ダブログ宣言!

ひとりでするのがブログなら、
ふたりでするのがダブログ。

佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』

2020年09月13日 11時11分11秒 | 文学
テレビ番組(「セブンルール」)を見て興味を持った、佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)を読んだ。
癌になって死ぬ前に、どのように過ごすのが良いのかを考えさせる本だった。
やはりこの間死んだ父親のことを考えながら読んだ。入院もしたが、最後まで長く自宅で療養していて、それは良かったなと思っている。しかし自宅で看護するのはなかなかたいへんなものだということも思う。
そういうはっきりと結論の出せない感じがこの本にも良く出ていた。
著者は母親のことを父親が看病していた経験や、著書の取材のために終末医療の現場に同行させてもらっていた少し前のこと、そしてそこで知り合った看護師が癌になって彼のそばにいて思ったこと、を行ったり来たりしながら描く。
最初のほうは在宅医療はたいへんだという感じが強く、最後になるにつれて在宅医療も良いというように進んでいったような印象を受ける。それは友人の看護師への弔いのようなものでもあるだろう。
やはり自分では在宅での看護はできないだろうとは思いながらも、死んでいった友人の思いを否定することはできない、ということがあると思う。
死んでいく人は何かを遺していく。著者は遺された思いを受け取ったということかもしれない。
コメント