転落の歴史に何を見るか(斎藤健著)

2021-06-15 00:00:01 | 書評
転落の歴史、とは日本の近代のことだ。自民党の有力議員の斎藤健氏が2002年に書いた書をほぼ原形のままにして、増補し、2011年に上梓している。2002年の時には経産省に籍があり、2011年には自民党議員になっている。



日本は明治維新から三十数年で日露戦争で僅差ではあるがロシア帝国を打ち破るほどの国になったものの、そこを頂点に三十数年で敗戦の焼け野原になってしまった。

その見事なほどの負けっぷりはどうして起きたのかを、主にイデオロギー的政治的対立と組織論的な守旧主義という二つの軸で捉え、政界や軍が主体性なく流されていったことが羅列されていく。

日露戦争当時には、明治維新の英雄たちはちょうど60歳頃と経験と知識を十分に振える状態だった。しかしその後、成功体験のない軍人や政治家が増加してジェネラリスト的人物が枯渇していったとしている。

本書には触れられていないが、天皇親政のような近代国家にはない制度に突き進んだのも失敗の原因だろうか。


著者は経産省出身でありながら、農林族になり、しかも石破派という辺境にいるのだが、これからどうするのだろう。

ちなみに農林大臣の後任は、鶏卵疑惑の吉川氏。なぜか起訴された後の続報がない。

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