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カズオ・イシグロ『日の名残り』

2020年09月01日 23時54分22秒 | 文学
カズオ・イシグロ『日の名残り』(ハヤカワepi文庫)読了。
語り手の父親が登場することは憶えていてそのために読んだのだけれど、語り手が執事で父親が副執事であったことも、その父親が死ぬことも忘れてしまっていた。「二日目——朝」で描かれる非公式の国際会議のようなものの場面はすばらしい。語り手のスティーブンスが女中頭のミス・ケントンとの確執や老いた父親に対する心配とそれに続く死、フランス人のデュポン様の足の痛み、アメリカ人のルーイス様の悪だくみ、二十三歳のレジナルド様への性教育など、いろいろなことを一度に行って「偉大な」執事であることがわかるようになっている。そして可笑しい。
ダーリントン卿は第二次世界大戦のときにドイツの味方をしたような言われ方をして自殺したということなのだろう。実際にドイツとイギリスの仲立ちをしようともした。自分の仕えている人間が間違ったことをするときに、仕えている人間はそれに従うべきか、意見すべきかというのはとても重要な問題だ。いまの日本でも重要。自分自身の意見を言うべきだというふうには、そんなに簡単には結論が出せない。

ひさしぶりに読んでやはり魅了されたが、どこがどうおもしろいのかは上手く説明できない。
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