三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「華城火災工場アリセルが嘘の釈明か…不法派遣疑いの広告13回」

2024年06月28日 | 韓国で
「中央日報日本語版」 2024.06.28 08:48
■華城火災工場アリセルが嘘の釈明か…不法派遣疑いの広告13回

【写真】アリセルの親会社エスコネクトのパク・スングァン代表が25日、京畿道華城(ファソン)一次電池会社アリセルの工場火災事故現場で頭を下げている。 キム・ジョンホ記者 2024.6.25.

 24日に発生した京畿道華城市(キョンギド・ファソンシ)リチウム電池工場の火災についてアリセル側が国民および遺族に謝罪したが、捜査の過程で嘘の釈明をした状況が表れている。アリセル側は「不法派遣はなかった」と強調したが、2022年から現在まで13回も不法派遣が疑われる採用広告をしたことが分かった。歴代化学工場事故のうち最多の死者(23人)が発生しただけに「不法雇用・派遣はなかった」という釈明は責任回避目的ではないかという指摘が出ている。

◆「NC加工」「バッテリー包装」など採用広告13回…「不法派遣」指摘
 エスコネクト・アリセルのパク・スングァン代表は25日の記者会見で「人命被害が発生し、誠に残念な思いでお詫びする」と述べた。続いてパク代表の息子、アリセルのパク・ジュンオン本部長は「不法派遣・雇用はなかった」と話した。パク本部長は27日、記者らに対しても「契約書は記者会見後に改めて確認した」とし「書類を持っている」と伝えた。
 不法派遣疑惑は火災事件捜査本部と雇用労働部地域事故収拾本部が注目する部分の一つだ。「危険の外注化」で惨事の被害を拡大させた疑いのためだ。アリセル側は「死亡した外国人労働者が『請負』人員であり、メイセルが業務指示を与えた」と主張する。
 また、犠牲になった外国人労働者が引き受けた業務が派遣法上認められる32業種に含まれず、派遣自体が不法という指摘がある。2017年に憲法裁判所が「製品検査・包装は製造業の根幹となる核心業務であり、直接生産工程業務に該当する」と判断しながらだ。労働者は火災が発生した工場3棟2階で軍用無線機の1次電池検収・包装作業をしてきた。
 アリセルと親企業エスコネクトが周期的に不法派遣を受けたという状況も追加で出てきた。人材を派遣したメイセルの実質的代表として知られるチョン氏(41)は2022年初めから先月22日までアリセル・エスコネクト安山工場の外国人勤労者採用広告を少なくとも13回出したことが把握された。
 先月22日の採用広告によると、「1次電池単純組み立て会社、環境がよく勤務しやすい」「バッテリー部品組み立て包装検査、面接なし」などで外国人労働者を募集した。詳細業務では派遣法上派遣が不可能な「携帯電話部品NC加工」「バッテリー生産・検査・包装」と紹介された。通勤バスを提供したが、賃金は2023年基準の最低法定時給の9620ウォンだった。イム・チャングン労務士は「採用広告にある業務はすべて派遣が不可能な業務」とし「不法派遣を続けてきたようだ。人材を送った会社も不法である可能性が高い」と話した。
 アリセルに人材を派遣したメイセルさえも不法派遣を認めている。雇用労働部によると、メイセルは特例雇用許可を受けていない。また、メイセルと前身ハンシンダイヤはそれぞれ法人登記にアリセルとエスコネクトの安山工場内に事務室があるとしているが、実際には存在しないという。

◆「PPT安全教育は年1回」…空間分離せずマニュアル意味なし
 安全に対する使用者側の釈明も十分でないという批判が出ている。パク本部長は謝罪記者会見で「現場の各所に避難マニュアル地図を描いて教育を徹底した。安全教育は十分だったと考える」とし「家庭用ではなくリチウムの鎮火に適した粉末消火器を配置した」と説明した。
 警察によると、アリセル1年目の職員Aさんは「在職期間に安全教育を会議室でパワーポイントのプレゼンテーションで一度だけ受けた」と話した。また韓国語があまり理解できない外国人と日雇いの勤務者も多く、建物内部構造と安全教育が十分でなかったと、警察は見ている。
 火災場所と作業空間を分離する壁が従来の図面とは異なり存在しなかったため、火災避難マニュアルも意味がなかったという評価も出ている。安全保健規則によると、爆発の危険がある危険物と見なされるリチウムバッテリーは作業用と非作業用を区別して別の場所に保管しなければいけない。
 又松大のイン・セジン消防防災学科教授は「前が見えないほど濃煙がすぐに広がり、現場に配置されていたというマニュアルは意味がなかったはず」とし「濃煙を遮断する壁があれば犠牲者の数を減らすことができただろう」と述べた。
 消防当局はアリセルの釈明と違い「計2つの一般粉末消火器が火災現場に配置されていた」と明らかにした。ある消防隊員は「一般的にバッテリー火災鎮圧時には乾燥砂、膨脹蛭石などを使う」と説明した。ただ、「消火器、乾燥砂、膨脹蛭石の中から選択して配置すれば問題はない」(キム・ジンヨン華城消防署火災予防課長)だけに、これに対する処罰は難しいとみられる。


「The Hankyoreh」 2024-06-28 09:10
■韓国バッテリー工場火災、犠牲者23人全員の身元を確認…20人は下請け業者所属

【写真】27日、京畿道華城市役所に設置された華城市アリセル工場火災事故追悼焼香所で、遺族が涙を流している。24日午前10時31分、華城市西新面前谷里にある一次電池メーカー「アリセル」の工場で火災が発生し、31人の死傷者を出した/聯合ニュース

 華城(ファソン)のリチウムバッテリー工場火災で亡くなった23人の労働者のうち、20人が下請け業者に所属していたことが明らかになった。遺伝子対照作業により、犠牲者の身元もすべて確認された。
 勤労福祉公団の関係者は27日、「中央事故収拾本部が把握した資料を確認したところ、今回の火災事故の31人の死傷者のうち10人は(火災の起きた企業である)アリセルの所属で、21人は(社内下請け業者の)メイセルの所属であることが分かった。23人の死者のみを分類するとアリセル所属が3人、メイセル所属が20人だった」と明かした。犠牲者の大半が社内下請け企業の労働者だったのは、火災が発生した2階が熟練技術の必要な生産工程ではなく、完成品の包装のような単純業務の作業場であったことから、主に働いていたのが本社の正規職労働者ではなく日雇い派遣労働者だったためとみられる。
 政府はこの日、火災で31人の死傷者を出したアリセルなどに対する家宅捜索で確保した資料を迅速に分析し、火災の原因と責任の所在を究明し、厳重に措置を取ると述べた。地域事故収拾本部のミン・ギルス部長(中部地方雇用労働庁長)はこの日午前の華城市役所でのブリーフィングで、「前日に8時間にわたって家宅捜索令状を執行し、リチウム電池の取り扱い、検収や包装の過程における発火の原因を明らかにするための証拠資料の確保に総力を傾けた」とし、「火災状況に備えた安全保健管理体系の構築と履行が適正だったかなど、重大災害処罰法および産業安全保健法上の責任の所在も明らかにする方針」だと付け加えた。
 死亡した23人の身元もすべて特定された。身元が確認された23人の被害者は韓国人5人、中国人17人、ラオス1人で、うち男性は6人、女性は17人。京畿南部庁は犠牲者の遺族に身元を確認したことを通知した。前日に身元が確認された13人の外国人犠牲者のビザは、在外同胞ビザ(F-4)7人、永住ビザ(F-5)1人、結婚移民ビザ(F-6)2人、訪問就業ビザ(H-2)3人。
 死者の身元が確認されたことで、葬儀の準備手続きも進んでいる。華城市は、「市が用意した5つの斎場で、遺族の意向に沿って葬儀手続きの支援を行う計画」だと述べた。同市は遺族待機室5カ所、支援室1カ所、相談室1カ所の計7カ所の遺族向け施設を設置している。外国からやって来る遺族が空港に到着し次第、支援チームと通訳スタッフがすべての過程に同行する。
チョン・ジョンフィ、イ・スンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-06-27 17:51


「The Hankyoreh」 2024-06-27 10:36
■いつでも切れる「使い捨て人間」…移住労働者の違法派遣=韓国
 「華城惨事」があらわにした「危険の外注化」 
 製造業は生産職派遣が認められない業種 
 工業団地の中小製造業に違法派遣がまん延 
 安全教育や労災保険加入は「他人事」

【写真】「アリセル重大災害惨事対策委員会」(仮称)の関係者が26日午前、京畿道華城市の火災現場前で、徹底した真相究明や再発防止対策などを求めている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 「派遣職は一度使われたら捨てられる身ですね。怪我をしたから、物量が減ったからということで、ショートメッセージですぐに切られるんです。退職金も受け取れないし、労災処理もできない」
 2年前に帰化した40代の中国同胞のKさんは、仁川(インチョン)の富平(プピョン)工業団地の製造工場で派遣の生産職労働者として働くようになって5年目。仕事がある時に派遣業者と労働契約を結んで工場に入って働く方式だ。派遣会社と交わした労働契約書は複数枚。働く場所も自動車部品メーカー、メッキ業者などと何度も変わった。
 Kさんにとって、18人の移住労働者を含む23人の命を奪った24日の華城(ファソン)のアリセルのリチウム電池爆発惨事は他人事ではない。Kさんは26日、ハンギョレに「以前メッキ工場で働いていた時、メッキ液が飛んで目に入ったことがあった。治療も自腹だったが、痛いから3日間出られないと言ったらクビになった。今回の惨事で亡くなった方々も私と似たような境遇だと思うが、法はあってないようなもの」だと語った。
 工業団地地域における中小製造業者の「生産職派遣」は、数年前から慢性的な問題だった。派遣労働は、派遣業者と労働契約を結んで賃金を受け取りつつ、別の企業(使用事業主)の指揮・監督の下で働く。「派遣勤労者の保護などに関する法律(派遣法)」は製造業の直接生産工程に対する派遣を禁止しており、刑事処罰の対象としているが、求人求職サイトでは製造業の生産職募集広告が常に見られるほど、違法はまん延している。派遣企業は通勤バスを出して派遣労働者を工業団地に運んでいる。

【写真】24日に発生した火災で23人の死者が出た京畿道華城市の一次電池メーカー「アリセル」の工場で26日午前、民主労総、移住労働者労組などからなるアリセル重大災害惨事対策委員会が記者会見をおこなっている/聯合ニュース

 特に、韓国人の中小製造業に対する忌避意識が強まったことで、足りない労働力は中国同胞をはじめとする移住労働者が違法派遣で埋めている。大邱(テグ)の城西(ソンソ)工業団地で活動する金属労組城西工業団地地域支会労働相談所のキム・ヨンチョル所長は、「技術技能職は直接雇用することもあるが、単純生産職は今や派遣職雇用がほとんど。採用などの人事労務管理コストを削減でき、問題が生じた際には派遣業者が責任を取るから、危険を外注化できる」と語った。「危険の外注化」が広がっているわけだ。
 派遣労働者を使う企業が仕事のない時に労働者を直ちに解雇する「労働柔軟性」は、労働者の権利の侵害と隣り合わせだ。賃金未払い、4大保険未加入、労災、不当解雇などが代表的な例だ。
 京畿道外国人人権支援センターによる2020年の報告書「移住労働者派遣労働実態調査」では、派遣労働の経験を持つ労働者の58.9%が「労働契約書に署名したことがない」と答えている。仕事を辞めた理由としては「賃金が低いから」(15.4%)、「仕事がきついから」(11.9%)などの他、「単にもう来なくてよいと言われたから」(16.8%)、「紹介された条件と実際の労働条件が違ったから」(11.1%)なども少なくない。安山市(アンサンシ)非正規労働者支援センターのセンター長を務めるパク・ジェチョルさんは、「そもそも派遣市場に集まる人々は、仕事を見つけるのが難しい移住労働者や高齢の韓国人。特に移住労働者は韓国語にも慣れていないため、問題提起そのものが難しい」と語った。
 派遣労働者にとっては、職場の安全保健教育や労災保険加入も遠い話だ。今回の惨事でも、派遣労働者たちは避難経路などをよく知らなかったため大きな被害が出たとの分析が示されている。また彼らを雇用したメイセルは、労働者を労災保険に加入させていなかった。このような例はいくらでも見つけることができる。Kさんもやはり「単に現場に投入されるだけで、きちんと安全教育を受けたこともない」と語る。最近まで労働者派遣業者で働いていたAさんはハンギョレに、「今やっている仕事で忙しいのに、安全教育や火災避難教育のようなことをしている時間はない。大半の派遣業者が労災保険へは加入しておらず、多額の治療費がかかるケースにのみ労災保険処理するというのがほとんど」だと話した。
 このような現状は政府に大きな責任があるとの指摘が相次いでいる。このかん労働界は、工業団地地域を中心とした違法派遣の問題を提起し、これを正すよう求めてきた。金属労組のイ・デウ戦略組織局長は、「金属労組は数年前から工業団地地域の違法派遣業者を告訴・告発しているが、労働部や検察は嫌疑なしや略式起訴で終わらせるなど、安易に対応してきた。労働部が違法派遣に目をそむけ続ければ、惨事は繰り返されざるを得ない」と述べた。
キム・ヘジョン、パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-06-26 19:28


「東亞日報」  June. 27, 2024 08:49
■アリセル、韓国人労働者31人のみを申告、「不法派遣」疑惑で責任攻防
 工場の火災で23人の死者を出したリチウム電池メーカーのアリセルが、外国人労働者を不法派遣の形で雇っていたという疑惑が高まっている中、これらの労働者を適切な教育なしに拙速に投入させた情況も見つかっている。
 26日、東亜(トンア)日報の取材を総合すると、アリセルに外国人労働者を派遣した人材会社「メイセル」は、外国人が主に使う求人サイトに12日から19日まで3回にわたって公告を掲載し、アリセルへの派遣労働者を募集した。時給は9860ウォンで、始興(シフン)から工場まで通勤バスを運行するとも言った。メイセル側は、「単純業務」「面接なし」「すぐに出勤可能」等の字句を掲げて労働者を集めた。
 雇用労働部は、元請けであるアリセルと人材派遣業者のメイセルの間には請負契約書がないことが分かったと明らかにした。また、両社の間に不法派遣または便法な請負疑惑が濃いと見て、徹底的に調査することにした。ミン本部長は、「両社は、口頭上の契約を交わしたと見られる。アリセル代表は前日、「適法な請負契約だった」と主張したが、実際の工程や人事管理など実質的な雇用および労働形態について徹底的に確認したい」と話した。

労働当局は26日午前9時付けで、アリセル工場全体に対して同様の災害が発生することを防ぐため、全面的な作業中止命令を下したと明らかにした。また、類似の危険施設の事故を防ぐため、電池製造業の事業所500ヵ所あまりに対し、リチウムの取り扱いをめぐる安全規則の自主点検表を基に、独自の緊急点検を行うようにした。また、電池関連の200社あまりは、消防庁主管の関係省庁が合同で、前日から緊急火災安全調査を行っている。
 共感のファン・ピルギュ弁護士は、「華城(ファソン)を含め、全国に外国人労働者の不法派遣はすでに蔓延している。構造上、派遣業自体の安全教育が不備だが、言葉が通じない外国人労働者(の安全教育は)はなおさら粗末だ」と話した。韓国労働研究院のイ・ギュヨン博士は、「雇い主がいればそれでも安全教育はましなほうだが、派遣業者からあちこちに移れば、安全教育義務主体が不明な状況が多い」と指摘した。
 拙速な募集と教育で、危険な現場に投入される外国人労働者は増える傾向にある。雇用労働部の資料によると、韓国国内有料職業紹介事業所(人材事務所)は、2019年の1万3332ヵ所から今年5月は1万5893ヵ所に5年ぶりに2561ヵ所(19.2%)が増加した。雇用行政統計によると、今年第1四半期の製造業分野に従事する外国人労働者数は20万9670人で、初めて20万人を超えた。京畿(キョンギ)地域の人材事務所の社長は、「人材事務所の間でも、下請けに孫請けを越え、曾孫請けまで行われ、『無理強い(手数料の踏み倒し)』をすることが多い」とし、「外国人労働者たちは低い処遇を受け、危険な仕事に追い込まれざるを得ない」と話した。


「The Hankyoreh」 2024-06-26 09:12
「顔も知らずに送った」…韓国の工場火災で死亡した外国人労働者「違法派遣」の可能性
 爆発事故「アリセル」2階所在「メイセル」 
 派遣法上「違法派遣」に当たる可能性 
 アリセル側、「派遣」「請負」右往左往

【写真】25日、京畿道華城市の一次電池メーカー「アリセル」の工場火災現場で警察、消防、国立科学捜査研究院などの関係者が合同鑑識をおこなっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 京畿道華城市(ファソンシ)の工場火災惨事の犠牲者のうち18人が移住労働者であったことが明らかになった中、移住労働者のほとんどは一次電池メーカー「アリセル」の所属ではなく「メイセル」という会社に所属して働いていたことが確認された。また、彼らの雇用関係は「違法派遣」だとみられる。
 メイセルの関係者は25日のハンギョレの電話取材に対し、「我々は派遣手数料のみを受け取って人夫(労働者)を派遣しており、(労働者に)作業を指示したこともなく、労働者の顔も知らない」と述べた。メイセルは爆発事故が発生したアリセルの工場の第3棟2階に所在し、「一次電池製造」などを事業目的としている会社だ。
 これは元請け会社のアリセルの説明と相反する。アリセルのパク・スングァン代表取締役とパク・チュンオン本部長はこの日の記者会見で、亡くなった移住労働者について「人材供給業者から供給された派遣職」だと述べたかと思えば、「請負(業者に所属する労働者)」だと述べるなど、見解が右往左往している。また、移住労働者に対する業務指示は「派遣業者がおこなっていた」とも述べている。
 しかしメイセルの関係者は、「アリセルに入ることもできず、盆正月に会社の幹部たちから贈り物をもらう時以外は行くこともない」とし、「派遣業者が現場の労働者に業務指示をしていたというのはうそ」だと反論した。そして「携帯電話のショートメッセージで通勤バスの乗車位置を案内し、その後、アリセルに到着したらアリセルの管理者に引率されて働く。それがすべて」だとし、「アリセルから何人か送ってくれと言われれば送り、業務が未熟だということで交換してくれと言われれば交換していた」と述べた。
 メイセル関係者の主張どおりなら、メイセルとアリセルは派遣事業主と使用事業主の関係に当たる。メイセルは移住労働者をアリセルに派遣し、派遣労働者はアリセルの指揮・監督に従って働いていたのだ。しかし製造業の生産工程は、「派遣勤労者の保護などに関する法律」が認める派遣業種ではないうえ、メイセルは勤労者派遣事業許可を受けておらず、派遣法上「違法派遣」である可能性がある。
 メイセルは外国人求人・求職ポータルに求人公告を出しており、移住労働者を日雇いのかたちでアリセルに派遣してきたという。仕事に応じて流動的に人材を用いることがアリセルの目的だったとみられる。しかしメイセルは、派遣した移住労働者を労災保険にも加入させていなかった。
 この日、共に民主党のパク・ヘチョル議員が勤労福祉公団から提供を受けた資料によると、メイセルには労災保険加入者が1人もいない。メイセルは4月までは「ハンシンダイヤ」という社名で同じようにアリセルに労働者を派遣していたが、ハンシンダイヤの労災保険加入者は韓国人3人、外国人2人のみ。労災保険は国籍を問わず全員の加入が義務付けられている。
 アリセルのこのような雇用構造は、労働部の調査の対象になるとみられる。労働部の関係者は、「(アリセルとメイセルの関係が)請負関係だと断定するのは不適切な状況」だと述べつつ、「今後、調査を通じて派遣なのか請負なのかを確認する計画」だと語った。
パク・テウ、キム・ガユン、キム・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-06-25 20:39



「The Hankyoreh」 2024-06-24 08:27
■韓国、フィリピンの家事労働者事業を9月から導入…「虐待、搾取を防ぐ装置あるのか」
 国際家事労働者連盟の地域コーディネーター 
 「アジアの移住家事労働者」の現状を発表

【写真】19日、ソウル大学国際学研究所の「国際移住と包容社会センター」が開催したオンライン講演で、国際家事労働者連盟(IDWF)の地域コーディネーターを務めるフィッシュ・イプさん(48)が質問に答えている=画面をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 「韓国政府には、今回のモデル事業を推進するにあたって国民、市民社会団体、移住民団体、労働組合と十分に対話したのか問いたい。市民社会団体や労働組合の参加がないと、(結局は)問題が発生するでしょう」。
 国際家事労働者連盟(IDWF)の地域コーディネーターを務めるフィッシュ・イプさん(48)は19日、ソウル大学国際学研究所の「国際移住と包容社会センター」(CTMS)が開催したオンライン講演で、「アジアの移住家事労働者」の現状を発表した際に、9月から韓国に初めて導入されるフィリピン移住家事手伝いモデル事業に懸念を表明した。2013年に設立されたIDWFは、全世界の家事労働者の権利を増進するために集まった労働者の団体で、68カ国の88の団体、67万人以上の家事労働者をメンバーとしている。
 イプさんは、韓国にやって来る移住民家事労働者にとって最も懸念される問題として「労働条件」をあげた。イプさんは、「労働者にとっては、韓国にやって来れば適切な情報を提供してもらえるのか、虐待と搾取にさらされずに働けるのか、虐待に直面した際にはどこに助けを求められるのかが最も重要だ」とし、「私たちは、このモデル事業には労働組合や市民社会団体、移住民団体がかかわることが必要だと考える」と語った。
 最近の移住民家事労働者の「低賃金問題」の本質は、韓国社会における子育ての公共性の不足にあるとも主張した。イプさんは、「家事労働者を雇用する人々は草の根の労働者であり、家事労働者の賃金問題は不幸にも国民をケアすべき政府がその責任を果たしていないから発生する」とし、「韓国は非常に低い出生率を示しているのに、政府は子育てサービス提供に投資せず、国民自らに子育てを押し付けることで、国民が家事労働者の安い労働力を求めるように仕向けている」と述べた。
 イプさんは、移住民家事労働者に許された6カ月という滞在期間も労働条件に影響を及ぼすと指摘した。今回導入されるフィリピン人家事手伝いは雇用許可制短期ビザ(E-9)で入国し、2025年2月までの6カ月間、ソウルで働くことになる。イプさんは、「6カ月は本当に話にならないほど短い期間であり、移住労働者を非常に脆弱にすることで、組織化も難しくする」とし、「移住民家事労働者を受け入れる国のためにも、期限を延ばす方向が正しい」と語った。現在、日本は移住民家事労働者に3年契約を結ぶことを認めており、台湾では3年契約で最大21年まで働ける。香港では2年契約を無期限に延長できる。
 国際労働機関(ILO)は、移住民家事労働者は全世界に約1150万人ほどいると推定しているが、非公式見解としてはそれよりはるかに多いとしている。アジアでは主にフィリピン、インドネシア、タイ、ネパールなどの若い女性たちが、家族の扶養などを理由に国外で家事労働に従事している。今年下半期からソウル地域に移住民家事労働者を試験導入する韓国は、来年には規模を大幅に拡大する方針だ。政府はフィリピン家事労働者モデル事業の他にも、最低賃金法をはじめとするほとんどの労働関係法が適用されない「家事使用人」方式で、移住民家事労働者の雇用を拡大する方針だ。
ユン・ヨンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-06-23 15:56


「The Hankyoreh」 2024-06-22 11:53
■【社説】少子化対策に「最低賃金排除の外国人家事労働者」入れた韓国政府

【写真】尹錫悦大統領が19日、京畿道城南市のHD現代R&Dグローバルセンター峨山ホールで、「少子化のすう勢反転のための対策」をテーマに行われた2024年少子高齢社会委員会で、チュ・ヒョンファン副委員長と対話している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が19日に打ち出した「少子化のすう勢を反転」させるための対策に、最低賃金を払わなくてもよい外国人家事労働者の導入が含まれていたため、批判が起きている。これに先立ち、モデル事業の推進過程でも似たような批判を浴びたが、差別的待遇に起因する悪影響の方が大きいため、最低賃金を順守させることにした。にもかかわらず、政府はまたも少子化対策にそれをこっそり潜り込ませていたのだ。
 政府が提示した案はこうだ。来年上半期に雇用許可制(E-9)によって1200人の外国人家事労働者を受け入れるほか、それとは別に外国人留学生や移住労働者の配偶者など5千人を、最低賃金を適用せずに雇用できるようにするというのだ。家事労働者は家事勤労者法に則って政府から認証を受けた機関に所属するため、働けば最低賃金法などが適用されるが、個別の世帯と直接契約を結ぶと何ら法的に保障されない。このような抜け穴を利用して、政府が安い外国人家事労働者を供給するというのだ。そのうえ、政府はこのような労働者を民間機関に斡旋(あっせん)、仲介させる制度の導入まで検討するという。
 2022年の家事勤労者法の施行により、最近ようやく家事労働者が最低限の労働関係法の保障を受けはじめたが、再び迂回(うかい)的に非公式労働を増やすという政府の行為は時代錯誤だ。また、政府が先頭に立って外国人労働者を差別待遇するというのは、国際基準にも合わない。国際労働機関(ILO)第111号条約は出身国、性別、宗教などを理由に労働条件を差別しないよう定めている。専門家は、ケア業種で最低賃金を適用するかどうかを差別的に分けると、外国人労働者が事業所を離脱するため、不法滞在を増やすことになりうると懸念を示している。
 何よりも、9月に実施される「フィリピン人家事手伝いモデル事業」に対する評価も出る前に、政府が関連事業を拡大することを打ち出したのは性急すぎる。フィリピン労働界は20日の民主労総との共同声明で、移住労働者の権利が明確に定義された標準契約書の透明な公開▽労働組合の参加の下での居住施設の定期点検などを求めている。フィリピン政府は今年1月、農村の働き手となる季節労働者の送り出しを中止した。賃金搾取などが相次いだためだ。にもかかわらず、韓国政府は何ら対策を打ち出していないとフィリピン労働界は指摘している。今回試みようとしている家事労働者の個別世帯との私的契約は、各種の権利侵害の素地を広げる。慎重に検討することもなくコストの安さばかりに心を奪われると大きな悪影響が起こりうるとの指摘を、政府は重く受け止めるべきだ。
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-06-21 18:03


「The Hankyoreh」 2024-04-05 08:54
■尹大統領「家事手伝いとして外国人留学生を使おう」…労働界が批判

【写真】尹錫悦大統領が4日、ソウル龍山の大統領室庁舎で行われた民生討論会の後続措置についての第2回経済分野点検会議に出席し、発言している/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が4日に、移住家事労働者を最低賃金より低い賃金で雇用できるようにしようと述べたことに対し、労働界からは批判の声が相次いだ。法的保護を受けられない家事労働者を増やしうる方策であるだけでなく、来年度の最低賃金審議を控えた中で「業種による差別適用」を貫徹させることを目的とした発言だとの批判だ。
 尹大統領はこの日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で行われた経済分野の民生討論会の後続措置点検会議で、「現在、韓国人の家事手伝い、看病人の賃金水準は、共稼ぎ夫婦などが雇用して支払うには負担が重い」とし、「国内にすでに居住している16万3千人の外国人留学生と3万9千人の結婚移民の家族の方々が、家事・育児分野で就業できるよう容認」しようと語った。そして「家庭内雇用であるため最低賃金の制限も受けないし、需要と供給に沿って柔軟な市場が形成されるだろう」と述べた。世帯が個別に直接雇用した家事労働者は労働基準法と最低賃金法が適用されないが、この条項を悪用して移住家事労働者を最低賃金より低い賃金で雇用しようと述べたわけだ。
 「家事・介護ユニオン」のチェ・ヨンミ委員長はハンギョレの電話取材に対し、「労働法の保護を受けられない非公式雇用を増やそうという、とんでもない主張」だと述べた。「移住労働者平等連帯」も論評で、「現在形成されている非公式市場でも時給1万ウォン以下の外国人家事・育児労働は見られない」とし、「最低賃金よりはるかに安い労働を留学生や結婚移民の家族がするだろうと考えていることも大きな誤り」だと述べた。
 加えて、尹大統領の発言は来年度の最低賃金を議論する過程で一種の「ガイドライン」として作用する恐れがある、との批判もある。毎年の最低賃金審議では業種による差別適用の可否を決めるが、大統領の発言が影響を及ぼしうるということだ。全国民主労働組合総連盟(民主労総)はこの日発表した論評で、「最低賃金委員会の争点になるとみられる『業種による差別適用』に政府が指針を下した格好」だと述べた。

キム・ヘジョン、パク・テウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-04-04 20:03
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