「ハムネット」邦訳まもなく刊行

2021-09-01 00:00:36 | 書評
“ハムネット”は“ハムレット”ではないが、シェークスピアに大いに関係がある。彼の男児の名前なのだ。今を遡ること400年前、欧州全体にペストが襲い掛かったパンデミックの中、11歳で亡くなっている。

シェークスピアの妻はアン・ハサウェイという女性。有名なハリウッド女優と同姓同名。小顔で欠点は美人過ぎること。『プラダを着た悪魔』『レ・ミゼラブル』などに出演しキャットウーマンを演じたこともある。40歳になり、顔が魔女的になってきたと思っていたら『Witches』という映画で魔女を演じた。英国人の母親が女優で、娘をアンと名付けた。



話を400年以上前のアン・ハサウェーに戻すと、26歳の時に18歳のシェークスピアと結婚したが、いわゆる「でき婚」だった。このため、歴史上はオノ・ヨーコ並の悪女と言われているらしい。実際には彼女についての記述はほとんど残ってなく、シェークスピアの遺言状に二番目のベッドを彼女に贈るということが書かれているそうで、これがまた謎を呼んでいる。

実際に、結婚して6か月で生まれた長女とハムネット、ハムネットの双子の妹の3人、そして妻を残して、シェークスピアはストラトフォードからロンドンに行ってしまう。

小説は、シェークスピアのいないシェークスピア家の記録が書かれているわけだ。ハムネットが亡くなった翌年には大きな農園を買って妻と二人の娘に贈っている。そして3年後に人気沸騰させることになった『ハムレット』が上演された。

晩年、シェークスピアはストラトフォードに戻って余生を送り、妻より先に亡くなる。

妻が嫌いだったら、晩年に戻ることはないと思われる一方、妻が嫌いだからロンドンに出て行って芝居を量産して書けた、と変な肯定論もあるそうだ。なお、本著の作者はマギー・オファーレル。フェミニストの闘志の女性だそうだが、本作の中心にあるのは黒死病といわれたパンデミックだそうだ。

なお、調べてみると、黒死病(ペスト)流行中の英国では、劇場が次々に閉鎖になり演劇関係者が苦境に落ちていたそうだ。今も相変わらずだ。

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