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万宝料理秘密箱前編「卵百珍」について

2019-09-26 00:00:27 | あじ
畠中恵氏による人気の『しゃばけ』シリーズに登場するのが江戸時代の料理書である『万宝料理秘密箱前編(卵百珍)』卵料理を集めたレシピということになっている。

少し不思議に思ったのは、「前編」ということばと「卵百珍」ということば。前編ということは、後編もあるのだろうか。また前編が卵料理なら後編はなんだろうという疑問だ。調べてみると、意外な話だった。

まず、その本は実在するのか、著者の創造物なのかというと、実在している。

実際に以下に紹介する画像をここに掲示することにどれくらいの知的財産権があるのかどうか、よくわからないことがある。古文書、現代語訳料理写真付き、本の表紙、クックパッド・・ということで、こういう本があるということがわかる程度の画質に落しておくので、原文を読みたい人や現代語訳を読みたい人、料理を作りたい人は、各自、詳しく調べていただくと、容易に先に進めることができる。



まず、本書は『萬寳(まんぽう)料理秘密箱前編』となっている。天明5年(1785年)に京都の器土堂が発行している。さらに寛政7年(1795年)に再版されているようだ。また、現本やその写しが何セットか実在する。5冊5巻である。別名は「玉子百珍」となっている。これにて調査終了ということにはならない。

「卵百珍」ではなく「玉子百珍」。細かいように思えるが、実は、「卵百珍」というのは別の本に付けられた通称である。それも同じ年の別の書物だ。誰かが混同している。

もう少し、前段の話がある。

三年前の天明2年(1782年)に大阪の春星堂から『豆腐百珍』という本が出版されている。豆腐料理百種だ。これが大当たりしたようだ。そして、触発されたに違いないだろうが京都の器土堂が、3年後の天明3年に、続々と料理本を出した。その一つが、『萬寳料理秘密箱前編』であるが、その他は何かというと、

『萬寳料理献立集(別名:卵百珍)』
『鯛百珍料理箱』
『柚珍秘密箱』

その他にもいくつかの出版元が百珍物を出版している。器土堂というのが版元なのか、名前から言って皿や茶碗を作っている店のようにも思えるが詳細は不明。

そして、『萬寳料理秘密箱前編』に後編があるのかについては、見つかっていない、あるいは存在しない。実際、そう簡単に売れる本なのかということがある。卵は高級品だったし、この本を買う層は大衆ではない。

さらに玉子百珍といっても玉子料理だけではない。5巻の最初は鶏料理集だそうだ。そして最後は川魚料理集だそうだ。その中で最多が卵料理で103種(寛政版は107種という説あり)。



そして、この現代語に翻訳されたものが教育社から豪華本で出されている。原文は、ほぼ文字だけだが(一部調理器具の説明図が使われる)、現代語訳(奥村彪生訳)には完成した料理の写真が使われている。なお原著者は「器土堂主人」となっていて、本名はわかっていないようだ。



料理を作ることに特化して調べるなら、クックパッドやキッコーマンでもレシピが公開されている。

いうまでもなく、現本通りに作った場合でも、その料理を食べた結果、身体や頭脳に何らかの異常が発生しても責任は持てないので、よろしく。

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