陰謀の古代史(和歌森太郎著)

2015-08-28 00:00:56 | 書評
岡山県にいると、なんとなく古代史の香りが漂う。人間の多くは沿海部に住んでいるのだが、内陸部には神秘的な事象が多く残っている。鬼ノ城とか、犬墓山とか吉備津神社とか・・吉備の森には古代の大戦争の血の匂いが残っている。

inbo


歴史書には描かれていないのだが、出雲と大和の間にあるのだから、何かが起きたのは間違いないはずだ。

ということで、古代史の本も読んでいるのだが、要するに、日本書紀と古事記という二つの書物を分析することで、古代日本を推測しようというのだから、かなりの想像力が必要になる。

本書は、和歌森太郎氏が、想像力をMAXにして、政権抗争を小説風に書き直したものだ。どうも天皇家も葛城家、蘇我家、藤原家、陰鬱な作戦で、だまし討ちにして政権から追い落とし息の根を止める。

歴史が古いのはいいこととして、その虐殺の歴史はあまり誇れないような気がする。というか、戦国時代の下剋上だって、結局古代日本の陰謀史と同じじゃないだろうか、という気がしてきた。

超大企業でも同じような闘争があるのだろう。隣の大陸の国もそうなのだろう。本の帯には、「陰謀と派閥の視点から、激動の古代を描き、そこに現代の縮図を見出した異色の日本古代史」となっている。