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猪瀬直樹『ペルソナ 三島由紀夫伝』

2012年11月17日 20時11分13秒 | 文学
猪瀬直樹『ペルソナ 三島由紀夫伝』(文春文庫)を読んだ。
『マガジン青春譜』と違って(覚えていないがおそらく『ピカレスク』とも違って)、この本では「僕」という一人称で作者が登場する。それが違和感があった。突然「僕」が何度か出てくるのだが、これが三島由紀夫の書いたものからの引用のように勘違いさせる部分があった。
三島由紀夫については『鏡子の家』に少し興味を惹かれたが、たぶんつまんないだろうなと思っている。川端康成同様、三島由紀夫の小説でもおもしろいと思ったものがほとんどない。
『豊饒の海』の四部作については、読みながらおもしろくなくて気分が憂鬱になった。今だったら読めない。
猪瀬直樹はこれまでの文学史ではあまり語られることのなかった、原稿料などの経済的な面を語り、とてもおもしろい。売れないものこそ文学で、お金について考えるなど文士とは言えない、みたいな思想が日本の純文学史にはあって、しかしそれでもお金に引きずられる面は大いにある、というようなことを考えさせる。
三島由紀夫の最期の事件について詳しく書かれていたのでどのようなことがあったかはよくわかったのだが、時代の雰囲気が僕には理解できないところがあり、なんで三島由紀夫がそんなことを考えたのか、なんで楯の会の若い人は三島由紀夫につき従ったのか、わからなかった。同じ時代を生きていないとわからないことってあるなと思う。

これで猪瀬直樹が日本の文学史について書いたノンフィクションは全部読んでしまった。
なんだか読むものが全くなくなってしまった気分。
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