読売新聞山梨版に「企画・連載」というページがあります。読売新聞山梨版はニュース記事のリンクがすぐに切れるのでブログでリンクするのも躊躇するのですが、この「企画・連載」はニュース解説とでも呼べそうな記事があって、気付かずにいた事を教えてくれますし、リンクも持続するので便利です。
20日に読んだ「自治を問う~議会考」カテゴリーに、合併地区の声どう反映 「中道・上九一色選出議員ゼロの危機」という記事がありました。
『06年4月、編入合併で誕生した新地区を対象とした市議増員選で、中道地区から3人、上九一色地区から1人が当選。地元の問題や振興策などについて定例会の一般質問で取り上げ、議会閉会中は市側に地元の要望を伝えるなどし、「地元代表」としての役割を果たしてきた。』 と書かれていることに関係する問題を、私は「過疎地対策に想う」としてホームページに書きました。旧上九一色村地区の情報ハイウェイ問題です。だが2006年9月定例会で提起されたこの問題が2007年2月定例会でどうなったかはわかりませんし、甲府市のその後の対応も知りません。
読売新聞が記事に書いていることは、まさに市議会議員が自分の狭い地元しか目を向けていない、有権者も地元中心の視野の狭い候補しか選ぼうとしない現実を見事に示していると思いました。
地方自治の問題として最重要課題だとおもえる有権者と議員の地方議会・議員に対する考え方の問題なのですが、昨日引用した朝日新聞山梨版の続編として、【07統一地方選】合併その後<下>があります。その末尾に山梨学院大学江藤俊昭教授のコメントがありますが、まさに私がこのブログカテゴリーで今日まで書いてきたことはこれですから、引用させていただきます。
「地域代表」より情報発信を
江藤俊昭・山梨学院大学教授(地域政治論)の話 合併の動きが活発だった4年前は合併特例債などのアメで「夢」が描けた。だが国の交付税が大幅に削られ、補助金の出し方も大きく変わった今、「現実」に直面した地方自治体はどこも四苦八苦の状況にみえる。
いまも旧町村には「地域エゴ」が残るが、新市(町)の全体像が住民に知らされなければ、噴出するのは当然だ。
解消するためには議員たちが「地域代表」にならず、予算などの全体状況を広く情報発信しなければならない。統一地方選は、その役目を果たす人を選ぶ良い機会だ。
これからの行政は「首長頼み」ではなく、住民が自ら主役になる時代。合併を機に、県内各地では住民発議や住民投票などの「自治意識」が高まった。首長は、合併後も地域住民が直接政策にかかわっていけるルールづくりを積極的に進めてほしい。
議員は理事者席を向いて論じるのと同時に、地元住民のみならず全市民の方を向いて、地域利己主義の誤りを解き明かす必要もあるのです。いつも地元(選挙地盤)住民を背中にしょって理事者(行政)と対決するヨイカッコをみせようとしている議員は、つまるところ甲府市衰亡に向かう地元住民を乗せた駕篭の先棒を担いでいる人に過ぎないことを、有権者は知るべきです。
コーディネーターとしての地方議員とは、喧嘩の仲裁屋みたいなところもあるでしょう。財政が厳しい自治体にとって、仲裁は三方一両損、行政も住民もいくらかの損をせねばならず、議員は住民に耳の痛いことも言い続けることで次の当選は危なくなるという損を覚悟せねばならない現状でしょう。
だが、コーディネートする立場の人が、このようにまっとうな仕事をしていると、そのフォーラムは実りあるものになることを、江藤教授がコーディネーターであるフォーラムから、私は知っています。
パネリストも聴衆も筋道立てて解き明かされるフォーラムの成果を享受できるからです。意見の異なるパネリストも聴衆と共にベクトルの方向を修正しつつパワーを発揮する目標が見えてくるからです。