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丸谷才一『思考のレッスン』『文学全集を立ちあげる』

2010年07月25日 19時24分59秒 | 文学

丸谷才一の本を図書館で借りて読む。
『思考のレッスン』と『文学全集を立ちあげる』(ともに文藝春秋)を読んだ。
僕はこれまで小林秀雄系統の評論家のものしか読んでこなかったので、丸谷才一の評価している作家のものをまるで読んでいない。丸谷才一の小林秀雄に対する恨み(?)のようなものも垣間見えた。彼の小林秀雄に対する評価は極めて低い。
鹿島茂と三浦雅士との鼎談『文学全集を立ちあげる』は架空の文学全集を作るという本なのだが、この架空の文学全集でも、小林秀雄はさすがに入ってはいるが保田與重郎と一巻にされている。志賀直哉は武者小路実篤と一巻。
本のなかでは「志賀直哉神話」と呼ばれていたが、志賀直哉に始まり、小林秀雄などに流れる、文学に人生論を求める考えを否定しようとする丸谷才一の意図の見られる鼎談だった。
代わりに、丸谷才一の評価する吉田健一が全集では一巻になっていた。
吉田健一というのはそんなに素敵なものなのだろうか。どうにも興味が持てないのだが。
『思考のレッスン』によると、丸谷才一はこの吉田健一と中村真一郎とバフチンと山崎正和が好きなようだ。
吉田健一と中村真一郎を読むことはないだろうと思う。
『文学全集を立ちあげる』ではもっと読みたい本があるかと思ったが、あまりなかった。
ディドロの『ラモーの甥』は面白そうだと思った。
《丸谷 あれ(『ラモーの甥』)は、まさしくジョイスが、プルーストが、トーマス・マンが書いた小説を十八世紀においてやったものなんです。》(36頁)
映画『スター・ウォーズ』を見たところでもあるし、吉川英治の『宮本武蔵』は読んでみたい。代わりに井上雄彦の漫画『バガボンド』でもいいのだが、あれはまだ終わっていないのか。

鹿島茂が、鼎談の中で「最近評価が上がっている」とか「若い子にも人気」みたいなことを何度か言っているが、いったいどこで評価が上がっているんだろう、と思うことばかりだった。
フランスの作家コレットはそんなにすごいのだろうか。これは少し興味を惹かれた。
林芙美子が今の若い学生にすごく受けているという話は嘘だろうとしか思えない。大学教授にありがちの勘違いだろう。
鹿島茂は、見るときはいつも「ドーダ理論」(東海林さだおが言い始めたという、おれはこんなにすごいんだ、ドーダ! という観点からものを見る理論?)の話をするのだけれど、だからどうだというのかがよくわからない。あまりおもしろい観点だとも思えない。
鹿島茂は胡散臭い。

丸谷才一の、文学に人生観を求めないという徹底した態度はとても新鮮だ。
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