フロイトとアドラーの心理学(和田秀樹)

2015-04-15 00:00:01 | 書評
tradアドラー心理学の人気が沸騰している。そのあたりをよく考えていると、そもそもアドラー心理学というのは、心理学なのかということになっていく。というか現代的にはフロイトを基準に考える癖がついているわけだ。

そして、この二人の他に忘れてはいけないのがユング。どうもジャンケンのような3すくみ状態と考えてもいいのかもしれない。深層心理という分野の中でも「幼児期の性的抑圧」にこだわるフロイト、アドラーのこだわりは劣等コンプレックス。そしてユングは無意識下の意識の根源として民族の記憶である民話などをさがす。

で、今、アドラーが人気なのが、精神病の治癒という観点からのようだ。現代社会に流れる鬱の精神、あるいは適応障害といった病名。これが、フロイト的な方法だと治らないということらしい。潜在意識を探ったり、トラウマになっている事象を無理に思い出させたりして、それを乗り越えさそうという治療法は、ほとんど失敗に終わっている。むしろ、忘れかけていた患者の記憶の中に再び姿を現わしたり、逆効果なのだ。

つまり、フロイト理論は、精神分析の学問的な到達点ではあるが、病気を治すという観点でいえば、うまくいかないわけだ。

言い換えれば、学問か治療かということになるのだろう。


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