ダブログ宣言!

ひとりでするのがブログなら、
ふたりでするのがダブログ。

白井聡『永続敗戦論 戦後日本の核心』

2015年06月16日 20時39分55秒 | 文学
白井聡『永続敗戦論 戦後日本の核心』(太田出版)を読んだ。
ほんとうにいまの世の中はなんだかひどいという思いが最近強い(とくに安倍政権)ので、それについて何か語っているものが読みたいと思い読んでみた。

まず、「永続敗戦」という言葉がわかりにくい。
太平洋戦争に負けたことを「敗戦」と言わず、「終戦」といったことでその事実を見ないようにした。そのことで私たちはずっと敗北したままである、というような意味なのだろうが、それを「永続敗戦」と呼ぶのは直感的にはわかりにくい。
最後に引用されたガンジーの言葉、
「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。」
というのが素晴らしいと思った。
昭和天皇が共産主義者を恐れていた、それによって沖縄の米軍駐留が決まったというような話は噂であるにしても初めて聞く話だった。しかし時代的には確かにあり得る話だなと思った。共産主義者に対して異常なまでの恐れを持っていた。それは私の母親などでもそうだったように思う。
よく切れる刀はなんでも切って切り過ぎてしまうので、「永続敗戦」の理論も少し手を広げすぎているように感じるところがあった。これは近藤誠の『医者に殺されない47の心得』でも感じた。力強くて目新しい理論は、なんにでも適用できる気がしてしまう。これは新しく出てきた理論の宿命と言える。
『永続敗戦論』と『医者に殺されない47の心得』をいっしょに読んでいたので、日本人が薬に頼りすぎたりガンを放置できないのは、「永続敗戦」のせいだと思った。
理論はよく考えて、限られた範囲に使用すべきだろう。

内容はいろいろな話が出てきたし、読むのに時間がかかったせいもあり、もう一度読まないと理解できない。そのうち読みたい。
コメント