台風の話(大谷東平著)

2015-08-26 00:00:11 | 市民A
taihu今年は、ずいぶん強力な台風がやってくる。台風15号。そういう日に限って飛行機の予約がある。

で、タイムリーに台風の本を読んでいた。どうも戦争中、戦後には台風の大被害があったようだ。

昭和13年9月1日 台風高潮 関東 死者201名
昭和13年10月14日 台風洪水 九州南部 死者289名
昭和17年8月27,28日 台風高潮 西日本 死者891名
昭和18年7月22-26日 台風豪雨 中国四国 死者211名
昭和18年9月20日 台風洪水 西日本 死者998名
昭和20年9月17-18日 枕崎台風 西日本 死者2076名
昭和20年10月10-11日 阿久根台風 西日本 死者730名
昭和22年9月14‐15日 カスリン台風 関東以北 死者1057名
昭和23年9月16-17日 アイオン台風 関東奥羽 死者512名

終戦前は、気象情報は軍事秘密として公開されなかったから、いきなり台風がやってくるわけだ。そして、どうも台風が多い状態だったようだ。そのあたりが神風思想の原因かもしれない。

そして、台風の回転については講義がなされているが、台風のコースについては、いくつかの方向が考えられるが、実際にはかなりはずれるとのこと。

本書は地球観測衛星などなかった時代のものだから、気象情報を理論と計算で行っている。現代の予報と言うのは全部コンピューター任せなのだろうか。それでは理論を学ぶものがいなくなってしまう。


本書は、台風の話の他に、冬の暴風雨についても書かれていて、江戸時代から漂流する漁船が多いとして、米国に白骨船が到着した実話や、多くの船が、漂流した後、無残にも北太平洋から赤道付近までコースが曲がっていき、最後は中国南部に漂着することなどを解説している。

そして漂流文学というジャンルを考えてられる。漂流して、なお生存者が日本に戻った場合のみ文学が成り立つのであって、台風に襲われた場合は、助からないので台風文学は少ないとのこと。紹介されていた中で、須見五郎著「日本人漂流物語」というのがあるようで、読んでみたいと思うのだが、入手は困難の極みだろうか。「東京漂流」というような本は沢山あるのだが。

ということで、探しはじめると、思わぬ事態である。「日本人漂流物語」というのは室賀信夫氏という方が出版していて、須見五郎著は4編「孫太郎ボルネオ物語・無人島漂流物語(鳥島漂着)・光太夫ロシア物語・だったん漂流物語」なのだが、室賀信夫版は、二番目の鳥島の部分をカットした3編だ。そんなことって許されるのだろうか。

しかも、室賀版は、読んだことがあるのです。道理で、鳥島に流れ着いた話を聞いたことがなかったと思ったわけだ。このあたりの事情については、別途調査が必要だ。