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三浦しをん『仏果を得ず』

2020年10月27日 21時03分42秒 | 文学
三浦しをん『仏果を得ず』(双葉文庫)。
何年か前にバスに乗っているときに「仮名手本忠臣蔵」だったか「妹背山婦女庭訓」だったかの文字を章のタイトルに使っている小説を読んでいる女性を見かけ、非常に興味を惹かれた。どんな小説なのだろうかと思った。古典芸能の紹介の本のようには見えず、括弧書きの会話文もあるように見えたのでわりと軽い小説なのだろうと考えた。
家に帰ってそれが三浦しをんの『仏果を得ず』だということは分かった。
そのあとずっとそのままにしていたが最近谷崎潤一郎の『吉野葛』を読んで、浄瑠璃の物語に興味を持ったので読んでみることにした。

読み始めて、無口で変人の美しい青年というのをこの年代の女性作家はいつも描いているのだろうかと思った。
あまり読まないのに、同じ三浦しをんの『舟を編む』もそうだし、恩田陸の『蜜蜂と遠雷』にも宮下奈都の『羊と鋼の森』にもなんだか同じような傾向の青年というのが登場したように思う。
無口で変人の美しい青年が登場し、物語が始まるというのがひとつの型になっているのかもしれない。
少女漫画の影響もあるだろうが、もともとはシャーロック・ホームズから始まっているのかもしれない。

登場人物たちが必要以上に純情だったり、鈍感だったり、怒りっぽかったりして、そんなやつはいないよなと思いながら読んだ。
マンガのようだった。
正直に言えば腹立たしい感じだった。
そんなことで本当の人間は「えーっ」と思ったり、「はい?」と拍子抜けしたりしないな、と思いながら読んだ。
もう少し浄瑠璃の話に興味を持つかと思ったが、知らなければまるで興味を持てない書き方だった。
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