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柴崎友香『待ち遠しい』

2023年02月18日 09時33分21秒 | 文学
柴崎友香『待ち遠しい』(毎日文庫)を読んだ。
随分前に雑誌(「クロワッサン」か何か)を読んで興味を持ったのだと思う。文庫になったのを機に読んだ。
前半はたいへん愉しくて、このままずっと読んでおきたい気分になった。谷崎潤一郎の『細雪』とか、夏目漱石の『吾輩は猫である』を思い出し、再読したくなった。おそらく淡々と話がすすむところが好きだったのだろう。
後半になると、物語に起伏を持たせようとする気持ちが見えて、少し愉しくなくなる。
語り手が辛い目に遭って、自分の気持ちを宣言するということが文学では行われるが、それが繰り返されると少しうんざりもしてくる。「人生つらいなあ」と思って。
意識を強く持たなければ平気で生きていけることも多くあるので、生き方は難しいものだと思う。
いろいろ言われても何も気にせずにへっちゃらで自分の気持ちを何も宣言しないということは実際にはよくあることだと思うが、そのような語り手は文学では想像できない。
意識がはっきりしていて自分の気持ちを明確に定義できることが善しとされている。
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