をずっとする。
永井龍男との対談は、山本七平の『小林秀雄の流儀』にこの対談が登場し、これが読みたく思いこの本を買った。小林秀雄が旅行記を書かない理由が書かれてある。旅行に行って、初めて見たものについてちょっと調べたりして何か書いたって、そんなものだめだ、みたいな話だった。
ずっと「生活」という言葉が重要な意味を持っている。
「美の行脚」、「美のかたち」、「誤解されっぱなしの「美」」はタイトル通り「美」がテーマ。美はフォームだ、形だということをしきりに言う。言葉で理解するんではなくて、じっと見つめて触ることが大切、というような話。その形から感得するものがあるというようなこと。なんとなく、まさしく言葉では理解できるような気がするが、実際にそのような時間をかけてなにかを見つめたようなことがないからわからない。
小林秀雄と美、ということでどうしても泰西名画や骨董品(徳利や杯や鐔)なんかを思い浮かべてしまうのだが、たぶんそうではないものを思い浮かべるべきなんだと思う。
私がいまもっとも思い浮かべられるのは台所用品で、雑誌「クロワッサン」や有元葉子の本などで台所用品を見て自分の家もこんなふうにできたらいいなとかデパートに行ったついでに選んだりとか、買ったりとか、そんなことが小林秀雄の言う美に一番近いのではないかと思う。
「白鳥の精神」は正宗白鳥の追悼なのだと思う。正宗白鳥がキリスト教徒であったことがしきりに話される。
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